センター長 加藤総夫教授写真
教授 加藤総夫(兼任)
上園保仁(兼任・支持療法疼痛制御研究室)
事務局 総合医科学研究センター神経科学研究部内

※活動の詳細については、総合医科学研究センター・神経科学研究部および産学連携講座・疼痛制御研究講座のページをご参照ください。

講座(研究室)の概要
慈恵医大・痛み脳科学センターは、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「痛みの苦痛緩和を目指した集学的脳医科学研究拠点の形成」(平成25-29年度)の支援を受けた研究を推進するため、本学の先端医学推進拠点群の第1号研究拠点として設立されました.同事業の終了後も、事務局を兼任する総合医科学研究センター・神経科学研究部の教員が獲得する痛み関連領域の研究費を中心的な財源として,本学における基礎臨床融合型痛み研究の推進のため活動を続けています。

  2020年度には,新たに,支持療法疼痛制御研究室が痛み脳科学センターに加わりました.産学連携講座・疼痛制御研究講座の上園保仁教授が兼任で研究室長を務めています.痛みは脳と身体の広範な部位・領域の活動を背景にしており,支持療法の立場から全人的に痛みの背景にある機構に迫ることも重要なアプローチであり,分子・細胞レベルから痛みの支持療法の標的の探索研究を進めています.

 痛みは、ほとんどすべての臨床領域において、患者さんの苦しみの重要な原因となる訴えです。障害や炎症は強い急性痛を引き起こし、警告信号として働きますが、慢性化した痛みは、警告信号としての役割を果たさないにもかかわらずその苦痛によって患者さんを苦しめ続けます。本邦では国民の20%以上が何らかの慢性的な痛みを訴えています。近年の研究から、この苦痛は、脳の神経回路のはたらきによって生み出されていることがわかっています。本センターは、このような痛みの苦しみを生み出す脳機構を解明し、臨床におけるその緩和方法の開発を目指します。さらに、そこで得られた痛み脳科学の研究成果を、本学教職員および拠点で研究を進める研究者で共有することにより、基礎から臨床に至るまで「痛みのわかる慈恵」を実現し、痛みで苦しむ患者さんに還元することを目指しています。 教職員はすべて兼任で,専任の教員はおりません.また,運営費用はすべて兼任教員が獲得している競争的研究費などによって支えられています.文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業によって設立された研究拠点ですが,同事業終了後は,補助金などの支援なく,兼任教員の活動によって活動が維持され,国際的な論文や招待講演など,世界に向けて「痛み脳科学の慈恵」の名を発信しつづけています.
現在進められている共同研究の例
  • リウマチ膠原病内科学講座と神経科学研究部「関節リウマチにおける神経炎症と痛みの連関」
  • 整形外科学講座と神経科学研究部「変形性膝関節症モデルの痛み評価」
  • 皮膚科学講座と神経科学研究部「痛みの痒みの中枢性感作機構」
  • 遺伝子治療学研究部と神経科学研究部「先天性代謝疾患における痛みの発生機序」
  • 歯科学講座と神経科学研究部
  • など
文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業終了後に研究活動を支えてきた「痛み脳科学」に関連したテーマの競争的研究費(兼任の神経科学研究部教員が研究代表者のもの)
文部科学省・日本学術振興会科学研究費
  • 基盤研究(B) 「炎症−疼痛連関における腕傍核−扁桃体中心核系の役割の解明」(2021 〜 2023)加藤 総夫
  • 研究活動スタート支援 「慢性腰痛の増悪と維持に関わる脳内ネットワークの同定と治療介入法の開発」(2020 〜 2021)徳永 亮太
  • 若手研究「侵害性の高い痛み刺激による脳内血流調節系の制御機構の解明」(2020 〜 2022)守屋 正道
  • 基盤研究(C)「Fos-TRAP法による脳内痛みニューロンの機能的同定とその慢性痛での役割の解明」(2020 〜 2022) 高橋 由香里
  • 新学術領域研究 「痛みネットワーク回路再編スクラップ&ビルドのGOサインとしての炎症の意義」(2019 〜 2020) 加藤 総夫
  • 若手研究「全身性炎症による脳内痛みネットワークの可塑的変化と痛覚過敏への関与の解明」(2019 〜 2021)杉村 弥恵
  • 基盤研究(B)「脊髄−腕傍核−扁桃体−下行性疼痛制御系ループの痛み依存的シナプス可塑性」(2018 〜 2020)加藤 総夫
  • 基盤研究(C)「慢性痛の痛み-情動連関亢進における内因性ノルアドレナリンの役割の解明」(2017 〜 2019)高橋 由香里

その他の「痛み脳科学」に関連したテーマで取得した競争的研究費
  • AMED 慢性の痛み解明研究事業「侵害可塑性慢性疼痛の脳内成立機構解明とその予防戦略の神経基盤探索」(2021 〜 2024)(研究代表者・加藤総夫)
  • 上原記念生命科学財団 2018年度 特定研究内「内臓情報−情動回路−疼痛連関ループ制御機構の解明」(加藤総夫)
  • 上原記念生命科学財団 2020年度研究奨励金「幼若期ストレスによる慢性痛プライミング機構の解明」(杉村弥恵)
  • 内藤記念科学振興財団内藤記念特定研究「痛みの情動と制御に関与する脳内機構の解明」(加藤総夫)
  • 武田科学振興財団 2021年度 医学系研究助成「線維筋痛症の発症における扁桃体中心核神経ペプチド系の意義の解明」(高橋由香里)
講座(研究室)独自のホームページURL

http://www.jikei-neuroscience.com/jcnp/