教授 池上 雅博 教授写真
講師 福田 隆浩
講座(研究室)の概要
 神経病理研究室の設立は、阿部正和学長(当時)の構想に基づくもので、昭和61年8月18日に述べられた設立構想は、東京慈恵会医科大学記録III(昭55〜62年)に記してあるように、この設立の意図は相当古くから培われていたものである。昭和56年1月、講座等将来構想委員会は神経内科学講座の新設を提案するとともに、まずその前提となる神経学に関する基礎学科の充実を答申した。これが本施設設立の動機となった。教授会はこの答申に答えるべく、脳神経研究室(仮称)の設置を検討する委員会の結成を提案し、昭和61年4月28日の教授会において石川栄世教授を委員長に選出した。 石川委員長は、福原武彦、石川 博、馬詰良樹、宮原 正、中村紀夫、前川喜平各教授を委員とする委員会を結成し、慎重に検討した結果、本学の現状から見てこの様な研究施設は是非必要であるという結論に達した。 昭和62年3月9日 、同委員会は、同研究室の研究部門(神経解剖学、神経生理学、神経生化学、神経病理学、神経薬理学)および研究者構成を含めた答申書を教授会に提出した。その後、同委員会は脳神経研究室(仮称)の設置に関する審議を続行し、神経病理部門を筆頭とする上記5部門よりなる[神経科学研究室]の設置を要望する報告書を昭和63年5月9日の教授会に提出した。これに対し、学長より同年5月23日の教授会において、大学の現状から見て神経科学研究室全体を一気に実現させることは困難であるので(報告書を将来構想として受け取り)、一先ず最も強く要望された部門、神経病理学研究室の設置を提案したい旨の発言があった。この提案は6月13日の教授会において承認され、また同研究室設置のための委員会、神経病理研究室設置準備委員会が同時に結成された(委員長:宮原 正教授、委員:松田 誠、福原武彦、藍沢茂雄、牛込新一郎、石川 博、中村紀夫、前川喜平各教授)。同委員会は神経病理研究室長として田中順一鳥取大学医学部脳幹性疾患研究施設脳神経病理部門助教授を推薦し、平成元年3月27日の教授会において承認された。また、同教授会において、神経病理研究室の上部組織として神経科学研究部を発足させ、部長に松田 誠教授を委嘱することが了承された。平成元年4月1日に同研究室は開設され、同年5月1日に田中順一教授が着任した。平成13年神経生理学研究室が神経科学研究部に開設されるとともに、神経病理学研究室と名称を変更した。平成16年3月31日、田中順一教授退官後、栗原 敏教授が当研究室を兼務。平成24年4月1日より、病理学講座神経病理学研究室(羽野 寛教授)に所属変更となり、平成25年4月1日より、池上雅博病理学講座教授が神経病理学研究室室長を兼務し、現在に至る。
医学科教育について

医学部の学生が神経内科学・精神医学および脳神経外科学など臨床神経学を理解する上で、神経病理学の知識を習得することは重要なことである。現在4年生の神経系講義および病理各論実習において、神経病理学で扱う疾患を系統立てて講義実習を行っている。3年生では、研究室配属では神経病理学の研究を体験する。また、症候学演習においてもモデュレーターとして、症例呈示を行い、5年生の「症候から病態まで」とともに症候・症状の病態を理解できる演習を行っている。研究を行う上での情報の多くは英語で与えられることが多く、医学英語専門文献抄読において学生を指導している。また、6年生での選択実習では、神経病理学研究室でのBrain cuttingや臨床神経病理症例検討会に出席し、症例をあらゆる角度から理解する実力を養成している。

大学院教育・研究について
 

神経内科をローテートする卒後研修医は、神経病理学研究室でのBrain cuttingや臨床神経病理症例検討会に出席し、症例をあらゆる角度から理解する実力を養成している。神経内科専門医、脳神経外科専門医、および病理専門医を目指す医師を対象に、神経病理学の分野の知識を修得する機会を提供している。特に、日本神経病理学会では、教育委員会委員として貢献している。大学院では、学位取得のための研究テーマを各自立案し実施する。

講座(研究室)からのメッセージ
 神経病理学研究室教員は、教育・研究以外に、慈恵医大各附属病院の病院病理部の準診療医長として、脳神経外科手術症例、神経内科関連神経筋症例、および剖検脳脊髄の病理診断および検索を行っている。 神経病理学を専門とする部門が存在する大学は少ない。外科神経病理および解剖神経病理から、研究のテーマを決め、実験神経病理として探究し、そして、得られた知見が外科神経病理や解剖神経病理へ還元される。本研究室は人体神経病理学診断と実験神経病理学研究を実践している研究室である。また、神経病理学研究室に色々な形で訪問した多数の学生が脳神経外科あるいは神経内科へ入局しており、学生の将来の進路に対するアドバイスも積極的に行っている。
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教育担当
講義科目名称と対象学年

医学英語専門文献抄読I(医学科3年生)
臨床医学Iユニット「神経」(医学科4年生)

実習科目名称と対象学年

症候学演習(医学科3年生)
感染・免疫チュートリアル(医学科3年生)
研究室配属(医学科3年生)
病理学各論実習神経病理学(医学科4年生)
臨床医学演習(医学科4年生)
症候から病態まで(医学科5年生)
選択実習(医学科6年生) 

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大学院担当科目名称
神経病理学
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主な研究テーマ

 開設当初より、神経変性疾患の病理組織学的研究が行われ、多くの知見を得ており、現在も継続中である。脳血管障害における病理組織学的研究は、特に経頭蓋超音波治療法を中心に医用エンジニアリング研究室と共同研究を行い、多くの成果を上げ、学会および論文発表を行っている。ゴーシェ病やクラッベ病、ポンペ病、ファブリー病、MPS、ニーマンピック病c型など代謝性疾患の病理組織学的研究を、遺伝子治療研究部と共同研究を行い、治療に関する多くの知見を得ている。また、グリオーマの診断に有用な遺伝子変異検査法を構築するなど、病理組織学的研究のみならず、分子生物学的、生化学的、免疫学的手法を用いて、研究分野を大幅に拡大している。

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主な業績
  1. 1.Fukasawa N, Fukuda T, Nagaoka M, Harada T, Takahashi H, Ikegami M. Aggregation and phosphorylation of α-synuclein with proteinase K-resistance in focal α-synucleinopathy predominantly localized to the cardiac sympathetic nervous system. Neuropathol. Appl. Neurobiol. 2017 in printing

  2. 2.Hashimoto H, Kawabe T, Fukuda T, Kusakabe M. A novel ataxic mutant mouse line having sensory neuropathy shows heavy iron deposition in kidney. Neurodegener Dis 2017;17(4-5):181-98.

  3. 3.Mitsuishi T, Hamatani S, Hirooka S, Fukasawa N, Aizawa D, Hara Y, Dobashi A, Goda K, Fukuda T, Saruta M, Urashima M, Ikegami M. Clinicopathological characteristics of duodenal epithelial neoplasms: Focus on tumors with a gastric mucin phenotype (pyloric gland-type tumors) PLoS ONE 2017;12(4): e0174985.

  4. 4.Sugio S, Tohyama K, Oku S, Fujiyoshi K, Yoshimura T, Hikishima K, Yano R, Fukuda T, Nakamura M,Okano H, Watanabe M, Fukata M, Ikenaka K, Tanaka KF. Astrocyte-mediated infantile-onset leukoencephalopathy mouse model. Glia. 2017 Jan;65(1):150-168.

  5. 5.Sato S, Koike M, Funayama M, Ezaki J, Fukuda T, Ueno T, Uchiyama Y, Hattori N. Lysosomal Storage of Subunit c of Mitochondrial ATP Synthase in Brain-Specific Atp13a2-Deficient Mice. Am J Pathol 2016 Dec;186(12):3074-3082.

  6. 6.Yamazaki M, Fukuda T, Kobayashi A, Takubo H. Long Term Survival 66-year-old Female Case with Metamorphopsia as an Initial Complaint of Sporadic Creutzfeldt-Jakob Disease. Brain Nerve. 2016 Oct;68(10):1229-1238.

  7. 7.Hirono S, Lee EY, Kuribayashi S, Fukuda T, Saeki N, Minokoshi Y, Iwanaga T, Miki T. Importance of Adult Dmbx1 in Long-Lasting Orexigenic Effect of Agouti-Related Peptide. Endocrinology. 2016 Jan;157(1):245-57.

  1. 8.Wakabayashi T, Shimada Y, Akiyama K, Higuchi T, Fukuda T, Kobayashi H, Eto Y, Ida H, Ohashi T. Hematopoietic Stem Cell Gene Therapy Corrects Neuropathic Phenotype in Murine Model of Mucopolysaccharidosis Type II. Hum Gene Ther. 2015 Jun;26(6):357-66.

  1. 9.Sato Y, Kobayashi H, Sato S, Shimada Y, Fukuda T, Eto Y, Ohashi T, Ida H. Systemic accumulation of undigested lysosomal metabolites in an autopsy case of mucolipidosis type II; autophagic dysfunction in cardiomyocyte. Mol Genet Metab. 2014;112(3):224-8.
  2.  
  1. 10.Sengoku R, Matsushima S, Murakami Y, Fukuda T, Tokumaru AM, Hashimoto M, Suzuki M, Ishiwata K, Ishii K, Mochio S. ¹¹C-PiB PET imaging of encephalopathy associated with cerebral amyloid angiopathy. Intern. Med., 2014;53(17):1997-2000
  2.  
  1. 11.Sakai K, Fukuda T, Iwadate K. Is the denervation or hyperinnervation of the cardiac sympathetic nerve in the subepicardium related to unexpected cardiac death? Cardiovasc Pathol. 2014;23(4):211-6

12. Sakai K, Fukuda T, Iwadate K. Immunohistochemical Analysis of the ubiquitin proteasome system and autophagy lysosome system induced after traumatic intracranial injury: association with time between the injury and death. Am J Forensic Med Pathol. 2014; 35(1):4-7

  1. 13. Akiyama K, Shimada Y, Higuchi T, Ohtsu M, Nakauchi H, Kobayashi H, Fukuda T, Ida H, Eto Y, Crawford BE, Brown JR, Ohashi T. Enzyme augmentation therapy enhances the therapeutic efficacy of bone marrow transplantation in mucopolysaccharidosis type II mice. Mol Genet Metab. 2014; 111(2):139-46

 

  1. 14. Sato T, Ikeda M, Yotsumoto S, Shimada Y, Higuchi T, Kobayashi H, Fukuda T, Ohashi T, Suda T, Ohteki T. Novel interferon-based pre-transplantation conditioning in the treatment of a congenital metabolic disorder. Blood. 2013 Apr 18;121(16):3267-73.

  1. 15. Kobayashi M, Ohashi T, Fukuda T, Yanagisawa T, Inomata T, Nagaoka T, Kitagawa T, Eto Y, Ida H, Kusano E. No accumulation of globotriaosylceramide in the heart of a patient with the E66Q mutation in the α-galactosidase A gene. Mol Genet Metab. 2012 Dec;107(4):711-5.

 

  1. 16. Higuchi T, Shimizu H, Fukuda T, Kawagoe S, Matsumoto J, Shimada Y, Kobayashi H, Ida H, Ohashi T, Morimoto H, Hirato T, Nishino K, Eto Y. Enzyme replacement therapy (ERT) procedure for mucopolysaccharidosis type II (MPS II) by intraventricular administration (IVA) in murine MPS II. Mol Genet Metab. Mol Genet Metab. 2012 Sep;107(1-2):122-8.

  1. 17. Shimizu J, Fukuda T, Abe T, Ogihara M, Kubota J, Sasaki A, Azuma T, Sasaki K, Shimizu K, Oishi T, Umemura SI, Furuhata H. Ultrasound Safety with MidFrequency Transcranial Sonothrombolysis: Preliminary Study on Normal Macaca Monkey Brain. Ultrasound Med Biol. 2012 Apr 2

 

  1. 18. Fukuda T, Akiyama N, Ikegami M, Takahashi H, Sasaki A, Oka H, Komori T, Tanaka Y, Nakazato Y, Akimoto J, Tanaka M, Okada Y, Saito S. Expression of hydroxyindole-O-methyltransferase enzyme in the human central nervous system and in pineal parenchymal cell tumors. J Neuropathol Exp Neurol. 2010 May;69(5):498-510.
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主な競争的研究費

○日本医療研究開発機構 希少難治性疾患に対する画期的な医薬品医療機器等の実用化に関する研究 薬事承認を目指すシーズ探索研究(ステップ0)(分担研究者:福田)
「ムコ多糖症鵺型の造血幹細胞を標的とした遺伝子治療法の実用化研究」

○厚労省科学研究費補助金医療技術実用化総合研究事業(分担研究者:福田)
「低侵襲的低周波超音波脳血栓溶解法の効果増高に関する臨床応用基盤研究」

○スーパー特区設備整備事業設備補助金(分担研究者:福田)
「急性脳梗塞早期系統的治療のための分野横断的診断治療統合化低侵襲システムの開発特区」

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その他
日本神経病理学会 評議員・教育委員会委員
日本神経学会 専門医・指導医
関東臨床神経病理懇話会 世話人
東京脳腫瘍研究会 世話人
NeuroCPC 世話人
講座(研究室)独自のホームページURL(学内のみ)
http://np.jikei.ac.jp
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