プライマリケアのための臨床研究者育成プログラム

教育方略

もしプライマリケアに従事する医療者が,一人で臨床研究を発案,遂行し,解析ができるようにするならば,かなり長期間のトレーニングが必要とされる.米国での公衆衛生大学院修士課程(Master of Public Health)では,最低でもフルタイムで1年間程度は講義や実習等を受けなければならない.しかしプライマリケア従事者がこのような長期間のトレーニングを継続的に受けることは非現実的である.そこで,臨床研究を発案,遂行,解析する上で最低限必要となる知識や技術をe-learningや短期集中の講義等で指導,養成した上で,コース参加者のネットワークを構築し,そのネットワークのハブ機能を大学病院に置き,必要であれば,専門家にコンサルトできる環境(メンタリング機能)を整えることができれば,多くのプライマリケア従事者にとって有用であることは間違いない.すなわち米国や英国で盛んであるプライマリケア・リサーチネットワークの基礎を構築することに繋がるであろう.

(1)e-learning e-learningの長所としては,経済性(働きながら学べる),柔軟性(自分の好きな時に学べる),地域的多様性(診療環境が異なる人と一緒に学べる),現場直結性(学んだことを現場にすぐにつなげられる)があり,本プログラムの根幹となる方略である.

(2)ワークショップ1年次3回,2年次に2回のワークショップを行う.第1回目は,受講生とスタッフの顔合わせから,各コース概要説明,e-learning操作法,そしてリサーチクエスチョンの作り方をグループワークと講義を組み合わせた形で行う.第2回ワークショップでは,臨床シナリオを用いての,簡易プロトコールの作成をグループワークで行う.第3回ワークショップでは,各自のリサーチクエスチョン発表およびそれについてのdiscussionを行う.またアンケート作成セミナーと質的データ分析ワークショップを,第2回・第3回に行う予定である。2年次には,各受講生のプロトコール発表とdiscussionを行う.

(3)個別メンタリング プログラム中に生じた疑問に対しては,個別のメール,SNS上に設けられたグループでdiscussionを行う.受講生の希望があれば,研究計画を立案し,プロトコールを書きあげる過程,さらにはデータ収集後の解析についても個別にサポートする機会を設ける.内容としては1年次後半からは,各受講生の研究課題設定のためにリサーチクエスチョンからテーマ設定,研究計画立案についてメンタリングが可能である.2年目には,研究計画書を完成させることが目的となるが,準備が整えばデータ収集,データ解析までを支援し,最終的には論文作成指導を行う.       

プログラム委員

東京慈恵会医科大学
松島雅人 委員長(東京慈恵会医科大学 臨床疫学研究部)
外部委員
藤沼康樹 (日生協医療部会家庭医療学開発センター)
名郷直樹 (武蔵国分寺公園クリニック)
三浦靖彦 (東京慈恵会医科大学付属柏病院 総合診療部)
斉藤康洋 (GPクリニック自由が丘)
大谷尚  (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)