東京慈恵会医科大学 森田療法センター
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  ■短期入院例 40代 女性
■社会不安障害(スピーチ恐怖) Aさん 20代 男性 会社員
■強迫性障害 Bさん 20代後半 女性
■社会不安障害(ひきこもりタイプ) Cさん 20代 男性
■慢性うつ状態・Dさん 40代男性 会社員
■パニック障害・20代女性
■身体表現性障害 10代後半男性
 
 

■短期入院例

 職場、学校、あるいはご家庭のにより3カ月間の入院を受けることが難しい方もいらっしゃると思います。そのような場合1ヶ月の短期入院という方法があります。臥褥期7日間、軽作業期5日間、その後約2〜3週間の作業期を行ないます。短期入院を行なった例を紹介します(個人情報保護のため文脈を変えない範囲で修正してあります)。

40歳女性:主訴:憂うつな気分。体を動かすのがおっくう。
診断:気分変調症(慢性うつ状態)
経過:
 うつ病と他院で診断され、薬を飲んで休息をして約1年が過ぎましたた。他院を初診した時よりは改善したようですが、憂うつな気持ち、体を動かすのがおっくうな感じ、集中力が続かない状態が続き日常生活を送るのが困難なことからこの状況を打開したくて当院当科初診に至りました。
 入院後の経過:臥褥により心身の休息を図ることができました。起床初日は外の満開になっている桜を見て感動したとのことです。軽作業期3日目に60〜70%にまで回復したと語りました。うつ病に対し入院森田療法を実施する場合、回復状態に応じて各治療期への移行を弾力的に設定します。しかしこの症例の場合は回復が早かったので原則通り軽作業期を5日で終了しました。作業期に入ると犬の散歩を通して動物に対する愛着がわいてきました。1ヶ月の入院生活によって日中は活動し夜は休息を取るという生活リズムを整えることができました。退院後気分の波があっても生活リズムを整えていきたいと語り約1ヶ月の入院森田療法を終了し退院となりました。

 この患者さんは今まで薬を飲んでただ休息するだけでは改善しなかった方ですが、1ヶ月の入院森田療法の中で、回復のきっかけをつかむことができたといえます。

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■社会不安障害(スピーチ恐怖) Aさん 20代 男性 会社

 中学生のとき、自由研究の発表でクラスメートの前で声が震えてしまい、いたたまれない思いがした。それ以来、人前に立つことを避けるようになってしまった。高校・大学はなんとか卒業したが、就職してしばらく経つと会議で発言をしなければならなくなり、それが苦痛で会社を休むことが多くなった。
 森田療法室に入院してからも、メンバーやスタッフが集まるミーティングはその場にいるだけで動悸がしてしまっていた。やがて病棟での役割も増え、ミーティングで発表をしなければならなくなった。逃げ出したいという気持ちに襲われ、声も震えていたが、無事に発表を終えることができた。一度の成功では自信を持つことはできなかったが、緊張しながらも毎週の発表を続けることができたことで、次第に自信がつき始めると、月に一度行なわれる病棟のスポーツ行事では、企画や司会もこなせるようになった。入院森田療法の経験を通して、「緊張しながらでも目の前のことをやればいいのだ」という姿勢が持てるようになった。
 Aさんは症状も軽くなり、会社に復帰している。現在でも会議では緊張や動悸を感じるものの、避けずにこなすことができている。

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■強迫性障害 Bさん 20代後半 女性

 Bさんは大学を卒業した後、事務職の会社員として勤務していた。そのころはとくに問題なく毎日を過ごしていた。20代後半に結婚を機に退職。結婚してしばらくたつと、次第にさまざまなものが不潔に感じられるようになり、何回も手を洗わずにいられなくなった。入浴にも数時間が掛かり、石鹸が数日でなくなってしまうという状態だった。病院に足を運び、処方された薬を服用すると、多少手洗い行為が少なくなったものの、大きな改善は感じられなかった。そこで入院森田療法を開始した。(入院治療は薬物療法を併用。)
 入院後、「便が汚い」という感覚が強く、動物の世話をすることに躊躇していたが、あるとき動物担当を任されることになった。はじめは嫌々作業をしていたが、病気の動物の世話をしたことをきっかけに「動物たちの命が大切」と感じられるようになり、次第に作業もうまくこなせるようになった。
 入浴時間については、一時間以内に切り上げるように努めた。手洗い行為はやや多いものの、日常生活に支障はなくなったため、入院約3ヶ月で退院となった。

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■社会不安障害(ひきこもりタイプ) Cさん 20代 男性

 大学を卒業した後、すぐに就職するのは不安で、アルバイトをいくつかやった。来院の一年ほど前からは、「自分が何をやりたいのかわからない」と思い、ゲームやパソコンが中心のひきこもりの生活になっていた。「なんとかしたい」とは思うものの、ひきこもりの生活が長くなるにつれ、「ひきこもっている自分を周りの人はダメなやつだと思っているのではないか」と思え、身動きが取れない状態だった。
 Cさんはもともと真面目で負けず嫌い。成績もよく勉強もコツコツと真面目にやるが、失敗することや試行錯誤することが苦手なところがあった。友達に対しても相手が自分をどう思っているかが気になり、気持ちをうまく出すことができないと感じていた。
 入院し、作業期に入るとまず、「不安であっても目の前のことに取り組む」ことが目標になった。それまでは頭で考えるのが先立ってしまいがちだったが、あまり触れたことがない動物や植物の世話を通して「自分が世話をした動物が可愛い」というような、自分の感情にじかに触れることができた。そして「ちゃんと作業をしたい、もっと良い自分でありたい」という健康な力が発揮されるようになり、壁にぶつかったり悩んだりの毎日を過ごして、入院治療をやり遂げた。退院のときCさんは、仲間たちの入院生活で「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」と感じられたことも大きかった、と振り返った。  現在は「不安であっても、はっきりとした答えが出なくても、今できることを探る」ため、アルバイトをしながら就職を目指している。

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■慢性うつ状態・Dさん 40代男性 会社員

 数年前、配置転換のときに、業務内容に大きな変化があり、その負担からうつ状態になった。薬物療法で症状が一旦改善し、復職を果たしたものの、心身の疲労から再び仕事を休むようになった。このような生活が数年に渡って繰り返され、うつ状態からなかなかぬけだせなかったことから、入院森田療法を希望し受診した。
 入院中の作業を通じてDさんの「一人ですべてをこなそうとする」といった完全主義的なスタイルが明らかになった。つまりこのスタイルが心身の疲労を大きくし、うつ状態を長引かせていたのである。入院の後半では、色々な作業を通じて疲労をため込まない生活スタイルについて治療者と共に話し合い、その結果、長いうつ状態から抜け出すことに成功した。

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■パニック障害・Eさん 20代女性 会社員

 Eさんは20代のキャリアOL。仕事も人一倍一生懸命にやり、余暇も習い事に通ったり友達とショッピングに出かけたりと忙しく過ごしていた。ある朝、通勤のために乗った満員電車が停止信号で一時停車した。このとき、突然動悸がして、息苦しくなり、汗をかき、めまいがして床にうずくまってしまった。その日は会社を早退して病院で診察を受けたが、身体には異常がないと言われた。しかし、その一週間後、今度は夜自宅で布団に入ってまもなく、同じような動悸に襲われ、「死んでしまうのではないか?」と感じた。
 その後、同じような症状が出たらどうしようと考えると、誰か一緒でないと外出することもできなくなり、3ヵ月後には仕事もやめざるをえなくなった。家の近くの心療内科のクリニックを受診し、薬も処方されたが、あまり効果は感じられず、半年ほどたってもいっこうに外出できるようにならなかった。そこで、Eさんは自分でインターネットで調べて、森田療法を知り、受診した。家族と離れての入院は不安だったが、「友達と歩きたい」「また仕事をしたい」という思いから、入院を決心した。
作業期に入ったばかりの頃は、作業には真面目に取り組んでいたものの、症状が出てしまうことを恐れて、夏の暑い戸外での作業を避けていた。しかしある日、病棟で飼っている犬が食事を吐いてしまい、翌日電車に乗って動物病院に連れて行かなければならない状況になった。前日の夜は不安でたまらず、看護師にも不安を訴えていたが、当日、背中を押されるように出掛けたEさんは電車に乗れ、犬の診察も済ますことができ、無事に帰ってくることができた。それまでは不安に圧倒されがちだったEさんだが、それからは避けていた戸外での作業にも自ら取り組むようになった。
退院の時には「症状にも原因があったけれど、それ以上に自分で行動を制限していたところがあった。今はやりたいことがやれて楽しい」と話した。

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■身体表現性障害 Fさん 10代後半 男性

 中学生のとき、頭痛・吐き気などに悩まされて、学校を休むようになった。近所のクリニックで自律神経失調症という診断を受け、薬物療法を受けたが症状はよくならず、生活を立て直したいと思い、森田療法を受けるために入院した。
 入院当初は、普段は作業にしっかり参加していたが、対人関係のストレスが加わると、頭痛・吐き気の症状を強く訴え、頻繁に作業を休んでしまっていた。入院するまでFさん自身は、これらの症状は精神的な状態とは関係がないと感じていたが、入院生活を通して次第に、ストレスを抱えたときに強く現れることが明らかになってきた。すると、身体の症状とも少しずつ付き合いやすくなり、また症状があってもそのまま作業に打ち込んでいるうちに、気分や症状が変化していくことがわかった。その後は症状が出ても、すぐ行動を立て直す習慣を身に付けることができ、病棟で行なわれた行事の企画・実行も成し遂げることができた。行事も盛り上がり、他のメンバーからも「良い行事だった」と言われて達成感を持つことができた。今でもストレスが高まると症状は出るものの、生活はすぐに立て直すことができ、専門学校にもかよっている。


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