平成27年度 東京慈恵会医科大学附属第三病院 病院指標

DPCデータにより全国統一の病院指標を作成し公開することで、当院の特徴や体制について理解を深めていただくことを目的としています。

◆DPC(診断群分類別包括制度)とは
DPC(Diagnosis Procedure Combination)の略で、医師が決定した主病名に基づき、入院患者さんの一連の医療行為を、
国で定めた1日あたりの定額の点数から入院医療費を計算する制度です。

◆指標の主な定義
・平成27年度(平成27年4月~平成28年3月)に当院の一般病棟を退院された患者さんのデータが対象になります。
・10未満の数値の場合は、-(ハイフン) を記入しています。

本指標に関するお問い合わせは、当院診療情報室へお願いします。

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード

◆当院のDPC対象患者さんの年齢階級別10歳刻みの退院患者数です。

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1,051 259 434 664 925 1,095 2,072 3,003 2,030 300
 平成27年度の全退院患者数は11,833人と前年度に比べて635人増加しました。当院は東京都がん診療連携拠点病院として、がん診療をはじめ、各種疾患に対する専門医療を提供しており、幅広い年齢層の患者さんが入院されておりますが、最も多い年齢層は70~79歳で3,003人でした。全体から見ても60~80代の方々の割合が多くなっており、全体の60.0%を占めますが、これからも当院は地域の高齢化に対応した“高齢者に優しい病院”を目指して参ります。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード

◆各診療科別に症例数の多いDPC14桁分類入院についてDPCコード、DPC名称、患者数、平均在院日数、
  全国の平均在院日数、転院率、平均年齢、解説を示しております。
◆一般病棟の中における転科においては、主たる診療科は医療資源を最も投入した傷病の診療科で集計しております。

小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040080x1xxx0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎 15歳未満 処置2なし 150 5.95 5.72 0.67% 2.49
040100xxxxx00x 喘息 処置2なし 副傷病なし 100 7.45 6.31 0.00% 3.65
080270xxxx0xxx 食物アレルギー 処置1なし 68 1.78 2.63 0.00% 10.65
 当科は感染症をはじめ幅広い小児急性疾患に対応しています。アレルギー疾患のご紹介も多く、急性期対応のほか、食物負荷テスト、免疫療法(ダニ、スギ、食物抗原)を精力的に行っています。その他、川崎病、けいれん性疾患、自己免疫疾患、内分泌疾患、新生児疾患などへの対応を行っています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx03xx0x 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 内視鏡的消化管止血術等 副傷病なし 83 3.33 2.76 0.00% 70.53
060150xx03xx0x 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 副傷病なし 67 5.69 5.56 0.00% 34.06
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 処置1なし 処置2なし 56 17.57 17.41 0.00% 71.48
 当科では年間170件以上の大腸癌手術を行っており、進行癌でも根治性を損なわない様、積極的に腹腔鏡手術を導入しています。また、肛門に近い癌の場合でも、可能な限り永久的人工肛門にならないよう、肛門温存手術を手がけております。人工肛門の患者さんに対しては、ストーマ専門外来を設け、ストーマ専門看護師を中心に十分なアフターケアに努めています。 ステージIaまでの早期癌に対しては内視鏡科医との連携の元、大腸内視鏡を用いた切除(EMR, ESD)を行っています。 内痔核(いぼぢ),裂肛(きれじ),直腸脱などの肛門疾患は肛門専門外来を設け、侵襲の少ない治療を行っています。
 虫垂切除は、右下腹部の切開が中心ですが、中等症までの場合は腹腔鏡にて行っています。
 
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
07040xxx01xx0x 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む) 人工関節再置換術等 副傷病なし 87 20.13 24.95 2.30% 67.00
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む) 人工関節再置換術等 55 28.24 27.21 0.00% 78.02
070343xx01x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む) 腰部骨盤、不安定椎 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む) 前方椎体固定等 処置2なし 55 21.76 23.32 1.82% 71.91
 当科では、大学病院として高い専門性をもった診療を行うと同時に、地域の基幹病院として一般的な外傷や障害に迅速、適切に対応するというふたつの目標を両立させるべく日々努力しております。手術症例数が多い専門領域と手術内容は、変形性股関節症や膝関節症に対する人工関節置換術および骨切り術、そして頸椎や腰椎の変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などに対する除圧術や固定術です。股関節、膝関節、脊椎ともに、低侵襲でかつ正確な手術を行い、早期の回復を図れるようにしています。一方、骨折に対する手術症例数が多いのも当科の特徴です。高齢者に多くみられる股関節周囲の骨折のみならず、手関節や肘関節周囲の骨折に対しても専門性の高い治療を行っています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010050xx02x00x 非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 処置2なし 副傷病なし 35 11.63 11.91 5.71% 77.34
010200xx99x0xx 水頭症 手術なし 処置2なし 26 5.96 8.20 3.85% 76.42
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 処置2なし 副傷病なし 18 12.61 7.52 11.11% 47.17
 高齢者が多い地域の特性から、慢性硬膜下血腫、特発性正常圧水頭症(iNPH)、転倒による頭部外傷の患者さんを数多く診療しております。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070010xx010x0x 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く) 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術等 処置1なし 副傷病なし 19 6.00 6.14 0.00% 46.11
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む) 鼻骨骨折整復固定術等 処置1なし 処置2なし 17 11.00 5.86 0.00% 46.12
180060xx97xxxx その他の新生物 手術あり 12 6.25 6.84 0.00% 33.33
 当科は、顔面骨骨折などの顔面外傷、神経・腱の断裂や手の骨折などの手の外傷、口唇裂、多指症などに代表される顔面・四肢先天異常、皮膚良性腫瘍(手術、レ-ザ-治療)、皮膚悪性腫瘍、四肢・躯幹の軟部腫瘍、眼瞼下垂、慢性創傷(褥瘡、足潰瘍など)などの多岐にわたる疾患を治療しております。
特に手の外傷は、リハビリテーション科の入院施設もあり、集学的治療を行っております。
 
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080011xx99xxxx 急性膿皮症 手術なし 30 11.43 11.97 6.67 60.57
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 処置2なし 10.49
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 8.97
 当科では、高齢者の受診、そしてその患者が糖尿病や下腿浮腫を合併している例が多い。そのため蜂窩織炎を中心とした急性膿皮症のうち、主に重症例が入院加療しています。その他、基底細胞癌をはじめとする皮膚悪性腫瘍や帯状疱疹の入院も多いです。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 処置1なし 処置2なし 109 9.52 7.59 0.00% 72.98
110070xx02020x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 処置1なし 処置2:化学療法(2) 副傷病なし 29 7.38 8.07 0.00% 67.38
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術 28 8.46 10.25 0.00% 71.82
 当院は東京都がん診療連携拠点病院となっております。そのため、前立腺癌、腎癌、膀胱癌、精巣腫瘍と多岐にわたる患者さんを診療しております。なかでも膀胱癌が多く、年間約130-140件の手術が行っております。非浸潤性膀胱癌に対しては、できる限り膀胱温存ができるような手術および膀胱内注入療法を行っております。また、一部の浸潤性膀胱癌に対しては、術前化学療法と根治手術を併用した治療も行っております。また、悪性腫瘍(がん)だけではなく、前立腺肥大症に伴う排尿障害にも積極的に関わっております。内服治療での治療が困難と判断した場合には、手術による治療を行っております。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 処置2:化学療法ありかつ放射線療法なし(4) 副傷病なし 103 6.10 5.33 0.00% 58.53
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 83 10.05 10.18 0.00% 45.45
120010xx99x50x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 処置2:パラプラチン+タキソテール等(5) 副傷病なし 64 5.92 5.17 0.00% 59.67
 当科では地域に密着した産科、婦人科医療が中心になります。周辺地域、多摩地区は高齢化が進み、これに伴い1.骨盤臓器脱、2.悪性腫瘍症例、3.準悪性腫瘍症例治療が上位症例に拳がります。子宮全摘術は上記1、2に対して施行されるため上位にランクされます。悪性腫瘍症例は比較的進行症例が多く、術後周期的入院化学療法を要するため化学療法症例は必然的に増加します。これに比べると産科関連症例は周辺医療機関で処置しきれぬ場合である程度限定された症例が来院されるため症例数は抑えられます。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 片眼 43 9.95 11.08 0.00% 56.79
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 処置2なし 35 3.03 3.54 0.00% 72.94
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 処置1:水晶体再建術 処置2なし 19 7.74 7.99 0.00% 66.95
 当科では年間約900件の白内障手術を行っており、難症例にも対応しています。今後は多焦点眼内レンズを用いた白内障手術にも対応する予定です。また、高度な専門性を要する眼瞼疾患、涙道疾患に対する手術も多数例行っており、症例数も飛躍的に増加しています。眼科的に高度な技術を要する網膜硝子体手術も多数例行っており、小切開(0.5mm)による低侵襲・短時間手術は早期の視力回復、社会復帰を可能にしています。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 165 7.96 7.76 0.00% 50.66
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 56 8.09 8.20 0.00% 28.04
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 51 5.55 5.53 0.00% 36.51
 当科では、上気道感染症、めまいなどの急性疾患とともに耳鼻咽喉科領域一般の手術症例に対する入院加療を行っています。急性扁桃炎や扁桃周囲膿瘍、喉頭浮腫で咽頭痛が強く、切開排膿や気道確保処置を含めて外来での対応が困難な重症例は入院加療を行っています。手術症例では耳科領域の鼓室形成術、咽頭領域の口蓋扁桃摘出術、頭頸部癌に対する切除(一部再建を含む)など耳鼻咽喉科領域一般に対応していますが、その中で鼻副鼻腔疾患の症例が最も多く、内視鏡を用いた鼻内手術を数多く行っています。
 
リハビリテーション科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010069xx99000x 脳卒中の続発症 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 30 20.90 10.85 0.00% 56.77
010060x099000x 脳梗塞 JCS10未満 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 14 45.79 15.80 21.43% 71.71
010040x099x00x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外) JCS10未満 手術なし 処置2なし 副傷病なし 11 53.55 19.32 18.18% 73.55
 リハビリテーション科が対象とする疾患には、脳卒中や頭部外傷に代表される脳疾患、脊髄損傷等の脊髄疾患、骨関節疾患、腎不全や糖尿病等の内部疾患、小児疾患等、多岐にわたります。これらの疾患により生ずる身体障害、高次脳機能障害、心理社会的障害に対し、当科はリスク管理のもとリハビリテーションを指導させていただき、患者さんやご家族のニーズに沿えるよう包括的な医療を展開しております。特に、脳神経疾患に起因する運動麻痺、失語症、高次脳機能障害に対し、経頭蓋磁気刺激療法を行い、その効果を実証していることから、全国的に患者様が受診されています。また、筋緊張の亢進は、日常生活に大きな支障となることから、ボツリヌス治療を行っています。さらに、当科は、東京都から北多摩南部医療圏域における高次脳機能障害者支援拠点病院に指定されており、高次脳機能障害の治療に入院および外来において行っています。
消化器・肝臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx03xx0x 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 内視鏡的消化管止血術等 副傷病なし 165 3.47 2.76 0.00% 67.45
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 処置2なし 副傷病なし 56 11.79 10.93 1.79% 72.36
060102xx99xxxx 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 48 8.75 7.91 0.00% 61.90
 当科に入院する患者さんの病名は、多い順に消化管出血、胆道感染症、大腸憩室炎などの腸管感染症となります。いずれの疾患も緊急性が高く、当科では救急患者さんを積極的に受け入れ、患者さんの体調や病状に合わせた早期治療を提供しております。また、必要があれば、外科、内視鏡部、放射線部など他部門とも連携して、より良い診療を心がけています。
神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 処置2なし 副傷病なし 33 14.45 19.00 0.00% 73.36
010060x099000x 脳梗塞 JCS10未満 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 29 12.66 15.80 3.45% 72.24
010110xxxxx40x 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 処置2:ガンマグロブリン(4) 副傷病なし 22 18.05 19.87 0.00% 59.73
 当科は神経変性疾患、とくにパーキンソン病関連疾患が多く、入院精査を行っております。パーキンソン病の多彩な臨床症候を評価し、適切な初期導入薬剤の決定を行っています。
 二つ目の脳梗塞に関しても、当院では高齢者症例が多く、他に疾病を併発している脳卒中が多い傾向にあります。脳梗塞の原因検索を積極的に行い、他の疾病との関わりを常に注意深く観察しております。他の診療科および多職種との連携によるチーム医療により治療効果をあげています。免疫介在性・炎症性ニューロパチーはギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーが多く、適切な病勢時期に合わせて速やかにガンマグロブリン療法を行い良好な治療成績を得ております。
腎臓・高血圧内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 69 18.32 13.64 1.45% 66.46
110280xx02x10x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 処置2:人工腎臓(1) 副傷病なし 24 28.88 33.71 8.33% 66.29
050130xx99000x 心不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 20 13.45 18.30 0.00% 79.75
 当科では慢性腎臓病の治療、透析導入、さらにさまざまな合併症をもつ透析患者に対応する診療を行っています。従来からの腎炎の診断・治療に加え、近年多くなっている高齢者の高血圧・動脈硬化を原因とする腎硬化症や、糖尿病性腎症の診断・治療、さらには透析導入時の透析アクセス(注1*)手術に積極的に取り組んでいます。また、腎障害の進行に伴い心不全、脳血管障害などを合併する患者さんも多く、循環器内科・神経内科などの診療科とともに治療することで、腎不全の治療と合併症に一貫性のある診療を行っています。
 (注1*)透析アクセス・・・人工腎臓を介して血液浄化を行うために血液を脱血、返血する窓口
糖尿病・代謝・内分泌内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100070xxxxxxxx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) 165 14.04 15.35 1.21% 65.73
100060xxxxxxxx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) 21 12.05 14.30 0.00% 51.67
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 処置2なし 副傷病なし 14.20
 糖尿病・代謝・内分泌内科は、健診にて指摘を受けた糖尿病予備軍から急激に糖代謝が悪化する劇症1型糖尿病に至るまで、すべての患者さんを診療する体制が整っております。特に1型糖尿病患者さんに対しては、インスリンポンプやSAP(注1*)を用いての治療も行っております。糖尿病治療にとって最も大切な自己管理については、糖尿病を正しく知り、迷信や俗説にとらわれず、科学的な目でしっかり糖尿病について理解して頂き、日々の生活を行えるよう指導しています。食事、運動療法はもちろん、血糖自己測定やインスリン療法についても、医師、看護師、薬剤師や栄養士で構成されたチーム医療を行っています。内分泌疾患についてもホルモン負荷試験、画像検査等を実施して適確な診断を行います。また、他科との連携医療を行うことにより、入院加療における医療の質の向上に努めております。
 (注1*)SAP・・・インスリンポンプに持続グルコース測定機能を搭載したもの
腫瘍・血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 処置2:リツキサン(4) 副傷病なし 51 25.29 17.69 0.00% 71.25
130010xx97x2xx 急性白血病 手術あり 処置2:化学療法(2) 44 47.05 43.59 2.27% 66.02
130040xx99x50x 多発性骨髄腫、免疫系悪性新生物 手術なし 処置2:ベルケイド等(5) 副傷病なし 11 25.64 24.78 9.09% 65.00
 当科では非ホジキンリンパ腫を細分類することで、積極的に治療を行っています。特に高頻度に認められるB細胞リンパ腫に対して、リツキサンの併用療法を施行しています。急性白血病も遺伝子解析や表面抗原の同定を積極的に行い、詳細かつ正確な診断結果をもとに化学療法を行います。多発性骨髄腫は近年治療法の進歩が著しい疾患です。合併症の治療も視野に入れながら、ベルケイド等の新規薬剤を用いて多発性骨髄腫の治療を行っています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 処置1:心臓カテーテル法による諸検査 処置2なし 副傷病なし 147 4.25 3.07 0.00% 70.20
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 処置1なし 処置2なし 109 4.72 4.87 0.00% 70.10
050130xx99000x 心不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 78 20.58 18.30 5.13% 79.27
 日本人の死因の第2位が循環器疾患であり、なかでも虚血性心疾患および心不全はその原因の大半を占めています。急性心筋梗塞に関しては24時間365日の早期の再灌流療法を行うことができる体制を構築しています。速やかな再灌流療法を安全に行うことにより当院での急性心筋梗塞の死亡率は約4%となりました。東京都CCUネットワークでの急性心筋梗塞の死亡率は約6%です。また当地域では高齢者における心不全が増加傾向にあります。高齢者の心不全入院は生活の質を落とす大きな原因の一つです。心不全で入院した患者が入院前の生活水準がたもてるように早期よりリハビリテーション科と連携をして入院関連機能障害の予防に努めています。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9904xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2:化学療法ありかつ放射線療法なし(4) 101 17.32 13.38 1.98% 68.70
040040xx99100x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1:気管支鏡検査、気管支カメラ等 処置2なし 副傷病なし 65 3.65 3.29 1.54% 70.88
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎 15歳以上 手術なし 処置2なし 56 19.66 14.34 3.57% 71.11
 肺癌は日本で一番死亡患者数が多い悪性腫瘍です。当院入院患者さんの中でも肺癌患者さんの割合は多く、気管支鏡検査、CT下肺生検等で診断をおこなっています。内科的治療の主体は抗癌剤加療であり、副作用が強い抗癌剤治療は入院でおこなっていますが、外来で投与できる抗癌剤加療は外来でおこなっています。当院は病院近くに居住者の方が多く、地域の基幹病院として様々な疾患患者さんの診療をおこなっています。肺炎等の急性呼吸器感染症の患者さんも数多く加療しています。
 
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130140xxxxxxxx 造血器疾患(その他) 35 3.00 18.59 0.00% 65.37
180010x0xxx0xx 敗血症 1歳以上 処置2なし 22 25.41 18.99 4.55% 79.36
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 副傷病なし 19 27.58 21.69 15.79% 81.84
 表記の内科とは、当院における総合診療部を表しております。
 当科は臓器にとらわれない診療をしているため、多種の疾患の入院診療を行っており、約70%を急患が占めています。入院回数が最も多かった疾患はキャッスルマン病で、これは、リンパ節腫脹、発熱、免疫グロブリン高値を呈する稀な疾患です。生物学的製剤の定期投与が必要なため、患者数は少ないですが入院回数はトップになりました。次は敗血症ですが、原因疾患としては尿路感染症が最多です。入院を必要とする尿路感染症の約40%に菌血症を認めていました。誤嚥性肺炎がNo3となりました。高齢者を多く診療しており、高齢者の肺炎の多くが誤嚥性肺炎です。抗菌薬投与以外に、嚥下評価、栄養サポート、口腔ケア、リハビリテーションなど多面的な治療が必要になります。
 
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード

◆5大癌について、集計期間に退院した患者さんを対象として、延患者数を集計しています。期間内に入退院を繰り返すなどを
  行った場合は、退院を繰り返した回数分をかけています。
◆「初発」とは、当院において、診断、診断と初回治療、あるいは初回治療を実施した場合です。
◆「再発」とは、初回治療が完了したあと、当院において診療した場合や、再発・再燃または新たな遠隔転移をきたした場合です。

初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 81 15 21 26 55 1 7
大腸癌 36 35 65 21 14 98 1 7
乳癌 27 28 19 1 7
肺癌 14 22 40 108 94 1 7
肝癌 25 14 14 81 1 7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
〈胃癌〉
治療は胃癌治療ガイドラインを参考にして行っています。
内視鏡的治療(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)は、リンパ節への転移の可能性がない早期胃癌を対象としています。胃を切除することなく、食事や体重に影響が少ない体に優しい治療です。当院内視鏡部と連携して治療を進めております。
 癌がある程度大きい場合や高度のリンパ節転移がある場合を除いて、キズが小さく回復が早い腹腔鏡手術を選択しています。拡大手術が必要な場合や腹腔鏡手術の対象にならない進行癌の場合は開腹手術を選択し根治を目指します。術後診断によって再発の可能性が高い患者様は予防的な抗がん剤治療を選択します。
 再発もしくは手術が困難な患者様に対しても抗がん剤治療を選択します。抗がん剤の副作用対策も専門看護師や専門薬剤師とともに積極的に行っています。
〈大腸癌〉
 外科では年間170件以上の手術を行っており、進行癌でも根治性を損なわない様、積極的に腹腔鏡手術を導入しています。また、肛門に近い癌の場合でも、可能な限り永久的人工肛門にならないよう、肛門温存手術を手がけております。人工肛門の患者さんに対しては、ストーマ専門外来を設け、ストーマ専門看護師を中心に十分なアフターケアに努めています。 ステージIaまでの早期癌に対しては内視鏡科医との連携の元、大腸内視鏡を用いた切除(EMR, ESD)を行っています。
〈乳癌〉
 術前より特殊染色病理検査を行い予後の予測により適切な化学療法やホルモン療法などの補助療法の必要性を判断し、各患者さんに適した最良の治療法を提供しています。近年、乳癌の治療は乳房のみの手術だけにとどまらず根治性を求めるため、場合によっては全身病として扱われ、あらゆる治療法を組み合わせた集学的治療が肝要とされています。当院では総合大学病院の利点を生かし、外科、放射線部、歯科、婦人科、脳外科、内科など様々な診療科や薬剤部、栄養部など多種分野の専門家の協力を得て、いかなる状態にも対応できるよう集学的治療を目指しています。さらに乳がん認定看護師はじめ、がん化学療法、緩和ケア、がん性疼痛など専門性を生かした認定看護師にも参加していただき患者さんに病状そして治療内容をより理解し、安心して治療に専念していただけるよう心掛けています。現在乳癌の手術療法は大きく分けて、全摘術と温存術に分かれます。各種検査診断に基づき最適な方法を提供し、希望に応じた方法を選択、術後も必要な場合は放射線治療も院内で行っています。また術前リンパ節転移の可能性がない場合、リンパ浮腫などの弊害がみられる腋窩リンパ節廓清術を省略できるセンチネルリンパ節生検術も行っています。整容性が求められる場合、形成外科による乳房再建術も積極的に推奨しています。乳癌の手術と同時に行ったり、時間が経ってあとから行ったり、自己組織や人工物を使用するなどすべて健康保険にて行えます。当院における乳癌の治療は、最新の標準的治療法を行いさまざまな病態に対応できるよう総合的に、集学的にそして個々に合った最適な方法で行えるようにしています。また近隣医療機関との連携をより一層深め、地域医療に貢献できることを目指しています。
〈肺癌〉
 積極的に内視鏡手術の技術を取り入れ、低侵襲で、かつ根治性と安全性が高い手術を提供しています。比較的早期の原発性肺癌では標準術式である肺葉切除+リンパ節郭清を、約1.5㎝の傷を側胸部に4つ(肺を取りだすために最後に少し1つの傷を広げます)程で手術し、約1週間の入院です。
〈肝癌〉
 外科、内科、放射線部、内視鏡部などと連携をとり最適の治療を選択する集学的治療を行っております。背景の肝機能やステージによってラジオ波凝固、血管閉塞療法、手術を各科のスペシャリストが対応しております。肝癌の高度な手術には最新のハイテクナビゲーション手術室を使用しコンピューター支援手術(ナビゲーション手術)を行っており、疾患の根治性と手術の安全性の向上を目指しております。

成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード

◆入院契機病名および最も医療資源を投入した傷病名が肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎であって、さらにその中でも
  ICD-10コードがJ13~J18で始まるものに限定し、市中肺炎(注1*)の患者さんが対象となります。
◆使用する指標

1.男性70歳以上,女性75歳以上
2.BUN 21mg/dLまたは脱水あり
3.SpO2 90%以下(PaO260Torr 以下)
4.意識障害
5.血圧(収縮期)90mmHg 以下

(注1*)市中肺炎とは通常の社会生活を送っている中で発症した肺炎です。通常はインフルエンザ等のウイルスによるものも含みますが、本指標では除外します。

患者数 平均
在院日数
平均年齢
重症度 0 12 13.33 52.17
重症度 1 23 15.17 65.00
重症度 2 32 20.78 80.41
重症度 3 21 19.86 81.95
重症度 4
重症度 5
不明
 平成27年度に当院で市中肺炎の入院治療を受けられた方は、重症度分類で重症度2以上の、ご年齢の高い層に多い傾向がみられました。また、重症度2以上の市中肺炎例では、2週間以上の比較的長い入院期間を余儀なくされる例が多かったことが示されています。発熱、膿性痰に加え、息苦しさなどの、肺炎が懸念される症状を自覚する場合には、早期に受診されることが勧奨されます。
 肺炎はさまざまな病原体が原因となり、ワクチンですべての肺炎の発症を阻止することは困難ですが、市中肺炎の原因菌として最も頻度が高い肺炎球菌に対するワクチンは、重症化率の低減に寄与するとされ、特に高齢者には積極的に接種することが勧奨されます。
脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード

◆医療資源を最も投入した傷病名が脳の虚血性疾患の患者さんを対象として、その発症から入院までの日数別に患者数、
  平均在院日数、平均年齢、転院率を示しております。

ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 3日以内 17 10.41 68.65 0.00%
その他
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 3日以内
その他
I63$ 脳梗塞 3日以内 92 27.18 74.45 13.04%
その他 29 25.52 70.55 17.24%
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内
その他 11 5.91 69.18 0.00%
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの 3日以内
その他
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> 3日以内
その他
I679 脳血管疾患,詳細不明 3日以内
その他
 当院は高齢者症例が多く、他に疾病を併発している脳卒中が多い傾向にあります。脳梗塞の原因検索を積極的に行い、他の疾病との関わりを常に注意深く観察しております。他の診療科および多職種との連携によるチーム医療により治療効果をあげています。回復期リハビリテーション病院、介護施設、療養型病院、在宅医療などを組み合わせ、患者さんに最も適した医療を提供しております。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード

◆診療科別に手術件数の多い順に上位3術式について、Kコード、名称、患者数、平均術前日数、平均術後日数、転院率、
  平均年齢を示しております。
◆手術術式の点数コード(Kコード)による集計ですが、輸血関連(K920)は除外しております。
◆術前日数は入院日から手術日まで(手術日当日は含まない)の日数、術後日数は手術日(手術日当日は含まない)から
  最終的な退院日までとしています。

外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 鼠径ヘルニア手術 165 1.18 1.22 0.61% 65.30
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 82 0.63 1.48 0.00% 69.18
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 82 1.68 5.77 0.00% 58.73
 鼠径ヘルニアは日本で年間約16万件の手術が行われるありふれた疾患ですが、嵌頓(かんとん:ヘルニアのなかに腸がはまりこむこと)が起こると重症化することがあります。当科ではヘルニア専門外来を設け、年間約200件の手術を行っております。また、他施設の医師にも手術教育を行うヘルニアトレーニングセンターに認定されています。手術はメッシュを用いたテンションフリー法であり、2泊3日の入院を基本としています(1泊2日も可能です)。
 年間170件以上の大腸癌手術を行っており、進行癌でも根治性を損なわない様、積極的に腹腔鏡手術を導入しています。また、ステージIaまでの早期癌に対しては内視鏡科医との連携の元、大腸内視鏡を用いた切除(EMR, ESD)を行っています。ほとんどが1泊入院ですが、ポリープの大きさや部位によっては4-5泊が必要な場合もあります。
 胆石症は腹腔鏡下手術が基本ですが、希望により適応内であればお臍からのみの穴にて手術を行う方法も施行します。胆嚢炎を併発しているときは、適応内であれば腹腔鏡下胆嚢摘出術を早期に行ったり、一時的に炎症をとる処置後胆嚢摘出術を施行しております。また胆管結石併存例では内視鏡的結石除去術後すみやかに胆嚢摘出術を施行しております。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 140 1.75 20.16 1.43% 71.35
K0462 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨 54 2.81 11.64 1.85% 55.02
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) 43 3.12 22.91 6.98% 72.16
 当科では、大学病院として高い専門性をもった診療を行うと同時に、地域の基幹病院として一般的な外傷や障害に迅速、適切に対応するというふたつの目標を両立させるべく日々努力しております。手術症例数が多い専門領域と手術内容は、変形性股関節症や膝関節症に対する人工関節置換術および骨切り術、そして頸椎や腰椎の変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などに対する除圧術や固定術です。股関節、膝関節、脊椎ともに、低侵襲でかつ正確な手術を行い、早期の回復を図れるようにしています。一方、骨折に対する手術症例数が多いのも当科の特徴です。高齢者に多くみられる股関節周囲の骨折のみならず、手関節や肘関節周囲の骨折に対しても専門性の高い治療を行っています。
 
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 41 1.80 12.54 9.76% 77.02
K1742 水頭症手術(シャント手術) 21 13.33 80.43 4.76% 72.81
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 14 8.93 26.43 7.14% 68.21
 慢性硬膜下血腫に対しては穿孔洗浄術を行っています。入院期間はおよそ7日~10日間で、リハビリテーションが必要な患者さんに対してはリハビリ科と合同で治療を行います。
 特発性正常圧水頭症に対しては腰椎腹腔短絡術(シャント術)を行っています。その手術適応については、術前に髄液排除試験(タップテスト)を行って厳格に判断しています。
 脳腫瘍に対する頭蓋内腫瘍摘出術は当科の得意とする手術の一つです。術後の後遺症を軽減するために、神経モニタリングを導入しています。より専門的な脳腫瘍に対しては、がん治療認定医による集学的治療(手術・放射線治療・化学療法)や、神経内視鏡技術認定医による低侵襲な手術も行っています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術 肩、上腕、前腕、大腿、下腿、躯幹 15 1.27 4.20 0.00% 48.80
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法)
K227 眼窩骨折観血的手術(眼窩ブローアウト骨折手術を含む)
 当科では、顔面骨骨折に対する手術、手の外傷に対する手術とその後のリハビリテーションによる機能の回復を目指した集学的治療を行っております。良性腫瘍に対しては手術による摘出術やレ-ザ-治療を病態に応じて行っております。悪性腫瘍に対する手術、乳がん等の悪性腫瘍切除後の再建手術も行っております。特に最近では、眼瞼下垂の手術には力をいれており、眼瞼下垂の病態に応じ眼瞼挙筋短縮術や腱移植によるつり上げ術などの手術を行っております。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 11 1.18 4.09 0.00% 80.73
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満)
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上)
 当科では、基底細胞癌をはじめとする皮膚悪性腫瘍が多く、平均年齢も80歳台と高くなっています。抗凝固・抗血小板薬使用の休薬できないための術前入院もあり、術後は、出血が無ければ1-2日で退院し、外来にて抜糸を行っています。また、良性腫瘍であっても、年齢を問わず比較的サイズが大きいものが多いために術後入院を行っています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(その他) 130 2.21 6.39 0.00% 72.27
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 25 4.52 8.60 0.00% 67.92
K8411 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) 18 2.33 5.61 0.00% 72.44
 当院は東京都がん診療連携拠点病院となっております。近隣の病院・クリニックと連携をとり、悪性腫瘍が疑われる患者さんの紹介を受けております。昨年は約130件の経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)を行っております。膀胱癌の診断には、組織検査が必要なため、この手術が行われます。一部の浸潤性膀胱癌患者さんには、膀胱全摘術を行っております。尿路変更としては、病期およびQOL(クオリティー・オブ・ライフ)を考慮し、小腸を使用した新膀胱による尿路変更(ストーマが不要となる)や回腸導管(ストーマが必要)などを行っております。前立腺癌に対する治療については、開腹および腹腔鏡による前立腺全摘除術も行っております。悪性腫瘍(癌)の治療だけでなく、前立腺肥大症に対して、内服による治療が有効ではないと判断された場合、手術(経尿道的前立腺切除術)を行っております。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877 子宮全摘術 86 1.85 8.27 0.00% 49.41
K861 子宮内膜掻爬術 57 0.02 0.61 0.00% 48.42
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 43 1.30 4.33 0.00% 34.84
 当科では地域に密着した産科、婦人科医療が中心になります。周辺地域、多摩地区は高齢化がすすみ、これに伴い骨盤臓器脱、悪性腫瘍症例が上位症例に拳がります。K8881, 877は主に後者症例数の増加を反映しており、K877は前者症例が多く含まれるようになったものと思われます。これらの確定診断には子宮内膜検査を要するためK861が拳っています。一方、産科手術については、一般症例は周囲開業医で対処され、大学病院では合併症例、異常症例、緊急例を扱うことを主眼としますが、小児科、麻酔科との合同業務であるため事情により症例数は限られます。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 848 1.02 1.02 0.00% 75.55
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 58 0.71 7.41 0.00% 64.33
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 26 1.00 1.04 0.00% 72.42
 当科で行われる網膜硝子体手術には網膜剥離、黄斑円孔、黄斑前膜、糖尿病網膜症、硝子体出血などの疾患が含まれますが、正確な診断の下、最良の術式を検討した上で、最善の手術を行っています。高度な専門性を要する眼瞼疾患、涙道疾患にも対応しており、今後も飛躍的な増加が見込まれています。加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症、ぶどう膜炎・強度近視などの後眼部疾患も増えており、抗VEGF薬治療も増加することが予想されます。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 100 1.20 5.89 0.00% 51.94
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 75 1.12 5.77 0.00% 49.20
K3772 口蓋扁桃手術 切除 63 1.02 6.54 0.00% 28.40
 当院の耳鼻咽喉科では、耳科領域から頭頸部癌手術まで広く耳鼻咽喉科一般に対応していますが、鼻副鼻腔疾患を最も多く手術を施行しています。慢性副鼻腔炎、鼻副鼻腔嚢胞のほかに一部の鼻副鼻腔腫瘍に対しても内視鏡を用いた鼻内副鼻腔手術を多数施行しています。同時に見られる鼻中隔湾曲や下甲介肥大に対する手術も行っており、多くの症例では手術前日入院のうえ1週間以内の入院で対応可能です。また、慢性扁桃炎に対する手術症例も多く入院期間は約1週間程度です。そのほか切除と再建を要する頭頸部癌症例では1か月以上の入院が必要なことがあります。
消化器・肝臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 225 0.75 1.52 0.00% 68.19
K721-21 内視鏡的大腸ポリープ切除術(長径2cm未満) 144 0.72 1.55 0.00% 67.72
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 65 3.31 16.18 9.23% 78.18
 当科で最も手術症例が多いのは大腸や結腸ポリープに対する内視鏡的ポリープ・粘膜切除術です。ポリープの形状を十分観察して、増大や悪性化が危惧される場合には内視鏡で観察しながらポリープ全体を切除しています。次に多いのは胆道感染に対する内視鏡的胆道ステント留置術です。胆道ステントとは、腫瘍や結石で流れが悪くなった胆汁の流れを筒状の医療機器を留置して流れをよくします。胆道ステント留置術を必要としている胆道感染患者さんに対して緊急時にも対応できるよう、内視鏡部とも連携して24時間体制で治療を行っています。
 
腎臓・高血圧内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K610-3 内シャント設置術 45 14.02 19.40 8.89% 66.71
K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術
K6146 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈)
 当科では慢性腎臓病の治療、透析導入、さらにさまざまな合併症をもつ透析患者に対応する診療を行っています。内科的な治療に留まらず、外科・放射線部の指導と協力のもとで、透析アクセス(注1*)関連の手術として、内シャント設置術、経皮的シャント拡張術・血栓除去術、内シャント血栓除去術、さらには連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術を施行しています。これにより当院で透析導入になった患者さんおよび近隣の維持透析施設で透析を行っている患者さんの全身管理、アクセストラブルに対して総合的に対応することが可能となっています。
 (注1*)透析アクセス・・・人工腎臓を介して血液浄化を行うために血液を脱血、返血する窓口
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 149 1.15 5.53 0.67% 69.56
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 27 3.78 14.15 0.00% 81.52
K597-2 ペースメーカー交換術
 冠動脈形成術を年間151名に行いすべてにステントを挿入しています。バルーンのみでの冠動脈の拡張の際には50%程度の再狭窄を認めたが現在は薬剤溶出性ステントを使用することによって再狭窄率は10%以下になりました。対外ペースメーカーを行った患者のうち約53%は体内式埋め込み型ペースメーカー挿入術に移行しており、その他は不整脈に対して一過性にペースメーカーを挿入しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード

◆医療の質の改善に資するため、臨床上ゼロにはなりえないものの少しでも改善すべきものとして、重篤な疾患である、
  播種性血管内凝固症候群(DIC)(注1*)、敗血症(注2*)、その他の真菌感染症、手術・処置等の合併症について、
  入院契機病名(DPC6桁レベル)の同一性の有無を区別して症例数と発生率を示しています。

(注1*)DIC(播種性血管内凝固)とは
 様々な基礎疾患に合併して凝固系が亢進し、全身の最小血管内に微小血栓が多発して臓器障害が起こる病態。
 これに伴って凝固因子、血小板が大量に消費されて減少し、また線溶系も亢進するため出血症状をきたす。原因となる基礎疾患には悪性腫瘍、敗血症が多い。
(注2*)敗血症とは
 細菌感染によってひき起こされる全身性炎症反応(SIRS)。

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる 47 0.39%
180010 敗血症 同一 35 0.29%
異なる 25 0.21%
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 47 0.39%
異なる
 播種性血管内凝固症候群(DIC)は、基礎となる疾患があり、全身性で持続的に著しい凝固活性化をきたし、小さな血管内に血栓が多発し、出血や虚血性臓器症状を呈する重篤な病態です。DICはいかなる基礎疾患でも認められますが、高頻度にDICを合併する基礎疾患には、急性白血病、固形がん、敗血症があります。①内科的疾患では、急性白血病、劇症肝炎、敗血症が、②外科的疾患では急性膵炎、腹膜炎、敗血症、ショック、急性呼吸切迫症候群が、③小児科領域では、急性白血病、敗血症、新生児死亡、呼吸器感染症、④産婦人科領域では、前置胎盤、胎盤剥離、弛緩性出血、敗血症、尿路感染症がDICの合併頻度が高い疾患です。
 ここに示している患者数で「入院契機と同一」とは、入院した時にDICと診断されている患者さんで、「入院契機と異なる」とは、入院した時には別の病気で、経過中にDICを起こして、元々の病気よりもDICの治療に時間を要した(医療費を多く必要とした)患者さんの場合をお示ししています。
 DICの頻度が高い疾患については、各診療科の統計に様々な疾患が提示されていますが、このページには、敗血症、その他の真菌感染症、手術・処置の合併症といった個別の疾患名がつかない傷病名の統計も併せて表示しています。これらの傷病名の統計の読み方は、DICと同様で、「入院契機と同一」とは、入院した時に、これらの傷病名で診断された患者さんで、「入院契機と異なる」とは、入院した時には別の病気で、経過中にこれらの疾患を合併して治療を受けられた患者さんの場合をお示ししています。
 敗血症は、呼吸器感染症、尿路感染症などの細菌感染症に合併して、血液中に細菌が増殖して全身性の重篤な感染症です。
 その他の真菌感染症は、原因となる病検体は真菌であることが判明したけれど、炎症をおこした臓器が限定できない場合などが含まれます。
 手術・処置等の合併症の項目は、さまざまな疾患に対する手術や治療に伴う処置等の合併症で入院された患者さんが含まれます。
更新履歴

[2016.9.28] 平成27年度病院指標を掲載しました