診療内容

[中耳疾患]
慢性化膿性中耳炎、真珠腫性中耳炎、癒着性中耳炎
1年間の中耳疾患手術件数は約230件で特に真珠腫性中耳炎に対しては、外耳道後壁保存による聴力改善手術を施行しています。術前にはCT、耳管機能などで病態を十分に評価することにより手術の成功率の更なるupをはかり、術後は専門外来でfollow upします。


■ 滲出性中耳炎
乳突蜂巣の発育をレントゲン所見から計測し、当院受診までの治療経過を加味して、アデノイド切除、中耳換気チューブ留置術の適応を決定しています。


■ 耳硬化症・耳小骨奇形など、伝音難聴
あぶみ骨手術や耳小骨形成術により難聴の改善が90〜95%の例で期待できます。両疾患とも、100例以上の治療成績の評価より、改良された手術法を行っています。昨年は耳硬化症、耳小骨奇形とも年間に10例前後の手術を施行しております。

[鼻、副鼻腔疾患]
■ 慢性副鼻腔炎、鼻中隔彎曲、術後性上顎のう胞、眼窩ふきぬけ骨折
  ・外傷

当教室で開発した内視鏡下鼻内副鼻腔手術は年間750件にのぼります。内視鏡手術と独自の鉗子の開発により当院では経上顎洞的手術はほとんど行われていません。また副鼻腔乳頭腫などの鼻副鼻腔の良性腫瘍や下垂体疾患に対しても積極的に内視鏡下鼻内手術を取り入れています。またナビゲーション装置の使用により難治例でも安全に手術が行えています。


■ アレルギー性鼻炎
原因抗原の同定および副鼻腔病変の合併の有無を確認した上で、生活指導、減感作療法、薬物治療を組み合わせて治療にあたっています。難治症例に対しては、下甲介粘膜切除術を施行します。確実な手術の効果をあげるためにレーザー手術を併用することもあります。


[頭頸部腫瘍]
■ 喉頭癌、咽頭癌、舌癌、副鼻腔癌、唾液腺腫瘍、甲状腺腫瘍

QOLを考慮した治療を充分なインフォームド・コンセントの上で行っています。頭頸部腫瘍の治療に不可欠な放射線治療は、放射線治療医との充分な連携のもと行います。手術は、微小血管吻合による遊離皮弁を用いた切除部の再建により、治療成績の向上がみられています。低侵襲性手技の開発に努力しています。


[難聴]
■ 突発性難聴

循環改善剤やステロイド投与などの治療を行っております。突発性の難聴が疑われる中に外リンパ瘻、聴神経腫瘍、メニエール病などが含まれている可能性も充分に念頭において、MRIなどの諸検査を進めてまいります。外リンパ瘻に対しては、病変の程度や保存治療の効果など勘案し手術を施行することもあります。


■ 補聴器
補聴器の適応のある患者様には補聴器外来を受診していただき、難聴の専門医の判断により補聴器のフィッティングを行っています。


睡眠時無呼吸
■ 睡眠時無呼吸症候群

最近話題となっている疾患で、耳鼻咽喉科を受診する患者様が増加しております。諸検査の結果で保存療法や手術療法を選択し、扁桃摘出、口蓋形成、鼻腔の手術やnasalCPAPなどの保存療法と組み合わせて良好な成績をあげています。


[喉頭疾患、音声障害]
■ 声帯ポリープ

症例によっては、day surgeryで外来でファイバースコープ下に摘出しております。


■ 反回神経麻痺
音声改善のためにアテロコラーゲン注入を積極的に行っております。


[耳管機能障害]
■ 耳管開放症

耳管狭窄に起因しない耳閉感を訴える患者様のなかに耳管開放症があり、診断し、治療にあたっています。


■ 癒着性中耳炎の術前の耳管機能の評価
鼓室形成術の成功には耳管機能は大きく関わります。術前に耳管機能を正確に評価することで手術の成功率のアップが得られております。