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消化器外科(疾患解説)


胆石


現代は脂肪の摂取量が増え、肥満・糖尿病・高脂血症のようなメタボリックシンドロームが問題になっています。このような脂肪成分の高い食事が、近年増加しているコレステロール系胆石の形成に関与していると言われています。胆石は肝臓の下の主に‘胆のう’という胆汁貯蔵庫である‘袋’の中にコレステロールの結晶を核として石ができてしまう病態です。石のために胆汁が停滞し胆のう炎を、あるいは胆のう管を塞いで激痛の胆石発作を起こしたり、さらには石が胆管に落ちて胆汁の流れを止め、黄疸や急性胆管炎、急性膵炎、肝膿瘍と重症になることもあります。無症状の場合などは必ずしも手術は必要ありませんが、胆石溶解療法や体外衝撃波による破砕療法は効果が不確実のため、あまり行われていません。また石による胆のう粘膜の持続的な刺激により、胆のうがんの危険性も示されています。一般的に石による症状がある場合は、手術適応となります。胆石症に対する手術は、従来大きい傷でお腹を開けて行なう胆のう摘出術でしたが、1990年代よりが腹腔鏡が導入され、小さな傷でも手術ができるようになりました。その結果入院期間も短く社会復帰も早くなり、この腹腔鏡手術数も年々増えています。とは言っても、炎症がひどい場合などは、従来の開腹手術で行なう方が安全なこともあります。当科では年間約100例の胆石症の手術を行なっています。


黄疸と膵がん、胆管がん


皮膚や眼が黄色くなってくる状態を黄疸と言います。尿は最初紅茶色で徐々に濃くなり、だるさやかゆみを伴うことが多く、便はクリーム色に変化します。外科で扱う黄疸は閉塞性黄疸と言い、肝臓から分泌された胆汁(黄色い消化液の1つ)が十二指腸まで流れる道筋のどこかに閉塞が生じ、胆汁が十二指腸に流れず、淀み溢れたものが血管内に逆流し、全身が黄色くなる病態です。原因としては、胆石、胆のう炎、膵がん、胆管がんなどが代表的です。血液検査所見では血清ビリルビンが高くなり、肝機能障害を伴うこともあります。黄疸を放置すると様々な臓器障害をきたす可能性があり、原因の調査(診断)をするとともに、減黄処置(黄疸を改善すること)が必要です。減黄処置には、最近は主に胃カメラを用いて行なっていますが、針で体外から胆管や胆のうを刺すやり方もあります。治療はその原因や程度によって、内視鏡的治療、手術、化学療法などと当然異なってきますので、肝胆膵外科専門医とよく相談し、納得のうえで治療を受けてください。当科では年間平均20例以上の膵がんや胆管がんなどの胆道がんの大きい手術を行なっています。


肝がん、脾臓


肝がんには、肝臓由来のがん(原発性肝がん)と他の臓器のがんが転移してきたがん(転移性肝がん)の2種類があります。原発性肝がんは、その多くがウイルス性肝炎(B型およびC型)から発生してきますし、転移性肝がんは大腸がんがその原因のほとんどです。肝臓は血の固まりの立体的3次元臓器で、肝臓の手術は他の消化器の手術とは異なる面を持ち合わせています。肝臓の活き(肝再生力)が良ければ、一般的には70%まで切除が可能と言われていますが、活きが悪いと手術自体が不可能ということもあります。治療法は手術、エタノール注入療法、マイクロ波凝固療法、ラジオ波凝固療法、肝動脈塞栓術、化学療法などがありますが、当科では肝胆膵外科専門医が中心となって、肝臓を大きく切り取る手術から、上述の様々な治療法をコーディネートして、最良と思われる治療の提供に努めています。また当科では適応があれば、肝臓の手術にも上述した腹腔鏡手術(先進医療症例確保)を取り入れ、患者さんの術後の痛みやストレスをできるだけ減らし、術後の回復を早め、早期退院、早期社会復帰を目指しています。一方脾臓を摘出しなければいけない病態の患者さんにも、積極的に腹腔鏡手術を導入し、術後の痛み、ストレスを減らし、早期退院を図っています。当科では年間約30例以上の肝臓、脾臓の手術を行なっています。


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