東京慈恵会医科大学における文部科学省ハイテクリサーチセンター整備事業

総合医科学研究センター
高次元医用画像工学研究所

 文部科学省が実施しているハイテクリサーチセンター整備事業は、社会的要請の強い先端的な技術開発と基盤的な学術研究を目的とするものであり、日本の科学研究分野での国際競争力を強めるための政策として行われている私大整備事業の一環である。今回、慈恵医大が採択されたテーマは、「医用バーチャルリアリティ (VR)による医学・工学連携体制での新治療法の開発」研究であり、このテーマを基に「 VR補強型イメージガイド手術法の研究開発プロジェクト」、「 VR活用細径脈管領域治療法研究開発プロジェクト」、「高度ロボット手術用 VRイメージングシステムの研究開発プロジェクト」の3つの研究プロジェクトが実施される。

新設された研究施設
  医用バーチャルリアリティ(VR)実験室
 この実験室はスーパーコンピュータと連動した高精細大型ディスプレイ装置と力覚提示装置を使用して、触覚を得ながら臓器、血管等の軟組織の変形を考慮に入れた手術シミュレーションが可能な機能を持っている。さらにこの装置は遠隔ロボット手術のための実験を行うことのできる機能を持っている。例えば、微小ロボットを用いることにより、作業空間が血管や消化管内でも術者が open surgeryと変わらない作業環境で作業ができる、ロボット内視鏡手術システムの開発研究などもこれにより予定されている。


  四次元動作計測室
 この計測室は、時間軸を含めた人体の四次元的な動作を無拘束に計測することができる計測装置を持つ。このために6台の高速赤外線TVカメラによる体表面マーカ計測システムと、被験者の周囲 360度にリング状に設置した60台のTVカメラにより、動作の時空間的な計測を行えるシステムが装備されている。また計測室全体はブルースクリーン化され、クロマキー技術を用いて人体の動作だけを詳細に取り出してコンピュータ内に取り込める工夫もされている。