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平成20年度「戦略的大学連携支援事業」
「東京都内4医療系大学連携によるカリキュラム開発と
地域医療者生涯学習コース提供」

1.取組概要
  東京慈恵会医科大学、昭和大学、東京医科大学、東邦大学の4大学は、都内伝統医科大学として「国民のための医師」を養成し、地域医療を担う医師を全国に輩出してきた。現在、4大学は医学だけでなく幅広く医療者を育成し、「国民のための医療者」を育成することを共通のスクール・ミッションとしている。本取組では4大学の力を合わせ、他職種連携教育の開発電子教材の共有化を通して、学部教育の改善を図り、それらを地域医療者のための生涯学習教材として作成し、eラーニングを用いて地域医療者のための生涯学習コースを確立する。また、大学学務系職員・技術系職員の能力開発プログラムを開発し、大学全体の教育力を向上させる。そして、総合診療能力などの社会的ニーズのある地域を活用した医療者教育カリキュラム開発を共同で実践していく。4大学は学生だけでなく、その教育資源を地域医療者に提供し、その社会的責任を果たしていく。本取組は4大学での地域・大学連携についての提案である。
2.連携提案の背景・主旨・目的
 
 本学(慈恵医大:明治14年設立、医学部医学科・看護学科)、昭和大学(昭和3年設立、医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部)、東京医科大学(東京医大:大正7年設立、医学部)、東邦大学(大正14年設立、医学部医学科・看護学科、薬学部、理学部)の4大学は医科大学として東京に設立され、多くの地域医師を輩出し、全国の地域医療に貢献してきた。4大学はその後、看護学科、歯学部、薬学部、保健医療学部、理学部を設置し、「国民のための医療者」を育成するという共通のスクール・ミッションを独自に展開してきた。しかしながら、1大学の力は限られているとの理由から、医学部が中心となって平成11年(1999年)から慈恵医大・昭和大学・東邦大学が「3大学間の学生教育交流会」を作り、医学教育カリキュラムの共同検討を開始した。平成14年11月(2002年)からは東京医大が加わり「4大学間の学生教育交流会」となり、各医学部6年次での「選択制臨床実習」でお互いの学生の臨床実習での単位互換を行い、学生が混じることでそれぞれの大学の臨床実習の改善を図り実績を上げてきた。この活動は4大学の学長、医学部長が主導し、現在に至っている。

 4大学間の学生交流会での9年間の話し合いの中で、1大学が「小さな独立国家」では困難であるが、4大学が連携を組み「共和国」となることで実現できる医療系学部教育についての検討も行われたが、平成19年度「地域教育コンソーシアム形成支援」が契機となり、どのような連携が可能かの本格的検討が始まり、今までの検討を踏まえ、本取組に応募することとなった。

 4大学は医療系大学群として、学部教育だけでなく、卒業生を含め地域医療者の生涯学習に寄与していくことが伝統私立医療系大学の社会的責任との共通理念がある。そこで、本連携取組では、4大学の力を集結し、カリキュラム開発と地域医療者生涯学習コース提供を行うとするものである。
3.事業の戦略目標
  本連携取組では、4大学の力を集結し、
1) 現行の単位互換科目の継続と新規単位互換科目の検討
2) 各大学での教育能力の向上のための共同取組(FDとSD)
3) 各大学で散在する電子教材の共同開発・共同利用
4) 集めた電子教材の学部教育への利活用とその教材の卒後生涯学習教材化
5) 社会的ニーズである「総合診療・家庭医医療・在宅医療・地域医療・他職種連携医療」を担う医療者育成のための学部教育カリキュラムの共同開発
の5つの柱で社会的ニーズに応えた医療者教育を共同開発する。本連携取組は東京にある医療系大学が連携することでどこまで全国規模で社会に貢献する大学になるかを模索する取組であるとともに、「医療者教育」大学としての4大学の社会的役割を明確化する取組でもある。

 本連携取組では「実施体制」のところでも述べるが、平成20年度にそれぞれの柱についての企画を行い、平成22年度中に取組の基盤を形成し、4大学での単位互換科目の確立、SDの継続可能な体制作り、電子教材の統一管理とそれぞれの大学を通しての地域医療者生涯学習のインターネット教材配信、そして新しい医療者教育カリキュラムの導入を図る。5年後の平成24年度をめどに本連携取組事業の完成を目指すが、その後は4大学の協力の下、この事業を継続させていく。
4.密接な連携を担保するための実施体制の在り方
  それぞれの取組の柱ごとに主管大学を決め、取組を推進する。
1) 現行の単位互換科目の継続と新規単位互換科目の検討
主管大学:東邦大学、責任者:東邦大学医学部卒後臨床研修センター長中野 弘一 教授)
中野教授のもとに、「4大学の選択制臨床実習責任者会議」と「4大学9学部(医学部・歯学部・薬学部・保健医療学部・理学部)他職種連携教育責任者会議」を設置し、現行の単位互換科目の拡充と新規の病院での他職種連携教育のカリキュラム開発を行なう。
2) 各大学での教育能力の向上のための共同取組(FDとSD)(主管大学:昭和大学、責任者:昭和大学医学部医学教育推進室長 高木 康 教授)
4大学全学部から構成される「学務系職員SDプログラム開発委員会」と「IT技術職員SDプログラム開発委員会」を高木教授のもとに組織する。4大学の教職員には高等教育学会会員や大学行政管理学会会員がいる。これら専門家を中心に、事務職員、IT技術職員のためのSDプログラムを開発する。
3) 各大学で散在する電子教材の共同開発・共同利用(主管大学:慈恵医大、責任者:慈恵医大教育センター 福島 統 教授)
4) 集めた電子教材の学部教育への利活用とその教材の卒後生涯学習教材化(主管大学:慈恵医大、責任者:慈恵医大教育センター 福島 統 教授)
4大学のIT 技術職員で構成される「IT技術職員SDプログラム開発委員会」と連携を取りつつ、慈恵医大に教材ライブラリーを作り各大学のIT技術職員の支援を受けて各大学の教材の一括管理と教材の電子化を行っていく。作製した電子教材は学内利用だけでなく、慈恵医大や東京医大がすでに行っているインターネット配信の技術を他大学に供与し、各大学のホームページから地域医療者に向けて生涯学習教材として配信する。
5) 社会的ニーズである「総合診療・家庭医医療・在宅医療・地域医療・他職種連携医療」を担う医療者育成のための学部教育カリキュラムの共同開発(主管大学:東京医大、責任者:東京医大医学教育講座 大滝 純司 教授)
4大学の医学教育担当教員で構成される「4大学地域医療学部カリキュラム検討委員会」を大滝教授のもとに設置する。まずは、地域の教育力を活用した地域医療カリキュラムを開発する。次に、医学部以外の医療系学部に働きかけ、地域での医療者の他職種連携医療教育カリキュラムの開発を進めていく。
 これら5つの柱の進行状況は本連携取組の担当者である福島教授(慈恵医大)、高木教授(昭和大学医学部)、大滝教授(東京医大)と中野教授(東邦大学医学部教授)の4名で定期的に確認していく。また、4大学は年に2回(5月と11月)、「4大学間の学生教育交流会」を開催している。この会には学長・医学部長、教務委員長、学務系職員責任者が集まるので、この会において事業の進行状況を各大学のリーダーたちによって検証していく。
   

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