第1回 慈恵−Mayo Clinicジョイント・シンポジウム

 第1回 慈恵−Mayo Clinicジョイント・シンポジウム −高木兼寛先生のMayo Clinic訪問110年を記念して− を開催しました。
 学祖高木兼寛先生が1906年に米国ミネソタ州ロチェスターのMayo Clinicを訪問してから110周年を迎えます。このたびMayo Clinicと本学のつながりが再認識され、Mayo Clinicから3名の講演者をお迎えして標記ジョイント・シンポジウムの開催に至りました。

日 時:平成28年9月30日(金) シンポジウム 18:30〜20:00  懇親会 20:30〜21:30
プログラム:
シンポジウム(大学1号館講堂(3階))(総合司会 宇都宮一典 教授 炭山和毅 教授)
開会挨拶 松藤千弥 学長
開催経緯 炭山和毅 教授 「1枚の写真が残した慈恵とMayo Clinic の絆」
招聘講演 Dr. David Rosenman  Hospital Medicine: History, Present, and Future (英語)
       Dr. James Newman Admissions and Census Management (英語)
       Dr. Atsushi Sorita 米国における病診連携
閉会挨拶 丸毛啓史 附属病院長

懇親会(中央棟8階 レストラン パティオ)  (司会 芦田ルリ 教授)
開会挨拶 栗原 敏 理事長
       Dr. Christopher Gostout (Mayo Clinic 消化器内科)
乾杯     南沢 享 教授
閉会挨拶 福田国彦 教授

シンポジウムは、学内外からの100名を超える参加者のもと、上記のプログラムの順で進められました。

 まず、本学を代表し、松藤学長から開会のご挨拶がありました。Mayo Clinicと本学は、患者第一という共通の理念を持ち、このたび110年前から続く両施設の友好関係が再認識され、本シンポジウムが開催されることは大変喜ばしく、本学の将来像を考えていく上で、世界有数の病院であるMayo Clinicから学ぶ点は多いと、今後への期待が述べられました。

左:松藤学長 【持っている写真:Mayo Clinicの会議室に掲げられている写真の複製】学祖高木兼寛先生とMayo Clinic創設者Dr William Worrall Mayo (前列左Dr. Mayo、前列右 高木先生)
右:栗原理事長 【持っている写真】高木喜寛先生とWilliam James Mayo先生 (左から高木喜寛先生、長与又郎先生、William James Mayo先生、藤浪艦先生、三浦謹之助先生、ロックフェラー財団Allan Gregg氏、秦佐八郎先生)

 次に、炭山教授からMayo Clinicの概要と、本シンポジウム開催のきっかけとなったMayo Clinicの会議室に掲げられているMayo Clinic創設者のDr William Worrall Mayoと本学学祖高木兼寛先生の写真についてお話がありました。今回の講演者であり、医史学が専門のDr. James Newman が、Mayo Clinic保管の写真に興味を持ったことで慈恵医大を訪れられたこと、また、その際、高木先生の手書きの日記を目にしたことで、Mayo家、高木家の二代にわたる友好関係の詳細が明らかになり、論文として発表されたことなどが興味深く説明されました。

 Mayo Clinicの3名による招聘講演は、病院内における総合診療を担うHospital Medicineと医療連携をテーマとした専門性の垣根を超えた横断的内容でした。まず、Dr. Rosenman からは、本邦では専門分野として未だ認識すらされていないHospital Medicineという領域が、米国で専門領域として確立された経緯や、入院患者のケアを包括的、横断的に行うことの臨床面や効率面での利点についてご講演いただきました。次に、Dr. Newman からは、かかりつけ医から病院外来、外来から入院診療、退院からかかりつけ医への患者の受け渡しや、ベッドコントロール等を、安全かつ効率的に実施するための医療連携の在り方について、全米に広がるMayo Clinicのネットワークの実例を交えながら、ご解説いただきました。最後に、日米両国での臨床経験を持ち、現在はシンクタンクで医療行政の改善に携わっているDr. Soritaから、国際的・俯瞰的観点から総合診療や医療連携の在り方についてご説明いただきました。日米の保険診療や病院診療の環境は大きく異なりますが、講演後は会場から多くの質問があり、患者第一という観点に基づいた熱心な質疑応答が時間の許す限り続きました。

 最後に、丸毛附属病院長から、附属病院における診療体制を充実させ、安全で効率的なヘルスケアを実現するために大変有益なシンポジウムであったと閉会のご挨拶がありました。出席者一同、更なるMayo Clinic との連携強化を期待する中、盛会裏にシンポジウムは終了しました。

 Mayo Clinic からは講演者3名のほか、Dr. Christopher Gostout(炭山教授のMayo Clinic留学時の恩師)、Dr. Kristin Vickers Douglasの2名の来賓がシンポジウムに参加されました。シンポジウムの最後には、5名の来賓者が登壇し、栗原理事長、松藤学長と記念品の交換をされました(写真)。

左から丸毛附属病院長、栗原理事長、Dr. Douglas、Dr. Sorita、Dr. Gostout、Dr. Newman、Dr. Rosenman、松藤学長、宇都宮教授、炭山教授

 また、シンポジウム終了後に開催された懇親会は40名以上の参加があり、シンポジウムの余韻の残る中、今後のMayo Clinicと本学の交流のあり方について活発に議論を交わす貴重は時間となりました。

主 催:東京慈恵会医科大学 国際交流センター