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画像診断報告書の重要情報が共有されずに
1年間放置された事例について

 先日、報道されました医療事故につきましてご報告申し上げます。
東京慈恵会医科大学附属病院では、これまでのヒヤリハット事例などから診療情報共有の不備に対する改善に取り組んでまいりました。にもかかわらず、今回のこのような事例が発生し大変申し訳なく思うと同時に、患者さんはじめご家族、関係者の皆様に心よりお詫び申し上げます。現在病院では総力を挙げて治療にあたるとともに、原因究明、再発防止に取り組んでおります。

 経過:東京慈恵会医科大学附属病院(以下「当院」)において肝硬変でかかりつけの男性の患者さんが2015年10月25日に著明な貧血を認め重篤な状態で緊急入院されました。上部消化管出血を疑い緊急内視鏡検査を施行し消化管出血の治療を行いました。その際に施行された胸腹部CT検査の画像所見で肺癌の鑑別が必要という重大な情報が診療にあたった医師間で連絡がなされないまま、症状が軽快したために退院となりました。1年後の2016年10月13日に腹水貯留(肝機能障害悪化)にて入院した際に、胸部レントゲンを撮影したところ右上肺に異常陰影を認め、胸部CT検査にて進行した肺癌と診断されました。2016年10月29日に主治医より患者さんと御家族に肺癌の診断であるが、肝機能の悪化もあり肺癌の治療は困難であると説明しました。その後、一度退院され、外来主治医から2015年10月の段階で肺癌を疑われる重大な情報があったにもかかわらずその情報が共有されずに1年が経過したことを患者さんとご家族に説明し謝罪しました。現在、患者さんは肺がんに加え、肝硬変の悪化も伴い重篤な状態ではありますが、治療に専念しております。

 このような当院の医師間の情報共有と連携の不適切な対応から患者さんが早期の治療の機会を失うことになったことは、当院の医療安全管理体制の不備から発生したもので患者さんとご家族の信頼を裏切ることになり、大変申し訳なく深く反省しております。今後、患者さんの治療に全力を尽くすとともに、一層の再発防止に職員一同全力で取り組んでおります。

 このたび、今回の医療事故を公表してほしいという御本人の意思を踏まえ、ご家族の御許しをいただき、経過と要因、現段階における対応と改善策を別紙に掲載してご報告申し上げます。

 
     
平成29年2月4日
     
東京慈恵会医科大学附属病院
病院長 丸毛啓史
       
 
 

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