後眼部疾患(網膜剥離・糖尿病網膜症・黄斑円孔)
- 糖尿病網膜症
- 蛍光眼底造影による早期診断を行い、適切な時期にレーザー光凝固を施行しています。進行した網膜症に対しては、専門の術者が積極的に硝子体手術を施行し、従来は難治とされていた症例においても良好な成績が得られております。
- 網膜剥離
- 手術時期を逸すると失明に至る危険性がありますが、当院では適切な時期に手術が行える体制を整えており、初回手術で90%以上が復位しています。
- 黄斑円孔
- 黄斑円孔に対する硝子体手術も積極的に行っており、結果も良好であります。
網膜硝子体外来
- 外来日:
- 木曜午後
- 担当医:
- 渡辺朗、神前賢一、加藤秀紀、岡野喜一朗、柴田朋宏
眼にやさしい硝子体手術
当院では、年間約500例の網膜硝子体手術を行っています。網膜硝子体外来の主な対象疾患は、糖尿病網膜症、網膜剝離、黄斑円孔、黄斑前膜、黄斑浮腫、加齢黄斑変性、硝子体出血などです。
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病を長期間、患っていると眼の奥にある網膜の血管の障害をきたし、網膜の出血や白斑が出現します。適切な時期に網膜レーザー治療を行わないと、さらに進行し新生血管、線維血管増殖膜が形成され硝子体出血や網膜剥離をおこします。このような状態になってしまえば硝子体手術が必要です。
当院における硝子体手術は、従来から行われている20ゲージ硝子体手術システム以外に、低侵襲な最新の23ゲージ、25ゲージ経結膜小切開硝子体手術システムを導入しており、各システムを患者さんの眼の状態によって使い分け、患者さんの眼に負担の少ない手術を行っています。特に若年者の増殖糖尿病網膜症に対しては抗VEGF抗体を用いて硝子体手術を行っており高い治療成績をおさめています。 - 網膜剝離
- 網膜剝離は外傷、年齢による後部硝子体剥離、アトピー性皮膚炎などのために網膜に裂孔を生じ発症します。網膜裂孔の状態ですとレーザー治療が効果のある場合もありますが、網膜剝離に進行した状態では、手術を行わなくてはいけません。
当院では、シリコンスポンジを強膜に縫着するバックリング手術と硝子体手術を、患者さんの眼の状態に合わせ適切に選択し高い治療成績をおさめています。硝子体手術装置も3台有しており急患への対応、バックアップ体制も万全な状態で手術を行っています。 - 黄斑円孔
- 網膜の中心である黄斑に丸い孔ができてしまうのが黄斑円孔です。求心性のゆがみを自覚し視力が低下します。黄斑円孔は、発症の時期がはっきりしない場合も多くみられますが、当院では受診されてから、なるべく早期に手術を予定し、手術直後からのうつぶせ姿勢を行うことにより高い閉鎖率をおさめています。
黄斑円孔や黄斑前膜の手術には25G硝子体手術システムを用いて患者さんの眼に最も負担の少ない手術法によって手術を行っています。
黄斑外来
- 外来日:
- 木曜午後
- 担当医:
- 渡辺朗、酒井勉、林孝彰、神野英生
網膜の中心部は黄斑とよばれており、ものを見るうえで最も重要な場所です。黄斑が正しく働くことにより、良い視力を維持したり、色の判別を行ったりすることができます。黄斑外来は、加齢に伴い著しく視覚が障害される加齢黄斑変性を中心に、黄斑部に異常を来たす様々な疾患を診察・治療する外来です。
- 1. 加齢黄斑変性、高度近視などの眼内新生血管に対する光線力学的療法(PDT)と血管新生抑制薬(ビバシズマブ(注1))眼内注射
- 加齢黄斑変性、高度近視をはじめとする新生血管黄斑症に対してPDT、ビバシズマブ眼内注射あるいは併用療法を行い良好な治療成績を残しています。なお、PDTは、本治療法の認定医のみが施行することができますが、当院では認定医が治療を行っています。
- 2. 糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症の黄斑浮腫に対するビバシズマブ眼内注射
- 糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症にみられる黄斑浮腫の成因として網膜血管の透過性亢進の関与が指摘されています。当院では網膜血管の透過性亢進抑制作用があるビバシズマブの眼内投与を行い、良好な治療成績を残しています。
- 注1:ビバシズマブ(商品名:アバスチン)とは・・・
- もともと転移性結腸あるいは直腸癌に対する治療薬(注射薬)として開発されたヒト化モノクローナル抗VEGF (vascular endothelial growth factor) 抗体で、2004年2月に米国食品医薬品局 (FDA) に認可された薬品です。眼科領域では、その発生、進展にVEGFが主要な役割を担っていると考えられる眼疾患に対しての有効性が期待され、欧米を中心に使用されはじめています。当院においても2007年より適応外使用という形式で、倫理委員会の承認を得、インフォームドコンセントが得られた方に対してのみ眼内投与を施行しています。

東京慈恵会医科大学 眼科学教室