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森田療法について

森田療法は、対人緊張、強迫症状、パニック発作などの神経症や慢性うつ状態に有効な精神療法です。
不安や悩みを自然な感情として、「あるがまま」に、自己をよりよく生かしていく治療法です。


森田療法とは


森田療法とは、慈恵医大精神神経科・初代教授の森田正馬(もりたまさたけ)が自らの体験を通して創始した、入院を基本とする神経症の精神療法です。
日本で生まれ、独自に発展したこの治療法の特徴は、神経症の不安や恐怖を排除するのではなく「受け入れること」で「とらわれ」から離れるという点、また、自分の中にある健康な力や自然治癒力を最大限に生かしていくという点にあります。
恐怖や不安は生きようとする欲望(生の欲望)と表裏一体のものであり、人間誰もが持っている自然な感情です。
しかし神経症の状態では、不安や恐怖を「あってはいけないもの」として「排除しよう」とするあまり、かえってそれに「とらわれ」、症状が発展するという悪循環におちいってしまう場合が多いのです。
森田療法では、不安を「あるがまま」に受け入れながら、よりよく生きようとする欲望を建設的な行動という形で発揮し、自分らしい生き方を実現することを目指しています。
入院治療の中でのさまざまな体験によって、不安や悩みを受け入れながら、症状への「とらわれ」から離れることができ、生きる意欲が生かされてくるのです。


対象となる疾患


社会不安障害
(社会恐怖、対人恐怖症)
人前でひどく緊張する、人とコミュニケーションがうまくとれず悩んでいるなど
パニック障害、広場恐怖 突然動悸が激しくなり、息苦しく感じる、電車や人ごみを避けるようになるなど
全般性不安障害 様々なことが次々心配になり、いつも緊張してリラックスできないなど
強迫性障害 様々なものが不潔に思え、繰り返し手洗いせずにはいられないなど。
ばかばかしいとは思いつつも、ある考えにとらわれてしまう(カギの確認など)
身体表現性障害 身体の病気ではないのに、身体症状が続きとらわれてしまうなど。
多くの場合、症状は心理的ストレスと関係している
軽症だが慢性のうつ 憂うつな気分、気力の減退が続くなど

◆森田療法は、以下のような方々に適した療法です。
・自分の生活を立て直そうとする意欲を持った方。
・神経質な性格(内向的、小心、ものごとを気にしやすい、心配性、完全主義、負けず嫌いなどが特徴)の方。


※原則として総合失調症や躁病には適用されていません。


どのように悩み・不安・恐怖に「とらわれ」るのでしょうか?



悩み・不安・恐怖などの不快な反応に注意を向けると、不快な反応はますます強まります。
するとさらに不快な反応に目が奪われる、という悪循環が起こってしまいます(これを精神交互作用と呼びます)。
さらに、これらの反応を「こうあってはならない」「もっと強くならなければならない」という考えによって排除しようと努めれば努めるほど、一層それを強く意識してしまいます(これを思想の矛盾と呼びます)。
このようにして神経症の症状を固着させることになってしまうのです。


森田療法における「とらわれ」から離れる方法とは?


悩み・不安・恐怖などの不快な反応は、「生きたい」という意欲と裏表一体のもの。
つまり、私たちは「よりよく生きたい」という欲望があるからこそ、悩み、不安になり、怖がるのです。
森田療法では、不快な反応を取り去ろうとするのではなく、「あるがまま」に受け入れることが、「とらわれ」の悪循環から離れる方法だと考えています。
そのような姿勢に転じれば、かえって不快な反応は早く流れ去っていくのです。
そして悩みを持ったまま、治療を通じてさまざまな体験をしていく中で、自分の持つ健康な力や豊かな感情に目が向くようになっていきます。


うつ病復帰期の方々に対しての社会復帰サポート


現在、うつ病とうつ病からの社会復帰の難しさが、新聞でも大きく報道されるなど、深刻な社会問題になっています。
最近では特に、うつ病の急性期を過ぎても「なんとなく気分がすっきりしない」「だるさが残る」「意欲が出ない」などの症状が長期間続く、慢性のうつ状態に悩む方が増えています。
うつ病の治療のために3ヶ月の予定で休職をしたものの、半年、一年たっても「いまひとつ自信が持てない」ために復帰に踏み切れないことも少なくありません。「心身の状態がすっきりしていないと何もできない」「活力に満ちていなければ本来の自分ではない」と考え、身動きがとれなくなってしまうこともあるでしょう。
また、性格的に「こうあるべきだ」と考える傾向が強く、現実とのギャップに悩み、うつ状態に陥り、そこからなかなか抜け出せなくなっている方も多いようです。
森田療法はもともと神経症を対象にした精神療法ですが、このようなうつ病の回復過程にも森田療法の「あるがまま」という視点を生かすことができます。
抗うつ薬を中心とした薬物療法と休息という基本的なうつ病治療に加えて、誰もが持っている自然回復力を生かし、「うつから抜け出すためには、どのような生活姿勢が望ましいか」ということを日常の生活の中で探っていくわけです。
慢性的なうつ病に悩まされている方は、是非一度ご来院ください。


外来・森田療法(森田療法的カウンセリング)


仕事を続けながら、あるいは学校に通いながら治療を受けたい方のために、当センターでは外来での森田療法を行っています。定期的な面接や日記療法などを通して、症状や不安とつきあいつつ、本来の欲求や目的に即した行動がとれるよう援助していきます。  グループによる外来森田療法も行っています。


森田療法が適切かどうかを医師が判断いたします。
森田療法による改善が見込まれる方には、1〜2週間に1回の面接を受けていただきます。 場合によっては日記治療を併用していきます。
症状や不安をお聞きして対処の仕方を助言するとともに、行動を広げ、生活を立て直していかれるよう指導していきます。