


■「事故の再発防止に向けた改善策の提言」24項目に対する改善状況
(平成16年7月現在)
(1)手術の準備段階
1.提言1−1
難度の高い手術を計画する場合は、実験的医療として倫理委員会に症例を限って申請し、手術チームの準備状況を詳細に説明したうえで承認を得るべきである。
【改善状況】
高度先進医療技術や臨床研究につきましては、以前から本学の倫理委員会に申請し承認後、各病院においても審査・承認の上で許可しておりましたが、青戸病院医療事故を教訓として、高度先進医療技術、臨床研究(保険適用外診療を含む)の実施規程及び審査委員会規程を見直し、平成16年4月1日付で制定・改定し、新しい申請・承認・実施体制で運用しております。特に、各病院での審査体制を充実させ、今まで以上に医療技術内容の審査、実施体制、担当者の医療技術レベル等について審査を強化しております。
例として、附属病院(本院)において生体肝移植を計画しておりますが、倫理委員会の審査結果では、症例毎に倫理委員会で個別審査を行うこととし、倫理性の他に移植実施に関する評価委員会等(外部委員を含む)の設置、病院内のチーム医療体制の組織化と教育スケジュールなど、病院において具体的な準備・検討が行われ、体制が確立されているかなどが審査対象とされております。このように、附属4病院でそれぞれ難度の高い手術を計画する場合は、倫理委員会及び各病院長に対して、準備状況を詳細に説明し許可を得た上で、実施することといたしました。
2.提言1−2
倫理委員会で承認を得た手術でも、メンバーが変わるなど申請時と状況が変わる場合は、変更事項につき再度倫理委員会の承認を得るべきである。
【改善状況】
申請時の内容と異なる場合は、以前より倫理委員会への変更申請を行うことになっておりましたが、周知徹底されておりませんでした。この点を反省し、変更事項が生じた場合は、再度倫理委員会及び病院へ申請し、承認を得るよう周知徹底いたしました。
また、倫理委員会と各病院との連携やチェック機構を強化することを目的として、前述の通り関係規程を改定しております。
3.提言1−3
倫理委員会は、承認した手術でも、研究代表者に年に一度など定期的に結果を報告させ、必要に応じて計画の再検討を求めるべきである。
【改善状況】
倫理委員会並びに病院での承認期間は2年を限度としております。今まで倫理委員会と病院の審査委員会との連携が不十分でしたので、申請者が病院側での審査結果通知書を倫理委員会へも提出し、また、承認後1〜2ヵ月の間に病院での手続き状況を倫理委員会に報告することに改めました。(平成16年4月)
また、高度先進医療技術では、実施状況を患者毎に毎月報告させ、治療担当医、診療期間、症例数等の変更が生じた際には再申請(変更)させております。臨床研究(保険適用外診療を含む)においても、毎月及び研究終了時の報告と実施計画変更が生じた際は申請させ、承認を受けるまでは実施させないこととしております。当該申請を受けて、倫理委員会及び各病院の審査委員会で再評価・判断することとなります。(平成16年4月)
4.提言1−4
倫理委員会は、医の倫理に基づいた諸手続きが遵守されるよう対策を立てるべきである。
【改善状況】
| 1) |
倫理委員会と高度先進医療審査委員会並びに各病院に設置した臨床研究等の審査委員会との連携を密にとるよう改め、その手続き方法等を定期的に周知いたします。平成16年7月6日には、医学研究倫理セミナー「ヒトを対象とした医学研究者の倫理的責務」を開催し、ヒトゲノム・遺伝子解析研究と臨床治療研究の計画立案や倫理委員会への申請に関する手続き方法などをテーマとして実施いたしました。
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| 2) |
平成16年度の学生教育の充実について、医学生(医学科)の1年次「医学総論」、2年次「医療安全」に医の倫理に関するカリキュラムを増やし、5年次では「臨床実習」の一環で「医の倫理と安全管理に関するワークショップ*」に参加させております。
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| 3) |
全教職員を対象とした「医の倫理と安全管理に関するワークショップ*」を附属4病院持ち回りで平成15年12月以降、毎月開催して常に今回の事件を教訓として再認識し、啓発に努めております。医学生、看護学生も含めた活動を行っており、今後も継続いたします。
* ワークショップの目的は、本学おける医療の安全と倫理に関し、職種を超えて話し合い、医療現場から理事会及び関連委員会に具体的な改善案を提言することにあり、講義と10名前後の小グループによる討論・発表の構成になっております。
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| 4) |
その他、実施致しました対策につきましては、次の通りとなります。 |
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A. |
イントラネット上に「ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理指針」、「疫学研究に関する倫理指針」、「臨床研究に関する倫理指針」をそれぞれ掲載し、研究者が必要に応じてダウンロードできるようにいたしました。 |
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B. |
上記3指針を掲載したこと及び倫理委員会の手続き方法などを各講座、診療部、研究所に広報いたしました。 |
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C. |
研究期間の延長手続きをする際に、それまでの実施件数・有害事象の有無を記載することを必須とし、再評価、判断項目といたします。 |
5.提言1−5
術前カンファランスを充実させ、その内容を診療録等に記録すべきである。
【改善状況】
関係診療部(科)及び関係部署による術前カンファランスの実施を推進し、その内容を診療録に記録するよう、診療部会議で周知徹底いたします。
なお、附属病院(本院)における診療録の記載状況については、平成16年1月から毎月診療情報委員会が点検を実施し、その結果を診療部会議に報告することにいたしました。
6.提言1−6
新しい医療上の試みは、全学的カンファランスにおいて検討すべきである。
【改善状況】
前述の通り、附属病院(本院)において生体肝移植を計画しております。本学では新しい医療であり、先ず倫理委員会の承認を得た上で、病院内に肝移植委員会・肝移植専門小委員会(外部委員を含む)、肝移植連絡協議会を設立し、病院全体で体制整備(チーム医療の組織化、教育スケジュールなど)を確立し、倫理委員会及び各委員会の実施承認を得た上で合同カンファランスやシミュレーションを経て、肝移植手術を行うことになります。
このように、特定の科だけで行うことはなく、病院全体で関連する診療部(科)及び各部署との協議・連携を図り、患者様の安全を第一に検討しております。
7.提言1−7
術者と麻酔担当医との連携を深めるため、術前に術者と麻酔担当医で手術について協議する機会を設けるべきである。
【改善状況】
附属4病院では、新たに「特殊手術症例手術麻酔連絡票」を作成し、高度先進医療技術、保険適用外手術、その他の特殊手術の場合は、手術施行2週間前に提出を義務付けました。
また、手術内容に応じた術者の経験年数及び症例数等を事前に把握することを目的として、「手術麻酔申込用紙」の改定(平成16年6月)を行い、手術日の麻酔科医、担当看護師を決めております。
なお、「特殊手術症例手術麻酔連絡票」と「手術申込用紙」で、判断できない場合は、事前に術者と麻酔担当医が協議することになっております。
8.提言1−8
麻酔経験の少ない研修医が実質的に多くの手術を担当しているという青戸病院の実態は改善されるべきである。麻酔科医が実質的に責任を持てる範囲に手術件数を削減することは改善策の一つではあるが、必要とされる多くの手術ができなくなるという問題が新たに生ずる。このような麻酔体制の問題は日本全体の問題でもある。日本の麻酔体制を充実させる施策を早期に国が講ずべきである。
【改善状況】
| 1) |
医療事故発生当時の青戸病院では、麻酔指導医2名、研修医2名でありましたが、麻酔指導医2名、麻酔担当医2名、研修医2〜3名の計6〜7名体制に改めました。
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| 2) |
附属病院(本院)では、研修医の教育体制をより安全・強化する目的として、研修医指導体制は、麻酔指導医1名に対して研修医2名(本学の他科の研修医指導制度では指導医1名に対して5名)となっております。また、第三病院では、麻酔指導医2名、麻酔担当医2名、研修医2〜3名であり、柏病院は、麻酔指導医2名、麻酔担当医3名、研修医2〜3名となっております。
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| 3) |
日本麻酔科学会としては医学生を学術集会に招待し、麻酔科の重要性を説明しており、今年度は附属病院(本院)から2名出席することになっております。
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