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青戸病院医療事故報告


青戸病院医療事故外部委員会からの提言に対する改善状況報告



東京慈恵会医科大学附属青戸病院
医療事故に係る慈恵大学医療安全管理外部委員会
中間報告による「事故の再発防止に向けた改善策の提言」
24項目に対する改善状況

  学校法人
理事長
慈恵大学
栗原 敏

はじめに
 本学附属青戸病院において、平成14年11月8日、前立腺癌のために腹腔鏡下前立腺摘出術を受けられた60歳の男性患者さまが、術中出血性ショックとなり、意識を回復されることなく同年12月8日に死亡されるという医療事故が起こりました。手術を担当した医師は勿論のこと、教職員一同、今回の医療事故を深刻に受け止めており、亡くなられた患者さま並びにご遺族の皆様に対し、心からお詫び申し上げます。
  このようなことは、医療機関としてあってはならない重大な事故であり、患者さまとご遺族、ならびに国民の皆様に対し、医療の不信を招いたことを改めてお詫び申し上げます。
 本学ではこの医療事故の原因を解明し、再発防止策を講じるために、大学事故調査委員会を設置し、事実の確認を行いました。その後、平成15年10月27日に日本法医学会、日本病院管理学会、日本内視鏡外科学会、日本Endourology・ESWL学会、日本麻酔科学会、日本泌尿器科学会からの推薦委員、弁護士、報道関係者から構成された医療安全管理外部委員会を設置いたしました。大学事故調査委員会の調査結果を医療安全管理外部委員会にご報告し、更なる調査項目や医療事故の問題点の洗い出し、再発防止策をご提言いただくだけではなく、改善の具体的実施の検証が行われました。
 学内では医療事故を反省し、再発防止に向けた院内の安全管理体制、運用システム、組織管理体制等の見直しを行い、全学挙げて医療事故の緊急対応策、再発防止策を講じてまいりました。この医療事故を契機に、様々な取り組みを始め、できるところから改善し制度化しております。 平成16年4月、医療安全管理外部委員会から中間報告として「事故の再発防止に向けた改善策の提言」が提出されました。本学は外部委員会からの提言に従い、着実に医療安全の具体的な改善策を実施しておりますが、この提言24項目に対する改善状況をご報告申し上げます。

抜本的な改善・改革を目指して
 附属青戸病院の医療事故により、医療全体に対する信頼を損ね、患者さまや国民の皆様をはじめ多くの方々からの信頼を失いました。皆様より数々の厳しいご意見をいただいており、改善・改革の参考にさせていただいております。
  医療事故を引き起こした問題点として、1)説明と同意の不徹底、2)高度先進医療の諸手続きに対する理解と認識の欠如、そして高度先進医療に対する誤認識、3)判断・指示、命令系統の未整備、4)権限と権限委譲の不明確、5)手術室内の曖昧な管理体制、6)倫理観の欠如等があげられます。今回の事故を個人的な問題だけではなく、組織のあり方そのものに原因があったこと、また、そのことを見過ごしてきた各人の意識にも原因があることを深刻に受け止めなければなりません。
  このたびの医療事故を大学及び病院の存続に係る事態であると深く受け止め、大学病院として、また、地域における中核的な医療機関として高度な医療を提供する役割を再認識し、今まで以上に医療の安全管理体制を確立しなくてはならないと考えております。
  青戸病院の医療事故を教訓に、本年11月8日から1週間を医療安全週間とし、次の活動を行ってまいります。

(1)
安全管理への願いを込めて、医療安全週間のシンボル「みどりのリボン」を全ての教職員、学生、委託職員が着用いたします。
(2) 皆様からから医療安全に関するポスター、標語、シンボルマークを募集いたします。
(応募締め切り:10月16日)
(3) 11月8日、全機関合同リスクマネジメントシンポジウムを開催いたします。
(4) 各部門において、医療安全に関するスモールグループ討論を行います。
(5) 11月10日、医療機器安全講習会「人工呼吸器の使用方法」を開催いたします。
(6) 院長、医療安全管理室長等による医療安全院内ラウンドを行います。


  私たちは、原点に立ち返り、病院の理念であります、「患者さまの立場にたった医療の実践」「最高かつ最善の医療の提供」「良き医療人の育成」を改めて認識し、病院の信頼回復を図るための対策を早期に講じ、再構築に向けた抜本的な見直しを行い、再びこのような事故が起こらないよう、医療の安全と質の向上に一層気持ちを引き締めて取り組んでまいります。
  また、改善・改革の取り組みは、今後も継続して実行し、取り組み内容や成果などをホームページ等でご報告いたします。
  良き医療人の育成と医療安全の改善・充実に全力をあげて取り組むことが、亡くなられた患者さまとご遺族に対する償いと考えております。改めて、患者さまとご遺族にお詫び申し上げます。


「事故の再発防止に向けた改善策の提言」24項目に対する改善状況
                              
(1)手術の準備段階
(2)手術チームの決定・教育・研修
(3)腹腔鏡手術の実施
(4)止血が長引いた場合の救命措置
(5)緊急時の院内支援体制の整備
(6)説明と同意の手続き
(7)事故後の危機管理体制の整備

 



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