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「研究活動復帰支援研究費」制度の魅力をご紹介

慈恵大学では、2019年度より「研究活動復帰支援研究費」(制度開始当初は「女性研究者キャリア支援研究費」。以下、本研究費)と呼ばれる独自の学内研究費制度を設け、公募・審査を経た採択者に研究費を交付しています。本研究費は、出産・育児などのライフイベントにより研究活動の一時中断を余儀なくされる女性研究者、または40歳以下の研究者を対象としており、研究活動への円滑な復帰やキャリア継続の支援を目的としています。

本研究費の採択後のアンケート調査・インタビューに参加した研究者は、本研究費の大きな魅力として「通常の研究費では計上できない出費にも適用できること」を共通して挙げています。研究遂行のための諸経費に加え、研究活動にかかるタクシー費用や、学会参加時の子どもの旅費、託児費なども計上できるため、研究と育児を並行して進める研究者にとって、大変使いやすい研究費である点が特徴です。

また、2022年度より男性研究者も本研究費の交付対象となりました。今後は男性研究者も含め、本研究費の獲得・活用によって育児をしながら研究活動を継続し、本学の研究をさらに発展させていけると良いという意見も多くいただきました。

以下、本研究費の活用やキャリア継続について、3名の研究者のお考えを伺っています。

山地 佳代子 先生

幅広い経費計上と研究を継続できる安心感が最大の魅力

山地 佳代子 先生(東京慈恵会医科大学 熱帯医学講座、助教)

私は現在、研究活動と育児を並行して行っています。研究活動では、マダニがヒトを認識する機構、特にマダニが二酸化炭素を認識する機構の解明やマダニの第1脚にあるセンサーの分子基盤の解明を行っています。フィールドワークや学会参加といった出張はありますが、所属講座の教授の配慮もあって、出張は以前よりはやや控えめなペースで行い、通常の勤務時は可能な限り定時で退勤するようにしています。

本研究費については、所属講座の教授より案内があった際に迷わず応募しました。本研究費の獲得によって柔軟な経費計上が可能になっただけでなく、育児しながら研究することを「大学が認めてサポートしてくれている」という安心感が得られており、気持ち的にも安定して研究を行うことができています。出産後に退職という選択肢を迫られる女性研究者もいる中、本学は「育児も研究も頑張りなさい」と我々を応援してもらえているようで、大変心強く感じています。

研究活動を行う心構えも変わってきています。幅広く経費を計上できること、気持ち的な安心感が得られることなどから、生活の基盤が安定し他の研究費へ応募するモチベーションが高まりました。また、初めは育児しながら研究活動を継続することに不安がありましたが、本研究費のサポートにより、現在は毎日育児に翻弄されながらも、一層効率的に研究ができるようになりました。定時退勤に向けて時間を最大限利用できるよう業務を組み、通勤時の移動時間はタブレットで仕事する、といった工夫を行っています。今後も、本研究費による大学からの支援や研究室メンバーからのサポートを忘れずに、日々研究に邁進していきたいと思います。

クb惜棍紗里 先生

研究の効率化とキャリアアップを目指すことができるメリットを実感

柗本 紗里 先生(東京慈恵会医科大学 法医学講座、准教授)

私は、剖検診断における課題点などから着想を得て、剖検例における死亡原因究明のためのマーカー検討をテーマに研究を行っています。剖検例では臨床で通常用いられている基準値を適用できず、カットオフ値などを改めて検討することが必要なため、かなりの時間がかかります。しかし育児中のため、限られた時間内でどのように研究時間を確保するのかが課題でした。

一部業務の外部委託も検討していたため、所属講座の教授から本研究費の紹介があった際に応募を決めました。本研究費の獲得後には、多忙のために先送りにしていたマーカー値の計測プロセスを外部委託できるようになり、自身の時間をより多く確保できる点に大きなメリットを感じています。また、気持ちの面でも安心感や解放感が得られてゆとりが生まれました。さらに、ネックとなっていたプロセスが進んだことで、論文執筆に向けて大きく加速できたと感じています。長期的には論文数がより多くなると考えられますし、キャリアアップにもつながると捉えています。

出産・育児をしながら研究も行う研究者にとって、「育児も仕事もキャリアアップも」とすべてを手に入れることは大変ですが、それを目標にチャレンジすれば成功することもできますし、本学にはそのための支援制度もあります。今後、自身もチャレンジを続けていきたいですし、皆さんもぜひチャレンジしてそれぞれの目標を達成していって欲しいと思っています。

永井 聡子 先生

研究のモチベーション向上と柔軟なキャリア設計が可能に

永井 聡子 先生(東京慈恵会医科大学 整形外科学講座、助教)

私は、整形外科学講座で「外反母趾の病態に関する画像解析」の研究を進めています。健常者や外反母趾の方々の画像データを広く取得・解析して、従来用いられている外反母趾角分類の再検討や悪化の起点などを、明らかにしたいと考えています。

ちょうど研究を開始するタイミングで本研究費についての案内があり、すぐに応募しました。本研究費の獲得後は、大学から投資をしてもらっていることで「結果を出そう、頑張ろう」という気持ちが生まれ、より積極的に研究に取り組めています。現在までに、目標数のデータ取得が完了したため、今後はこれらのデータを用いた統計解析を進め、論文として結果を残せるよう尽力したいと考えています。

また、本研究費はキャリア形成における選択も広げてくれていると思います。本学では、臨床研究を継続し成果を論文発表することで、大学院に進学しない場合でも博士号を取得できる可能性があります。私も現在行っている研究を着実に進めて、博士号を取得したいと思っています。

私の所属講座・医局では今後女性医師を増やしていく方針であり、また、大学病院の強みを生かして、臨床と研究の双方に携わっていくことが推奨されています。そのため、医局説明会の中で女性医師向けに働き方を紹介する時間をいただき、そこで私から、臨床と研究の両立や本研究費を利用して研究を行うメリットなどを伝えています。出産・育児をしながら働く女性医師が増えている中、本研究費の支援を受けて積極的に研究活動を進めていってもらえると良いと思います。


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