2024年度 学校運営評価結果

1.目的

学校運営評価は、学校教育活動の全般において、その質の向上に向けて改善策を講じること、また、学校の設置目的を達成するために行う。

2.実施期間

2025年3月25日~3月29日

3.集計日

2025年4月13日

4.評価者

教職員21名 (学校長・参与・専任教員・事務職員)
学校関係者委員2名

5.実施方法

  • (1) 学校運営評価基準による自己評価
    「学校運営評価基準」を用い、全教職員が無記名で自己評価したものを集計した。提出率は 100%であった。評価項目は、8カテゴリー(I.学校運営 II.教育課程・教育活動 III.入学・卒業対策 IV.学校生活への支援 V.管理・運営・財政 VI.施設設備 VII.教職員の育成 VIII.広報・地域活動)、167 の下位項目からなる。評価尺度は、良い(5点)やや良い(4点)普通(3点)やや不十分(2点)不十分(1点)の5段階である。

  • (2)自己点検・自己評価
    「学校運営評価基準」自己評価の集計結果を、学校運営会議、教員会議で報告し、全教職員で自己点検・自己評価を行った。

  • (3)学校関係者評価
    自己点検・自己評価の結果について、学校が依頼した学校関係者委員と学校運営会議構成員からなる学校関係者委員会を開催し、意見交換を行った。

  • (4)総括
    (1)~(3)の結果をもとに、学校運営会議構成員によって総括した。

  • (5)結果の公表
    総括した評価結果を、教職員、非常勤講師、大学、学生、保護者等に公表(ホームページ)する。

6.評価結果

(1)カテゴリー毎の結果
 
評価項目 Ⅰ.学校経営 Ⅱ.教育課程・教育活動 Ⅲ.入学・卒業対策 Ⅳ.学生生活への支援 Ⅴ.管理運営・財政 Ⅵ.施設設備 Ⅶ.教職員の育成 Ⅷ.広報・地域活動
2024年度 4.1 4.0 4.4 4.5 4.4 4.4 4.0 4.1
2023年度 4.2 4.1 4.2 4.5 4.5 4.4 4.0 3.7
2022年度 3.6 3.8 4.0 4.3 4.1 4.0 3.4 3.6
2021年度 4.1 4.2 4.2 4.5 4.2 4.4 3.7 3.7
2020年度 3.8 3.8 4.0 4.3 3.8 3.7 3.4 3.2

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評価結果グラフ

7.自己点検•評価


I. 学校経営
慈恵大学の中長期事業計画に沿って、本校の部門目標(BSC)を作成しビジョン、プランを周知した。教職員は部門目標に沿って個別目標を設定し、業務遂行した。評価結果は4.1となり、前年度4.2よりわずかに低下したが、おおむね大きな変動はない。「部門目標の文章化」や「運営評価結果の公表」「教職員への周知」の項目では高評価を得た。「中間評価を後期に活かす」「計画の見直し」の項目に課題がある。「人材の配置」については、公平性や納得感を担保しながら、一人ひとりの能力が発揮され、学校全体のチーム力向上につながる役割分担をしていく必要がある。

II. 教育課程・教育活動
評価結果は4.0であった。教育目標、卒業時の到達度、学習内容、授業計画等は、講義概要どおりに安定して運営された。3学年すべてが新しいカリキュラムとなり、102単位を修得した卒業生を輩出した。項目別では「社会情勢に合わせた内容」が低評価であった。厚生労働省の改正趣旨に沿って、社会情勢にあわせた学習内容となるよう組み立てたカリキュラムだが、年度を経て継続的に時代の要請に応える内容に変化させる必要がある。
カリキュラム改正で新たに盛り込んだ 地域包括ケアシステムの理解と療養の場の多様化に対応する力、多職種連携や協働のための基礎的能力、倫理的感性の醸成、臨床判断、ICT活用、国際感覚の育成などの分野では、科目設定理由に見合った成果を得ている。
コロナ禍以降、遠隔授業を継続していた科目をできるだけ対面形式に戻し、講師との直接コミュニケーションやリアルな経験談を聞く機会を大切にした。e-learningシステムは、対面授業と並行して有効活用している。教室内のWi-Fi環境が整備され、今後はさらに活用の幅を広げていくことが求められる。
授業(講義・演習)に関する学生アンケート結果の総合5段階評価の平均は、1年生(39科目)4.2、2年生(33科目)4.1、3年生(5科目)4.2であった。
臨地実習では、依然として感染症の影響を受けて病棟変更や学内待機を余儀なくされることがあった。学生本人の感染症罹患による補充講義、追試験、補習実習は、格段に減り対応も円滑であった。新規に特別支援学校、小学校、地域包括支援センターでの実習契約を結び、予定通り実施された。次年度はさらに地域・在宅看護論実習の実習施設が増える予定であり、打ち合わせや事務手続きが煩雑となるため細心の注意をしながら進める必要がある。
「同じ診療科の実習場所に重複しないように実習病棟を確保」の項目が低評価であった。実習病棟数は確保しているので、できる限り重複しないように調整する。主な実習病院では、実習指導者が専任で固定される指導体制となり、指導者との関わりにおける心理的安全性や学びの継続性が保たれる成果があらわれている。

III. 入学・卒業対策
評価結果は4.4で、近年では最も高評価となった。前年度に大幅に減少してしまった入学者数が、定数を満たすほど劇的に変化したことが評価向上の要因であろう。入学者選考方法の見直し、高等学校に出向く学校案内等に注力したことが入学者増につながったと分析する。オープンキャンパスは4回/年 開催し、好評を得た。今後も受験者数、入学者数の確保は困難が予想されるため、推薦指定高校の見直し、受験者・入学者の動向やターゲットを分析したうえで広報活動を行うなどの対策が重要である。
第114回看護師国家試験の合格率は100%であった。就職率は100%、進学者は3名(助産師学校)であった。退学者率は大きく減少したが、例年に比べ休学者数が多かった。休学の理由は、単位未修得等による再履修のためが多く、時間をかけても卒業したいという前向きな思いによる。
既卒者、中途退職者への支援の強化が必要であり、新たに卒業生支援体制を構築する。

IV. 学生生活への支援
評価結果は4.5であった。進路に関する相談対応や情報提供、就職ガイダンスの実施、学校カウンセラーとの連携、健康面の支援、自治会活動の促進等の項目で高評価を得た。健康管理では、毎日の健康状態確認を継続し、定期健康診断は100%実施した。各種ワクチン接種はすべて学校が負担して実施している。メンタル面の健康管理としては、プライバシーを守ったうえでカウンセラーと強い連携を保っている。自治会活動では、学校生活を楽しめるよう各種イベントの企画運営を支援している。さらに、隣接する病院職員と学生が連携して患者サービス等に活発に参画している。今後もこれらの学生生活の支援は継続して行う。

V. 管理運営・財政
評価結果は4.4であった。年間計画に基づいて予算・事業執行を行った。授業料等の滞納はなかった。各種奨学金、公的な修学支援制度等の申請手続き等は事務が確実に実施している。
個人情報保護対策とその周知・徹底については例年、高評価である。危機管理マニュアルの見直しが必要だったが、十分に行われなかったため、次年度は確実にマニュアルを構築する。
防犯意識の向上では、千葉県警察本部生活安全部による防犯講習会に加え、柏市消費生活センターによる美容エステやチケット転売、フィッシング詐欺等への注意を促す講習会を開催した。
ハラスメント対策等の取組みについての評価は概ね良いと回答されている。前年度に策定した「看護専門学校の教職員のためのハラスメント防止ガイドライン」を改訂し、大学の規程に加えて使用している。

VI. 施設設備
評価結果は4.4であった。長年の課題であった老朽化して使いにくかった学生更衣室の改修工事が終了し、新しく快適になった。また、在宅看護実習室の改修も終了し、住宅のリビングルームに近づけた演習環境が整った。次年度も引き続き、老朽化したセミナー室、教室等の改修を予定している。教室のWi-Fi環境が整い、ICTを活用した教育に活用している。情報処理室のすべてノートPCの機種交換が実施された。校内のLED化も進行中である。

VII. 教職員の育成
評価は4.0であり、前年度と同様の結果であった。可能な限り研修に参加できるよう勤務調整し、全員が何らかの研修に参加した。また、看護教員全員が希望の学会に参加し、報告書を提出している。参加後の成果を「組織的に教育に取り入れている」の項目で不十分との評価が出ている。伝達講習の方法を工夫していきたい。臨床研修等は希望通りに学べるよう系列大学附属病院と連携している。研究活動としては、看護教員の大学院での学修成果を組織内で発表した。次年度は看護教員のFDとして、関連三校協働でキャリアラダーの作成を計画している。

VIII. 広報・地域活動
評価は4.1となり、近年で最も良い結果となった。前年度の評価を受けて、入学対策とともにかなり注力した。特に、SNSを開設して学校生活の様子を発信しはじめたことが広報活動の大きな変革になった。また、できるだけ遅滞なくホームページを更新した。「広報活動の結果、受験者増になっている」の項目が大幅に上昇し、教職員が広報活動の成果を実感していることがあらわれている。柏市教育委員会からの協力要請による養護教諭研修会の講師派遣、地域健康フェアのボランティア参加等の活動を行った。今後もさらに地域とのつながりを拡充していきたい。

IX. 全体
全体的におおむね前年度と大きな変化はなく、安定して学校運営された。「Ⅲ.入学・卒業対策」「Ⅷ.広報・地域活動」が良い評価となったのは、広報活動、入学対策で大きな成果があったことが要因であると考える。校内の改修工事やメンテナンス等も計画通りにすすみ、変化を実感できていることも高評価につながったといえる。
学校運営評価の時期について、年度末の繁忙期と重なり、落ち着いて回答、集計する時間がとりくにくいとの意見があった。また、細かい項目で共通認識できていない、周知が甘かった点があることもわかった。評価実施のタイミングを再検討するとともに、学校経営や管理運営等の内容の共有、周知を意識する必要がある。
次年度は引き続き、受験者・入学者数の確保と、完成したカリキュラムの評価、改善に注力する。

8.学校関係者評価

2名の学校関係者委員より頂いたコメント、意見を以下にまとめる。


II. 教育課程 教育活動について
・カリキュラム改正で新たに盛り込んだ学習内容を、それぞれの教員がいかに自分の領域の講義や実習指導の中に取り入れられるかが大切である。
・社会から求められる看護の能力は大学も専門学校も変わらない。社会情勢に合わせ、継続的に時代の要請に応えるカリキュラムにするためには、文部科学省「看護学教育モデル・コア・カリキュラム(令和6年度改訂版)」等も参考にされるとよい。

III. 入学 卒業対策について
・前年度の応募者の減少に対して、入学者数を確保したことは大いに評価できる。受験生がこの学校を選んだということに他ならない。教職員の取組みや選ばれる学校になるための校舎の改修等の成果があったのだろう。大変な努力をされたことがうかがえる。
・退学者が少なかったのは良かったが、休学者や再履修者が多いのはその分、教員の労力が割かれているということだろう。今後も、手厚いサポートが必要な学生が一定数入学するので、きめ細やかな学生支援をお願いしたい。
・卒業生支援体制の必要性を挙げているが、看護教員はカリキュラムの充実にこそ力を注ぐべきであり、卒業生の支援までに手が回らなくても仕方がないと捉えてもよいのではないか考える。

V. 管理運営 財政について
・安定した学校運営を継続していることは評価できる。
・事務室の細やかな書類手続き等は大変行き届いている印象である。
・施設の老朽化に対する改修、メンテナンス等への努力は大変評価できる。現代の学生は、学校設備のきれいさに入学意思が左右されるようになってきているので、ぜひ継続していただきたい。

VIII. 広報・地域活動について
・広報活動の成果が目に見える形で現れたのは良かった。
・千葉県柏市の地域包括ケアは、「柏モデル」として全国に誇るシステムである。ぜひ「柏モデル」の地域包括ケアを学生がもっと理解できるようにしていただきたい。


全体的に、安定して学校運営に取り組んでいることが伝わった。意欲的な取り組みをぜひ外に向かって発信してほしい。今後も課題に取り組み、教育活動の充実を図ることを望む。

9.最終評価

学校運営に対する自己点検・自己評価、学校関係者評価を受け、最終評価として検討すべき今後の課題は以下の通りである。

1)受験者、入学者確保対策の推進
2)時代の要請にあわせたカリキュラム改善
3)前年度評価や中間評価を活かした学校運営
4)全体力向上と納得感のある人材配置の工夫
5)実習施設との円滑な連携
6)学校設備、教育環境の整備
7)ICTを活用した教育の拡充


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