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患者さん、医療者パートナーシップの現状 (リハビリテーション科の場合)


患者さん、ご家族とのパートナーシップ 前に戻る

 リハビリテーション治療の目的は、患者さんの障害をできるだけ軽減し、さらに残された患者さんの能力を最大限引き出し、それにより可能な限り人間として望ましい生活ができるように医学的側面から治療・支援することで、最終的には患者さんの生活再建が目標です。
 したがって、治療の主体は生活していく患者さんおよびそのご家族であって、私たちにはそれを医学的側面から支援することが求められ、この関係を常に意識しながら治療に当たっています。すなわち、患者さんやご家族と医療スタッフは、互いに協力しながら生活再建という共通の目標に立ち向かうパートナーとして位置付けられ、この関係の強化が治療の質を高めることになります。ここではその具体的な過程を、リハビリテーション科に入院治療した患者さんを例にご紹介いたします。

 

入院前

 外来で入院前に面談を行い、私たちから退院時に予測される機能的予後について患者さんおよびご家族にご説明します。その上で、患者さんおよびご家族それぞれが必要としていること、望まれていること、および思い描いていらっしゃる将来的な生活像についてお伺いし、共通の治療目標の設定をおこないます。リハビリテーション医療を円滑に進めていくためには、患者さんやご家族が主体的に方向性を示していただくことが必要だからです。

 

入院後


 私たちは患者さんやご家族のニーズを取り入れながら入院治療計画書を作成し、治療工程を説明しながら、患者さん側のニーズが反映されたものであるかをお互いが治療パートナーとして確認します。
 一方、リハビリテーション治療は、多くの医療者が関与するチーム医療という形式をとるため、それぞれの専門職(当院の場合では、リハ医、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、リハ看護師、医療ソーシャルワーカー、義肢装具士)が患者さんの状態を詳細に評価し、入院後1週間をめどに話し合いを行い、医療者側の治療目標の設定と統一を図ります。この時点で、医療者側が設定する治療目標と、患者さん側のニーズとの間に解離を認める場合には、お互いに十分なコミュニケーションをとり、その差を埋めておく必要があります。
 その後ある程度リハビリテーション治療が進んだ時点で、出来れば患者さんやご家族も交えた話し合いを全体で行い、期間をふくめた治療目標の再確認をおこないます。そこで問題があれば再調整が必要で、その上で退院に向けた準備へと工程を進めていきます。いうならば、リハビリテーション治療は、そのひとつひとつが生活再建に向けたそれぞれ独立したプロジェクトと考えられ、その成功のためには、プロジェクトの主体者である患者さん側のニーズを私たちがしっかり把握した上で、治療を進められることが必要なのです。

 

退院後

 生活再建を目標とするプロジェクトが成功したか否かは、退院後少し時間がたってみなければ正確にはわからないもので、退院後の様子を患者さんおよびご家族からお伺いし、この後のプロジェクトの参考にしていきます。
 以上示した過程に沿って私たちはリハビリテーション治療を行なっています。治療を成功させる鍵は、それぞれのプロジェクトの主体者である患者さんやご家族と、私たち医療者側の良いパートナーシップ無くしては成り立たないことがお伝えできましたら幸いです。