外来診療

不育症外来

不育症とは

厳密な定義をもつ医学用語ではなく、生児が得られない病態を総括して指しますが、狭義では習慣流産と同義語です。また良好胚を体外受精しても繰り返して着床不全をおこす症例、非常に早い時期の流産(化学流産)を反復する症例といった不育症として取り扱われているものから、既往子宮内胎児死亡、重症胎児発育遅延、重症妊娠高血圧症候群などの重症胎盤機能不全が原因と思われる産科合併症までの広い範囲を含むこともあります。原因は人それぞれですが、適切な検査と治療により、およそ8割以上の方が生児を得ることができます。
また、流産や死産をくり返す不育症症例に対して病態別に、アスピリン・ヘパリン療法などの抗凝固療法や夫リンパ球療法(免疫療法)を行っており、約85%の成功率を得ています。

不育症の原因 当科での頻度 主な治療法
子宮奇形
内分泌異常
内科的異常
感染症
20-30% それぞれの原因に対する治療
(子宮中隔切除/ホルモン療法など)
抗リン脂質抗体陽性(症候群)
血液凝固因子異常
50-60% 抗凝固療法
(ヘパリン/アスピリン/ステロイドなど)
染色体異常 3-5% 遺伝相談
同種免疫異常
細胞障害性免疫の高活性
5-10% 免疫療法(夫リンパ球免疫療法)
原因不明 20-30% 心理相談/ビタミン剤・漢方など

診療実績

当科不育外来における 患者数および治療成績(2004-2012)

当科不育外来における患者数の推移 (2004-2012)
初診患者数 1514名
抗凝固療法施行数 1053症例(うち治療後分娩例654例)
免疫療法施行数 139症例(うち治療後分娩例82例)
<治療成績>
抗凝固療法妊娠維持率 85.5%(染色体異常による流産を除く)
免疫療法妊娠維持率 75.5%(染色体異常による流産を除く)