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卒業生からのメッセージ

人との絆は大切な財産です

 私は現在、大学院生として総合医科学研究センター高次元医用画像工学研究所で研究を行っています。研究所ではわれわれ医師も参加しながらバーチャルリアリティを含めた次世代医用画像技術の研究、また、その技術を応用した新しい治療法の開発を行っています。私の研究テーマは、超音波内視鏡を用いて体内の詳細な三次元画像をリアルタイムに獲得すること、さらに、その画像をガイドに用いた新しい内視鏡的低侵襲治療法を開発することです。本学は単科大学であるにもかかわらず他分野との協力のもと、新たな医学の領域を切り開く試みが積極的に行われています。学生数も少なく個々を非常に大切にしてもらえるので、領域にとらわれず新しいことに取り組みやすい環境といえるでしょう。

 勉強ばかりではありません。部活動も非常に盛んなので、ぜひ参加してみてください。一生懸命に取り組むことで同級生や先輩、後輩との絆を深めることは学生時代にしかできません。良い医療を行う事はあまりに難しく、たとえ医師になったとしても常に迷いや不安が伴います。そんな時、人との絆が何よりも大切な財産になります。  入学されたら、思う存分やりたいことに挑戦し、追求してください。

皆さんと共に歩める日を

 心待ちにして医師を志すにあたり、大切なことが2つあります。1つは、「人を診ているということ」もう1つは、「生命科学に支えられて治療しているということ」です。この2つは、車の両輪のごとく、バランスを保つことによって最善の医療を実践することが出来ると考えます。人は体と心をもっています。その両方が、癒される時、病が治癒したと言えるのではないかと思います。2500年前、ギリシャの医師ヒポクラテスは、医師としてまず心すべきは、「患者に害を与えるな」ということを言っています。治すために、患者さんに苦痛を強いてはいけない、死ぬ ような危険をむげにさらしてはならないと悟しています。医師の究極の使命は、病気そのものを治すことだけではなく、人生を全うするにあたり、幸せを感じることが出来る体と心を持てるように患者さんに接することではないかと考えるのです。学祖・高木兼寛の建学の精神、「病気を診ずして病人を診よ」は、今も慈恵人に脈々と受け継がれております。私もその教えに沿い、本学で教育を受け、医療を実践しております。

 現在、生命科学が進歩し、病態生理を含め病気のメカニズムが遺伝子や分子のレベルで明らかになりつつありますが、まだまだ未知なことも多く、常に研究する心を忘れないことが大切だと感じます。すなわち、常に疑問を持ち続けることではないかと考えます。私は臨床系大学院に入学し3年が経ちますが、この研究がいつの日にか多くの悩める患者さんへの治療の礎になればと期待して研究を続けています。皆さんはどんな医師をめざしているのでしょうか。きっかけは、何でもいいのです。希望を胸に皆さんが入学され、共に歩んでいける日がくることを楽しみにしております。