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医療安全管理指針

制定 平成 11年 3月 1日
改定 平成 12年 6月 1日
改定 平成 15年 1月 15日
改定 平成 15年 12月 3日
改定 平成 16年 11月 25日
改定 平成 18年 4月 1日
改定 平成 18年 7月 1日
改定 平成 19年 7月 1日
改定 平成 20年 2月 1日
改定 平成 20年 8月 1日
改定 平成 21年 6月 1日
改定 平成 23年 4月 1日
改定 平成 24年 9月 1日
改定 平成 25年 10月 1日
改定 平成 26年 4月 1日
改定 平成 27年 10月 1日

1. 基本方針

東京慈恵会医科大学附属病院(以下、当院)は、本学の建学の精神である「病気を診ずして病人を診よ」を基本理念として患者本位の医療を実践しているが、医療技術・医療機器等の急速な進歩により、医療行為が益々複雑多岐となってきている現在、医療における安全確保が課題になっている。また、患者とのコミュニケーション不足による医療技術への不信感を招いていることや、医療過誤が疑われ訴訟に発展する可能性のある事例の発生など、種々の医療問題が発生している。国民の生命を預かり健康回復・増進を使命とする我々医療機関には「患者が安心して医療を受けられる環境を整え、提供すること」が求められている。最も避けるべきは医療を通じて加害することであり、それには「人間は必ずミスを冒す」という事実を認識し、個々人の知識・技術の向上に加えて、安全が確保できる良好なチームワークとシステムの構築が必要である。

当院に勤務する全ての教職員および委託・派遣職員に対して、より安全な医療の提供と患者満足度の向上を第一にした医療活動を再認識させ、安全に対する意識を育み関係法令を遵守した改善・改革を推進していくことを安全管理の基本方針とする。

2. 組織と体制

当院では、医療安全管理のために組織運営の責任者である院長を中心とし、以下の医療安全管理体制を敷いている。

1) 医療の安全性の確保と適切な医療を提供するとともに、病院機能の向上と運営改善に資するために、医療安全管理部を設置する。
2) 医療安全管理部は医療安全推進室、感染対策室をもって構成され、当院における医療安全を組織横断的に推進し、適切かつ効率的に事故防止を図り、安全管理を行う。
3) 医療安全推進室は、医療問題に関する、調査・分析・指導・研修等を行うとともに、セーフティマネジメント委員会で決定された医療安全に関する実務を遂行する。
4) 感染対策室は、院内感染関連問題に関する調査・分析・指導・研修等を行うとともに、感染対策委員会で決定された感染対策に関する実務を遂行する。
5) 当院全体の医療安全管理について検討・協議を行う組織横断的な委員会として、セーフティマネジメント委員会を設置し、下部に属するセーフティマネージャー会議、各ワーキンググループ、その他の臨時委員会とともに以下の項目に関して審議する。
  1. オカレンス、インシデント、アクシデントレポートに基づいた事例の把握ならびに原因分析に基づいた防止対策・改善策についての協議ならびに院長への具申
2. 医療安全改善策の関連各部署への周知徹底の指導ならびに支援
3. 緊急セーフティマネジメント委員会の開催判断
4. 医療安全推進のための啓発、教育、広報活動
5. 医薬品ならびに医療機器の安全管理推進活動
6. 院内感染対策の推進活動
7. スタットコールおよび院内迅速対応システム(RRS)の発令状況の把握と分析
8. その他のセーフティマネジメントおよびリスクマネジメントに関する事項
6) 当院全体の院内感染対策について検討・協議を行う組織横断的な委員会として、感染対策委員会を設置し、以下の項目に関して審議する。
  1. 院内感染に関する報告に基づいた問題点の把握ならびに改善策の審議
2. 感染対策案を病院全体へ周知徹底
3. 薬剤感受性状況の検討ならびに抗生物質の適正使用に関する検討と指導
4. 届け出伝染病
6)-2 医療安全管理および院内感染対策について、発生した事例の分析や関連事項の企画立案、情報共有を目的として、医療安全管理部長を議長とする医療安全連絡会議をおき、以下の事項を審議する。なお、医療安全連絡会議は原則として週1回開催し、その内容は病院運営会議に報告する。
  1. 病院として確認すべき事例の報告と対応の検討
2. 医療安全管理部が主管する委員会等の議題ならびに審議事項の確認
3. 院内感染対策に関する事項
4. 医薬品の安全管理に関する事項
5. 医療機器の安全管理に関する事項
6. その他医療安全管理、院内感染対策に関する事項
7) 安全管理の責任者として院長より任命された以下の各部門責任者をおく。
  1. 医療安全に関する十分な知識を有する看護師等を医療安全管理者として任命し、医療安全の推進および安全管理に必要な以下の役割を担う。
  (1) 医療安全管理部門の業務についての企画立案および評価
(2) 定期的な院内巡回による各部門における医療安全対策の実施状況の把握と分析、ならびに医療安全確保に必要な業務改善等の具体的な対策の推進
(3) 各部門における医療事故防止担当者への支援
(4) 医療安全対策の体制確保のための各部門との連携および調整
(5) 医療安全対策に係る体制確保のための研修の企画と実施
(6) 患者相談窓口担当者等と連携した医療安全対策に係る患者・家族の相談への適切な対応
2. 医薬品に関する十分な知識を有する薬剤師を医薬品安全管理責任者として任命し、医薬品安全管理に必要な以下の役割を担う。
  (1) 医薬品の安全使用のための業務手順書の作成と管理
(2) 教職員に対する医薬品安全使用のための研修の実施と記録
(3) 医薬品の業務手順書に基づく管理・使用状況の確認と記録
(4) 医薬品の安全使用のために必要な情報の収集
(5) その他、医薬品の安全確保を目的とした改善のための方策の実施
3. 医療機器に関する十分な知識を有する医師を医療機器安全管理責任者として、臨床工学技士を医療機器安全管理実務責任者として任命し、医療機器安全管理に必要な以下の役割を担う。
  (1) 教職員に対する安全操作教育が必要な医療機器に関する定期的研修の実施と記録
(2) 医療機器の保守点検に関する計画の策定、適切な保守点検の実施と記録
(3) 医療機器の添付文書、取扱説明書等医療機器の安全使用、保守点検に関する情報整理と管理
(4) 医療機器の不具合情報や安全性情報等の一元的収集と医療機器取扱者への適切な情報提供
(5) 管理医療機器の不具合や健康被害等に関する内外の情報収集と関係法令に留意した院長への報告
   
4. 院内感染対策に関する十分な知識を有する日本看護協会認定感染管理認定看護師を院内感染対策担当者として任命し、院内感染対策に必要な以下の役割を担う。
  (1) 院全体における感染管理に関する企画立案および評価
(2) 病院感染サーベイランスの実施と医療処置に関連する感染対策の向上
(3) 感染に関わる問題発生時の迅速・適切な対応
(4) 感染対策に関わるマニュアルの作成と運用
(5) 職業感染対策に関する企画立案および評価
(6) 感染対策に関するコンサルテーションおよび研修の企画と開催、広報の実施による全職員に対する教育・啓発活動
(7) その他、感染対策に関わることへの対応

3. 医療に係る安全管理のための職員研修

セーフティマネジメント委員会および医療安全管理者、医療安全推進室および感染対策室は医療事故・院内感染防止に係る全教職員の意識改革と安全管理意識の高揚ならびに医療資質の向上を図るとともに、職種横断的な医療安全活動の推進を考慮し、全教職員を対象に教育・研修を企画、実施し、実施後の評価と改善を行う。なお、教職員は医療安全にかかわる研修会および感染対策にかかわる研修会、それぞれを年2 回以上受講することが必要である

1) 教育・研修内容
  (1) 当院の医療安全管理システム
(2) 過去の事例から学ぶ医療事故・院内感染防止対策
(3) 医療安全に関連する法規および時事問題への啓発
(4) 医療人としてのチーム医療や医療安全に関する意識
(5) 医療法に定められた医薬品の安全使用、医療機器の安全使用、院内感染対策
2) 医療安全推進室および感染対策室は、教育・研修会の開催日時、出席者、内容を記録し、出席状況を適宜通知する。

4. 用語の定義

1) 医療事故
医療に関わる場所で、医療の全過程において発生するすべての人身事故で、医療従事者の過誤や過失の有無あるいは医療行為との関係性は問わない。
  (1) 医療事故には合併症や偶発症、ならびに回避不可能事例や医療従事者が不利益を被った場合も含まれる。
(2) 合併症とは医療行為の結果、ある一定の頻度で発生する既知の出来事、偶発症とは事前には予想されない未知の出来事であり、両者とも人為的過誤なしに発生した事象を示す。
(3) 医療事故には、医療行為に問題があって発生したもの(過失による医療事故:医療過誤)と、医療行為には問題がないにもかかわらず発生したもの(過失のない医療事故)がある。
2) 医療問題
医療行為の実行の有無や実害の有無には関係なく、インシデントとアクシデントを総称した医療の安全性確保に問題が生じることが予想される事象。
3) オカレンス(予め定められ、報告が求められる事例)
合併症も含めた標準的な医療から逸脱した多くの事例を収集し、医療の質の評価と改善につなげるため、過失の有無や因果関係にかかわらず、組織として報告することが定められた事象。
4) インシデント
院内で発生した患者に被害を及ぼすことはなかったが、"ヒヤリ"と、あるいは"ハッ"とした出来事。
  (1) ある医療行為が実際には実施されなかったが、仮に実施されたとすれば、何らかの被害が予測される場合。
(2) ある医療行為が実際に実施されたが、結果として被害がなく、またその後の観察も不要であった場合。
5) アクシデント(医療事故)
行われた医療行為において、その目的に反して生じた有害な事象。
6) インシデント、アクシデントレベル インシデントやアクシデントを、生じた影響の大きさに応じて、レベル0から5に分類したもの。

5. 医療問題発生時の報告・対応

1) 報告の目的
報告制度の目的は、医療機関として院内各所で発生した医療問題を早期に把握し、関係者の安全確保、原因究明、再発防止策の立案などに役立てるための有用な情報を提供することである。個人責任の追及ではないため、医療問題を報告したものに対しては、これを理由に不利益となる処分を行わない。
2) 報告方法
医療問題発見者は、レベル0 からレベル2までの場合には部門セーフティマネージャーに、レベル3以上の場合には部門セーフティマネージャー、所属長,医療安全推進室に、連絡するとともに、24 時間以内にSafe Master®に入力する。なお、Safe Master®に入力できない場合は、医療問題発生報告書を用いて24 時間以内に医療安全推進室に報告する。
3) 院長等への報告
レベル3b 以上の医療事故発生時には、所属長ならびに医療安全推進室は、院長、医療安全管理部長へ報告し、指示を仰ぐ。
4) 医療事故発生時の対応
医療事故発生時には患者安全を最優先とした対応を行うとともに、患者・家族に正確に事実を説明する。また、関係者は医療安全推進室と共に原因、対策、再発防止案などを検討する。
5) 診療録・看護記録などへの記録
医療事故の内容や経過は、説明日時、説明者氏名、患者側出席者氏名、患者との続柄、説明内容、質疑応答内容と共に、診療録、看護記録、病状説明用紙などに正確に記載する。

 

6. 重大な医療事故発生時の対応

1) 初期対応
重大な医療事故が生じた場合には、当院の総力を結集して患者の救命と被害の拡大防止に全力を尽くす。また、当院のみでの対応が不可能と判断された場合には、遅滞なく他の専門機関の応援を求め、必要なあらゆる情報、資材、人材の提供を受ける。
2) 現状保存
事故発生前後に当該患者に使用した薬剤、医療器具、医療機器設定値については事故発生時の現状を保存する。
3) 事故対応窓口
医療スタッフは医療事故に即答あるいは言及することを慎み、病状説明書以外の念書等文書の提出や医療費免除要求に関しては即答せず、診療部長および医療安全推進室を窓口にした院長の判断を仰ぐ。
4) 患者・家族への説明
事故発生後可及的速やかに病院管理者と事故関係者が集まり、事故原因、事故発生後の処置内容ならびに対応を検討し、病院としての見解をまとめ、それに基づいて速やかに患者あるいは家族に説明する。なお、説明を単独で行うことは避け、診療部長あるいは代行者が、複数で事実経過についてのみ誠意を持って説明する。
5) 緊急セーフティマネジメント委員会
特に重大な医療事故と判断された場合には、セーフティマネジメント委員会委員長は緊急セーフティマネジメント委員会あるいは緊急事例検討会を招集できる。
6) 医療事故調査委員会
医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、管理者がその死亡を予期しなかった事例が発生した場合、院長は医療事故調査委員会(院内事故調)を招集する。
7) 関係省庁への報告
届け出が必要と判断された重大事例については医療安全推進室が速やかに財団法人日本医療機能評価機構医療事故防止センター、厚生労働省関東信越厚生局、文部科学省高等教育局および東京都福祉保険局医療政策部医療安全課へ報告する。
8) 所轄警察署への異状死の届け出
異状死と判断される場合は東京慈恵会医科大学附属病院(本院)「所轄警察署への異状死の届け出ガイドライン」に準拠して対応する。
9) 医療事故等の公表
医療事故等の公表については、「東京慈恵会医科大学附属4 病院医療事故等公表基準」および「東京慈恵会医科大学附属4 病院医療事故判定委員会内規」に準拠して対応する。

 

7. 患者相談窓口の設置

当院に寄せられる患者の苦情等について迅速に対応するとともに、患者の意見や期待を当院の医療安全管理に積極的に活用および反映させるため、患者相談窓口を設置する。

8. 患者との情報共有

1) 患者との情報共有に努め、診療録の開示請求があった場合は、診療情報の開示に関する規程等に基づき対応する。
2) 本指針は当院のインターネットホームページに掲載し、患者および家族から閲覧の求めがあった場合はこれに応じるものとし、照会は医療安全推進室が対応する。

9. 東京慈恵会医科大学附属4 病院の連携強化(情報の共有化)

医療安全管理部は医療安全に関し附属4 病院の緊密な連携を図り、セーフティマネジメントに関する情報等を共有し、医療安全の推進に努める。

10. 本指針の改定等

セーフティマネジメント委員会は少なくとも年1 回以上、本指針の改定等の必要性について審議し、病院運営会議での承認を受ける。

附則

本指針は、平成27年10月1日より改定施行する。