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先進医療について

平成30年8月1日現在
当院において承認され現在行われている先進医療は下記の通りです。

多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術(白内障に係るものに限る)

診療科

眼科

適応症

白内障

料金

片眼393,000円

承認年月日

平成21年12月1日

主な内容

白内障とは、眼の中のレンズである水晶体という組織が白く濁ったために、外からの光が眼の内へ十分入らなくなった結果、物が見えにくくなっている病気です。白内障が原因で生じた不快な症状を改善させ、視力を取り戻すためには、手術によって濁った水晶体を取り除き、眼内レンズという人工のレンズと交換する以外には方法がありません。通常使用する眼内レンズは、単焦点レンズを使用することが普通です。しかし、この場合は、調節力が失われるため、遠方視力を重視する度数に設定すると、近くを見るときは老眼鏡が必要で、近見視力を重視すると、遠くを見るときにはメガネが必ず必要になります。そこで遠くも近くもメガネをかける頻度を減らしたいという要望にこたえるのが、最近様々なメディアで話題になっている多焦点眼内レンズです。本レンズはその構造が繊細であり、運用には従来の単焦点眼内レンズにはない注意が必要であります。しかし、適応がある患者さんに正しく使用されれば、通常の単焦点レンズでは得られない二ヶ所の焦点を得ることが可能になり、患者さんの術後のライフスタイルに大いに貢献するものと考えます。詳しくは眼科のホームページ(http://www.jikei.ac.jp/ophthalmology/iol/index.html)をご覧ください。

パクリタキセル静脈内投与(一週間に一回投与するものに限る。) 及びカルボプラチン腹腔内投与 (三週間に一回投与するものに限る。) の併用療法 上皮性卵巣がん、卵管がん又は原発性腹膜がん

診療科

産婦人科

適応症

上皮性卵巣がん、卵管がん又は原発性腹膜がん

料金

18,180円

承認年月日

平成24年1月1日

主な内容

手術で腫瘍を切除した後に、抗がん剤(パクリタキセルとカルボプラチンの2種類の薬)を3週間ごとに6コース点滴で静脈内投与をするのが、進行上皮性卵巣がん、卵管がん又は原発性腹膜がんの標準的な(現時点で最良と考えられている)治療法です。
しかし、1)従来の治療法と、2)比較的少なめの量のパクリタキセルを週1回の点滴で静脈内投与して同時にカルボプラチンを3週間ごとに点滴で静脈内投与する新しい投与法を比較した臨床試験の結果が報告されました。その結果、2)の新しい投与法を受けた患者さんの予後が改善されることが明らかになり、世界的に注目されています。
また、近年欧米では、シスプラチン(カルボプラチンと同じグループに属する抗がん剤)を用いた腹腔内投与についての臨床試験がいくつか行われました。その結果、抗がん剤の腹腔内投与は静脈内投与と比較して、患者さんの死亡のリスクを約20%減少させることが明らかとなり、世界的に注目されています。
そこでがんに対するより有効な治療法の確立のため、このような臨床試験が計画されました。
投与法2が高度医療として行われます。

●投与法1

比較的少量のパクリタキセルの毎週点滴静脈内投与とカルボプラチンの3週間ごと点滴静脈内投与

●投与法2

比較的少量のパクリタキセルの毎週点滴静脈内投与とカルボプラチンの3週間ごと腹腔内投与



アルテプラーゼ静脈内投与による血栓溶解療法

診療科

神経内科

適応症

急性脳梗塞 (当該疾病の症状の発症時期が明らかでない場合に限る)

料金

患者負担無し

承認年月日

平成27年7月1日

主な内容

脳梗塞急性期に行われる治療のひとつに、「血栓溶解療法」があります。これは、アルテプラーゼという注射薬により、脳梗塞を引き起こしている血栓を溶かして脳の血流を再開させる治療法です。この薬は、発症4.5時間以内の脳梗塞に対して保険適応のある治療法として承認されていますが、4.5時間以降の脳梗塞では使用することが出来ません。睡眠から目覚めた際に気づいた脳梗塞の場合は、正確な発症時刻が分からず、睡眠前の元気であった状態が確認された時刻を発症時刻とみなすため、来院時点で4.5時間を過ぎていることが多く、この治療を受けることが出来ません。しかし、睡眠中の脳梗塞発症は起床前1時間以内と推察され、さらに頭部MRIの撮り方によって病的変化に差が大きい場合は、発症してから3時間程度までの脳梗塞であろうと考えられます。したがって、睡眠から目覚めた際に気づいた脳梗塞患者さんに、MRIを撮影することでこの治療の適応を判断でき、睡眠中発症および発症時刻不明の脳梗塞患者さんにも血栓溶解療法が可能となります。

CYP2D6遺伝子多型検査

診療科

小児科

適応症

ゴーシェ病患者のうち経口投与治療薬(エリグルスタット酒石酸塩)を投与される予定の患者

料金

患者負担無し

承認年月日

平成27年9月1日

主な内容

ゴーシェ病は糖脂質代謝障害のため、グルコシルセラミドが種々の臓器に蓄積し、発症する極めて稀な先天性代謝異常症です。現在、ゴーシェ病の治療薬としては、隔週に点滴静脈内投与する酵素補充療法が一般的ですが、最近、経口薬(エリグルスタット酒石酸塩)が承認されました。この経口薬は体内でチトクロームP450 2D6(CYP2D6)によって分解・代謝されますが、このCYP2D6の働きには個人差があることが知られています。CYP2D6の働きは、遺伝子多型を検査することによって推定することができますので、その結果によってその患者さんに適した投与量を決定します。この経口薬は原則として16歳以上のゴーシェ病患者さんが適応ですので、この検査を受けられるのは16歳以上のゴーシェ病患者さんです。

腹腔鏡下センチネルリンパ節生検(早期胃がん)

診療科

消化管外科

適応症

早期胃がん

料金

75,000円

承認年月日

平成27年1月30日

主な内容

【対象】
術前検査のCT検査などでリンパ節転移がない、長径4cmまでの早期胃がんの患者さん
【先進医療機関】
本治療は本学の倫理委員会で認可され、先進医療として東京慈恵会医科大学附属病院および東京慈恵会医科大学附属柏病院で受けることができます。
【理論背景】
センチネルリンパ節(SN)とは、がん病巣から直接リンパ流を受けるリンパ節のことで、がんのリンパ節転移が最初に起こる場所と考えられています。SNにがん細胞の転移がなければ他のリンパ節には転移していないと考えられ、余分なリンパ節を切除しなくてもいいということになります(SN理論)。すでに乳がんでは保険医療となり、生存率などの治療成績を損なうことなく、リンパ浮腫などの手術後遺症を減らすことが証明されています。
【早期胃がんに対する標準治療と縮小手術】
内視鏡治療適応でない早期胃がんの標準手術は、がんの部位によって噴門側胃切除、幽門側胃切除、幽門温存胃切除、また胃全摘が選択されています。それに加えて、リンパ節転移の可能性を考え、領域リンパ節の郭清(切除)が行われます。しかし、実際には早期胃がんではリンパ節転移がない場合も少なくありません。その場合、標準手術では患者さんにとって大きすぎる手術になってしまいます。そこで標準手術では過大手術となることが予測される患者さんを見つけ出し、縮小手術へと導く試みがSN生検です。なぜなら、胃を大きく切った患者さんが被るデメリットは小さくはないからです。胃全摘でなくても胃切除後は、少ししか食べられない、早く食べると苦しくなる、下痢をしやすくなるなどの直接的な消化障害にとどまらず、食後に動悸やめまいがするダンピング症候群や体重減少などの合併症が起こり、生活に支障を来たす患者さんは少なくありません。
【方法】
RI(アイソトープ)とICG(緑色色素)および赤外線腹腔鏡を用いてSNを同定します。SNにがんの転移を認めた場合には標準治療を行いますが、SNにがんの転移を認めない場合では、リンパ節郭清(切除)範囲を縮小するとともに、胃切除範囲も小さくして胃容量を温存する縮小手術を行います。
【過去の実績】
本先進医療前に施行された12施設400例以上を検討した臨床試験で、同対象患者さんに対してSNが見つかる率は97.5%、SN転移の正診率は99%という成績でした。つまり99%の正確性でセンチネルリンパ節を用いてがん転移の有無を判定できることが明らかになっています。慈恵医大の2施設でも総計350症例以上のSN生検が実施され、同等の成績を報告しています。

MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法

診療科

泌尿器科

適応症

前立腺がんが疑われるもの(MRIにより病変が疑われるものに限る)

料金

110,900円

承認年月日

平成30年8月1日

主な内容

MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺生検では、MRI画像と生検時の超音波画像を癒合させることにより、より的確に癌が疑わしい箇所の生検をすることが可能となっています。このため、従来の超音波画像のみの前立腺生検と比較して、MRI画像により癌が疑われる部位が特定されているため、標的生検が可能となり、癌検出能が改善するかを検討します。