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鼻中隔外鼻センター

当センター設置の背景と目的

鼻は呼吸という"機能"と、顔の印象につながる"整容"の両者に関わる重要な構造です。そして今までは鼻中隔弯曲症などの鼻づまりは耳鼻咽喉科で、外傷などの鼻の変形は形成外科でというように、"機能"と"整容"を別々に治療していました。また、鼻づまりには鼻の変形が原因となっていることもあり、従来の鼻中隔矯正術では治療が困難な場合もあります。
このような背景から、当施設では2005年から鼻の機能改善を専門とする耳鼻咽喉科と整容面を扱う形成外科が合同で手術を行うようになりました。これは鼻中隔外鼻形成術という新しい術式で、鼻中隔矯正術では改善困難な鼻閉と外鼻形態の改善を同時に行うものです。鼻中隔外鼻形成術によって今までは治療困難とされていた鼻中隔軟骨の前弯(尾側端の弯曲)や鼻弁狭窄を治療できるようになりました。当センターの設立の目的は、一人の患者さんを耳鼻咽喉科と形成外科の両科の医師が合同で診察し、鼻の機能と整容の改善を目指してより良い治療を提供することにあります。

診療の流れ

(1) 診察
第1、第3水曜日の午後に鼻中隔外鼻形成専門外来を耳鼻咽喉科と形成外科で合同診察します。また、下記の外来担当医スケジュール表にそって耳鼻咽喉科もしくは形成外科で専門医師の診察を行っています。耳鼻咽喉科ではCT検査やMRI検査や鼻腔通気度検査で鼻づまりなど鼻の機能検査やアンケート調査を行い、形成外科では3Dカメラを使用した鼻の形の評価とカウンセリングを行います。
形成外科 午前 午後
宮脇剛司・積山真也
積山真也 積山真也
宮脇剛司 合同診療(第1、3週)
形成外科
宮脇剛司
耳鼻咽喉科
飯村慈朗
耳鼻咽喉科 午前 午後
浅香大也
鴻信義・森恵莉・光吉亮人
浅香大也・高石慎也 浅香大也・光吉亮人
高石慎也
(2)入院・手術
入院期間は9日間です。手術の前日に入院となり、麻酔科の診察を受けます。手術後1週間で抜糸した後に退院となります。
(3)通院
手術後から外来で詰め物を抜去するまでの約3週間は鼻内に詰め物があるため鼻からは呼吸できません。約1年の通院でアフターケアを指導します。

外切開による鼻中隔外鼻形成術の概要

(1)手術は全身麻酔下に行います。
(2)
まず鼻の穴と穴の間に切開を加え、鼻孔内に切開を連続する"オープン法"で手術を行い、鼻中隔軟骨までアプローチします。
オープン法
鼻孔内の切開のみのクローズ法と異なり鼻柱に傷を作りますが、術後経過でほとんど傷は分からなくなります。
(3)
次に内視鏡下に鼻中隔を適正な形に形成し、下鼻甲介に対する切除術等を行い鼻閉の改善を図ります。
(4)
鼻中隔の強度補強に肋軟骨や耳介軟骨を移植する場合があります。
(5)
次いで外鼻の変形の修正に移ります。外鼻の曲がりがある場合はHump(コブ)を切除したり鼻の軟骨フレームワークをずらして固定することで対称性を図ります。外鼻の変形が著しい場合は肋骨移植が必要な場合があります。
(6)
外鼻の変形を修正した後は再度内視鏡的に鼻内を観察して鼻閉の改善を確認します。シリコン板と止血剤の綿で内固定をします。
(7)
最後に皮膚を縫合します。サーモプラスティックスプリントで外固定し、手術終了です。

入院中の生活

入院日:
手術内容の確認と麻酔科の診察があります。場合により、CT等画像検査を追加することがあります。
手術日:
全身麻酔下に手術を行います。術後はしばらくのあいだトイレ以外はベッド上安静です。
術翌日から:
歩行は可能です。日中はなるべく横にならず椅子に座ってお過ごしください。
首下のシャワーは可能です。洗髪は看護師が行いますが、洗顔はできません。鼻以外を優しくタオルで拭く程度にしてください。
術後7日:
抜糸、外固定を外し、テーピングをして退院となります。

退院後の生活

テーピング:
鼻の腫れ予防に手術後2週間ほどテーピングを継続していただきます。3〜4日毎に交換が必要です。詳しくは入院中に指導します。
入浴:
入浴は問題ありません。しかし、鼻の形が安定するまでは約3ヵ月かかるため、顔は泡立てた石鹸や洗顔フォームで優しく洗ってください。
運動:
手術後1ヵ月は激しい運動を避けてください。また、顔がぶつかる可能性のある球技などのスポーツは3ヵ月禁止です。
鼻水:
手術後約3週間は鼻内にシリコンシートが入っており、鼻水が継続する場合がありますが鼻かみは禁止です。鼻水が出た分をティッシュで吸い取ってください。
鼻洗浄:
初回外来でシリコンシートを取り外したら開始します。
鼻こすり:
鼻の形が安定するまでは約3ヵ月かかるため避けてください。

医師紹介

形成外科
宮脇 剛司、積山 真也
耳鼻咽喉科
鴻 信義、飯村 慈朗、浅香 大也、森 恵莉、高石 慎也、光吉亮人