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ペインクリニックのIMS治療(トリガーポイント療法の一種)を希望される患者さんへ

 最近、当科で行われているIMS(アイ・エム・エス: Intramuscular stimulation)療法(トリガーポイント療法の一種)が注目されるようになり、お問い合わせやご予約が殺到しており、大変ご迷惑をおかけしております。当科での治療を希望される方は、まず以下のQ&Aをお読みいただき、慢性の痛みや当科の治療方針などについて十分ご理解いただくようお願い申しあげます。

Q.1 私の長年続いているこの痛みに、IMS療法が効くと思うのですが?
Q.2 IMS療法で痛みが奇跡のように治ったという話を聞いたのですが、本当ですか?
Q.3 慢性の痛みの治療にはどれくらいの期間がかかるのでしょうか?
Q.4 慈恵のペインクリニックには遠くて通えません。どこか近くでIMS療法を行っている医療機関はありませんか?
Q.5 痛みで長年苦しんでいます。いろいろと相談に乗ってもらえるとありがたいのですが。
Q.6 慈恵のペインクリニックにかかりたいです。どのようにする必要がありますか。
Q.7 初診の時にはどのような検査をするのですか。
Q.8 トリガーポイントとはなんですか。また、トリガーポイント療法、IMS療法とはなんですか。さらに、治療にはどれくらい費用がかかるのでしょうか。
Q.9 北原診療部長に診察してもらえるのでしょうか。

Q.1 私の長年続いているこの痛みに、IMS療法が効くと思うのですが?

A .1 腰痛、肩こり、頭痛などの慢性の痛みのほとんどは、一種の生活習慣病です。たとえば、過体重、運動不足、偏った運動、同じ姿勢での長時間の労働、精神的なストレス、喫煙、不十分な睡眠、不規則な生活時間など、様々な要因が複雑に関連しあって痛みを引き起こし、そして、痛みを継続させているのです。
 IMS療法はどのような痛みにでも効果が期待できるわけではなく、筋肉の異常な緊張が原因で起こる痛みにのみ特別に有効な治療法です。ですから、「長年続いている」ような、こじれた慢性痛にIMS療法だけで効果がでる可能性は低いと思われます。
 それぞれの患者さんで、何が痛みを起こし、こじらせているかを時間をかけて診察し、突き止めることが、慢性の痛みの治療では最も重要なのです。そのため、当科では、様々な分野の専門の医師(麻酔科、整形外科、精神科、東洋医学、アンチエイジング、など)がいるだけでなく、臨床心理士、鍼灸師、理学療法士、看護師などの医療専門職も治療に加わる「集学的痛み治療」を行っているのです。

Q.2 IMS療法で痛みが奇跡のように治ったという話を聞いたのですが、本当ですか?

A .2 もう助からないと思われていた末期のガン患者さんでも、ガン細胞が急に消えてしまい、回復することがあります。確かに、IMS療法でこじれていた慢性の痛みが劇的に治ることもまれにありますが、それはたまたま、IMS療法がその人の状態に一番あっていたからです。一般的に、慢性の痛みが良くなるためには、患者さんと医療者が協力しながら、地道に少しずつ状態を改善していくしかありません。
 著名な落語家の方がIMS治療で良くなったという記事やテレビ番組をご覧になった方もいらっしゃると思います。ただ、その記事や番組をよく検討されるとお解かりになると思いますが、その落語家の方も、IMS治療だけで良くなった訳ではありません。治療の初期から運動療法を持続的に行っています。また、記事や番組では簡単のために取り上げられていませんが、痛みがひどい時には薬物療法も併用していました。

Q.3 慢性の痛みの治療にはどれくらいの期間がかかるのでしょうか?

A .3 何年も何十年も悩んでいた慢性の痛みが、2〜3回の治療で治るはずがありません。また、治療を集中的(毎日や毎週)に行っても、効果は上がりません。3〜4週間に1度の頻度で来院し、最低でも6〜7回は治療を継続していただく必要があります。一方、当科へ通院するだけで疲れてしまい体調が悪くなるようでは、逆効果です。遠距離にお住みの方や、体調の思わしくない方はその点を十分ご考慮ください。

Q.4 慈恵のペインクリニックには遠くて通えません。
       どこか近くでIMS療法を行っている医療機関はありませんか?

A .4 北原診療部長はIMS療法に関して本を出しています(A .8で紹介しています)。医療者(医師や鍼灸師)ならば、その本を読めばある程度行うことができます。したがって、各地方にIMSに似たような療法を行っている医療者はいるようです。ただし、慈恵のペインクリニックでは、情報は持っていません。IMS療法を実際に習得して、慈恵以外で施行しているのは「渋谷セントラルクリニック」だけです(2015年12月28日現在)。 何よりも重要なことは、こじれた慢性の痛みを治療するには、IMS療法にとらわれずに、しっかりとした痛みの専門医療機関を受診され、適切な診断と治療を受けることです。

Q.5 痛みで長年苦しんでいます。いろいろと相談に乗ってもらえるとありがたいのですが。

A .5 厚生労働省からの研究資金の援助を受けて「NPO法人痛み医学研究情報センター」というところが、痛みについての情報を提供していたり、一般の方々の電話相談を受け付けています。
http://www.pain-medres.info/index.html
痛み相談窓口(NPO法人 痛み医学研究情報センター)
電 話(看護師対応) : 0561-57-3000 受付日:月・水・木

Q.6 慈恵のペインクリニックにかかりたいです。どのようにする必要がありますか。

A .6 当科は完全予約制です。当日、急に受診されても、診療をお断りしております。それは、初診に長い時間(2〜3時間)をかけしっかりと診察させていただくためです。
 混乱を避けるため、患者さんから直接の予約は受けておりません。当科を初診するには、医師の紹介状をもらった医療機関からのFax予約またはWeb予約を通してください。
 また、心臓病、肝臓病、腎臓病、高血圧、糖尿病などで治療を受けている方、精神科や心療内科を受診中の方、血液をさらさらにする薬を服用されている方は、必ず、それぞれの医療機関から紹介状をもらってきてください。痛みの治療に使用する薬剤が、心臓、肝臓、腎臓などの機能に影響したり、他の服用している薬物と相互作用を起こして副作用を起こす可能性があります。
 紹介状をもらった段階で、かかりつけの医療機関(接骨院・鍼灸院を除く)から、当院へFAX予約(Web予約)を行ってください。

Q.7 初診の時にはどのような検査をするのですか。

A .7 患者さんのその時の全身状態を知るために、血液検査一式および心電図検査を行います。また、必要に応じて、レントゲンなどの検査も追加で行います。不要な検査を避けるためにも、紹介状は必要です。その際に、できるだけ最近の血液検査などの結果ももらってきてください。慢性の痛みの診断には、詳細な問診が一番重要ですが、問診を効率的に行うために質問票を事前にお配りするので当日までに完成させてきていただきます。それらの検査結果や質問票の結果を参考にしながら、問診を行い、さらに痛む部分を含む身体の関係する部分の診察を行います。これらの検査・診察は通常の保険診療で行います。ただし、かなりの時間がかかりますので、十分に時間の余裕を見ておいてください。

Q.8 トリガーポイントとはなんですか。
       また、トリガーポイント療法、IMS療法とはなんですか。
       さらに、治療にはどれくらい費用がかかるのでしょうか。

A .8 トリガーポイントとは、筋肉内にある固い"しこり"のような点で、そこを押したり刺激したりすることで、広範囲に痛みが広がります。トリガーポイント療法とは、そのトリガーポイントにたいして、様々な種類の刺激を加えてしこりをほぐす治療法全体をさします。加える刺激としては、電気刺激(高周波)、レーザー光線、鍼、温熱、マッサージ、局所麻酔薬の注射など様々なものがあります。
 IMS療法とは、元々は中国系カナダ人医師のDr.Gunnが西洋のリハビリテーションと東洋の鍼の知識・技術とを融合させて開発した方法です。それを当科の北原診療部長がアメリカ留学中にDr.Gunnから2年間にわたって直接教えを受け、日本に持ち帰りました。
 東洋医学の鍼灸に用いる細い針を用いるトリガーポイント療法の一種で、東洋医学の鍼灸とは異なります。また、他の多くのトリガーポイント療法よりも、極めて正確に、かつ深い部分の筋肉にも刺激を与えて治療を行うことができます。薬剤を使用せず、また針の先端が細くとがっていないため、比較的安全に治療ができます。
 IMS療法の費用は、治療範囲により別途、4千円〜8千円くらいかかります。 なお、IMS療法を実際に習得して、慈恵以外で施行しているのは「渋谷セントラルクリニック」だけです(2015年12月28日現在)。

「筋筋膜痛の治療」 C.CHAN GUNN (著), 北原 雅樹 (翻訳) ,大村 昭人 (監訳)

Q.9 北原診療部長に診察してもらえるのでしょうか。

A .9 北原診療部長は、原則として新患を直接診療することはありません。当科の診療・教育体制は、北原診療部長が臨床留学したシアトルのワシントン州立ワシントン大学ペインセンターのシステムをできるだけ踏襲しています。当科の外来で診療している医師は、上級医師(アテンディング)と修練中の医師(ペインフェロー)に大きく分けられますが、全ての上級医師は、北原診療部長が痛みの診断・治療について一から教育した部下たちで、各人が十分な診療能力を持つだけでなく、治療方針も原則として一致しています。
 ペインフェローは、自分たちだけで診断・治療を進めることはなく、必ず北原診療部長を含む上級医に経過を詳細に報告して指示を仰いでいます。
 また、どの医師が診たかに関わらず、すべての新患については必ず北原診療部長に報告が届くようにカンファレンスがもたれ、さらに治療に何らかの支障が生じた場合には、ペインクリニックに属するすべての医療専門職(医師、看護師、臨床心理士、鍼灸師、理学療法士など)が出席するカンファレンスで適宜治療方針について検討します。