■ 柏病院TOPページ

脳神経外科



平成30年8月現在
外来担当医表 フロア案内へ 前に戻る

photo

診療部長:長谷川 譲

診療スタッフ 診療フロア
診療部長 長谷川 譲
診療医長 田中 俊英
医師数 常勤8名

診療内容・専門分野


従来の「脳一般の科」という概念から脱し、「神経系全般の外科を扱う科」として診療を行っています。その診療範囲は、脳血管障害(くも膜下出血、脳内出血、急性期脳梗塞、脳血管奇形)や神経外傷(急性硬膜下血腫、慢性硬膜下血腫、脳挫傷)、脳腫瘍(悪性、良性腫瘍、下垂体腺腫)という古典的な脳疾患だけでなく、機能的疾患(三叉神経痛、顔面けいれん)や脊髄/脊椎/末梢神経疾患(変形性頸椎症、後縦靭帯骨化症、椎間板ヘルニア、脊椎・脊髄腫瘍、手根管症候群)まで網羅し外科的治療を行っています。
近年、診療機器の大幅な造設に伴い脳血管内治療も可能になり、専門医による治療を行っております。

<専門分野>

脳腫瘍(グリオーマ、髄膜腫、下垂体腫瘍、転移性脳腫瘍など)
脳血管障害全般(脳出血、くも膜下出血、急性期脳梗塞、脳血管奇形)
頭部外傷(硬膜外・硬膜下出血、脳挫傷)
機能的脳神経外科手術(三叉神経痛、顔面痙攣、毛根管症候群)
脊髄・脊椎疾患(脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、脊椎分離すべり症、脊髄・脊椎腫瘍)

特色


柏病院脳神経外科は、千葉県東葛地域を中心に、この地域の方々への医療を担当するだけでなく、治療の専門性から埼玉県や茨城県南部からも患者さんの相談やご紹介をいただき、日々の診療を行なっております。
日本脳神経外科学会の認定研修施設であり、学会認定の専門医が5名在籍しております。年間の手術件数は、250-300件であり、定時手術と救急手術の双方を行なっています。当科では多岐にわたる治療を通じて、患者さんに幸せを提供でき、同時に、若手脳神経外科医の育成にも力を注いでいる施設であると自負しております。

患者数・症例数・生検数・手術数・治療実績等

脳神経外科的手術数 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
脳腫瘍 摘出術 49 50 51 42 66 68
生検術(開頭術) 5 2 2 3 2 1
生検術(定位手術) 4 8 2 3 2 3
経蝶形骨洞手術 6 6 8 5 5 2
広範囲頭蓋底腫瘍切除・再建術 5 1 2 3 3 0
その他 0 0 0 0 5 0
脳血管障害 破裂動脈瘤 11 7 1 6 9 4
未破裂動脈瘤 1 4 2 2 4 12
脳動静脈奇形 3 3 1 0 0 0
頸動脈内膜剥離術 1 4 3 4 3 2
バイパス手術 0 0 1 0 0 2
高血圧性脳内出血(開頭血腫除去術) 1 4 10 5 9 10
高血圧性脳内出血(定位手術) 1 0 0 0 0 0
その他 0 14 4 2 8 4
外傷 急性硬膜外血腫 2 2 2 2 3 4
急性硬膜下血腫 7 9 5 10 4 9
減圧開頭術 3 2 2 0 0 2
慢性硬膜下血腫 62 44 37 38 33 41
その他 4 1 7 2 0 0
奇形 頭蓋・脳 0 0 0 0 0 0
脊髄・脊椎 0 0 0 0 0 0
その他 0 0 0 0 0 0
水頭症 脳室シャント術 8 15 19 20 21 12
内視鏡手術 3 0 2 5 4 1
その他 0 0 0 0 0 0
脊椎・脊髄 腫瘍 8 11 9 8 8 11
動静脈奇形 27 0 0 0 0 1
変性疾患(変性性脊椎症) 0 19 18 21 14 29
変性疾患(椎間板ヘルニア) 2 2 1 0 6 3
変性疾患(後縦靭帯骨化症) 1 3 2 4 4 5
脊髄空洞症 1 1 0 0 0 1
その他 0 0 7 0 1 0
機能的手術 てんかん 0 0 0 0 0 0
不随意運動・頑痛症(刺激術) 0 0 0 0 0 0
不随意運動・頑痛症(破壊術) 0 0 0 0 0 0
脳神経減圧症 3 2 1 4 2 1
その他 0 0 0 0 0 1
血管内手術 動脈瘤塞栓術(破裂動脈瘤) 14 13 10 8 5 9
動脈瘤塞栓術(未破裂動脈瘤) 27 36 32 31 11 14
動静脈奇形(脳) 1 4 10 7 8 6
動静脈奇形(脊髄) 0 1 0 0 2 1
閉塞性脳血管障害の総数 0 7 14 16 7 9
(上記のうちステント使用例) 4 7 4 6 3 5
その他 0 5 0 4 4 5
脳定位的放射線治療 腫瘍 0 0 0 0 0 0
脳動静脈奇形 0 0 0 0 0 0
機能的疾患 0 0 0 0 0 0
その他 0 0 0 0 0 0
そのた:上記の分類すべてに当てはまらない 0 30 20 0 21 25

専門外来

(火):脳血管障害(梶原)
(木):脊髄脊椎(栃木)
(金):脳腫瘍(田中)
の専門外来がございます。

診療情報


基本的には脳神経外科全般の診療を行い先述のように手術は多岐にわたりますが、とりわけ脳腫瘍、脊髄脊椎疾患、脳血管内治療に力を注いでいます。それぞれ経験豊富な専門医が診療に従事しており、専門外来(火曜日:脳血管内治療、木曜日:脊髄脊椎、金曜日:脳腫瘍)を開設しております。 以下のその概要を紹介致します。


脳腫瘍

当院での治療を通じて日本の脳腫瘍に対する先端医療の提供しております。
神経膠腫(グリオーマ)をはじめ、ホルモン異常の原因となる下垂体腫瘍、硬膜から発生する髄膜腫、他の臓器から発生した癌が頭蓋内に転移する転移性脳腫瘍などの外科的治療を手がけております。手術には電気生理学的手法や蛍光色素などの各種モニターを併用し、神経機能の温存を目標とし、細部にわたり腫瘍を取り除くよう努めております。
如何に腫瘍を残さず摘出するかが治療成績を左右する疾患であります。このため本腫瘍に対する摘出術において術中MRIを併用することが有用であることはすでに報告されています。当科では術中MRI手術室を有しています。2014年7月の時点では、術中MRI手術室を保有している施設は国内に17ヶ所あります。当院は全国で7番目に(2007年12月から)運用を開始しておりましたが現在は諸事情により休止中です。

術中MRIガイドライン 【PDF】
術中MRIガイドライン 【PDF】

手術中に頭部MRI検査が可能なopen typeの MRIを装備した手術室を有し、病変部位の情報を提供する蛍光色素を用いた化学的ナビゲーションシステムを併用し、できる限りの腫瘍摘出が行えるようシステムを整えて治療を行っております。当院で使用しているMRI装置は広いガントリーを有しており、MRIガントリー内でも手術操作ができるほどスペースに余裕があります。また我々脳神経外科医に加え、充分に訓練された手術スタッフ(麻酔科医、手術部看護師、放射線科技師)がチーム一丸となって脳腫瘍手術に取り組んでいます。運動機能の温存を図るために電気生理学的モニタリングも併用しています。
別項(特殊な診療-術中MRI併用開頭手術)で述べておりますが、当科では手術で汎用されているシリコンチューブ内に骨鑞を入れたチューブを術中マーカーとして使用し、術中にMRIを撮像することによりマーカーを頼りに摘出範囲を確認しながら手術を行っています。(自称”wax pile method”)。本法により境界不明瞭なため病巣を把握しにくいグリオーマに対して的確で円滑な手術を遂行することが可能となりました。若手術者の育成ツールとしても有用であると好評を得ています。
術後良好な経過を辿り、治療実績を重ねております。

Wax pile method【PDF】


神経膠腫(グリオーマ:glioma)治療方針

当院での神経膠腫(グリオーマ)治療の特徴は、情報誘導手術による最大限の脳腫瘍摘出・標準的な放射線化学療法・です。これは、できるだけ腫瘍細胞の数を手術切除することで減らし、詳細な腫瘍の種類の診断(病理診断)や腫瘍の遺伝子解析による異常等の結果を基に総合的な診断をして、世界で認められている標準的な放射線・化学療法を施行いたします。その他、手術に必要な検査は、他大学や医療機関などの所属や場所を問わず施行いたしております。 従来の手術は外科医の経験と技術によって判断施行されております。我々は手術の成功確率を上げるために、open MRI手術室を備えており、腫瘍の位置情報(解剖学的情報)、どこに重要な脳の働きをする場所があるかの情報(機能的情報)、摘出したものが腫瘍であるかどうかの情報(組織学的情報)を参考に手術を遂行いたしております。
核となるのは、手術中にMRI検査ができる装置(術中MRI)であり、この導入により取り残しが少なく、腫瘍自体を最大限に摘出することが可能になりました。また、言葉の神経(言語野や言語神経)に近いところの腫瘍を摘出する際には、患者さんと話しながらの手術(覚醒下手術)についても現在準備中で、これによって言語障害(失語症)を最小限に抑えながら、運動神経が傷ついていないかをみる運動誘発電位を施行し、半身不随(麻痺)の出現を防ぎながら手術を進めております。一方、どこまでとるべきかを確認するためには、小さな組織をとりそれを手術中に迅速診断を行っております。


術中MRI併設手術

またカルムスチンを生体内分解性ポリマー基剤に含んだ脳内留置用徐放製剤であるギリアデルが、2013年から日本でも保険適応となりました。本剤は注射薬に比べて高濃度で脳腫瘍細胞に暴露できること、重篤な副作用が減らせる事、術後の直接患部に留置できることにより脳血液関門による薬剤投与の非効率性を克服することが期待できることが特徴です。手術後の標準治療を開始するまでの治療空白期間に治療が可能なこともメリットとしてあげられます。
当科でも適応症例を選んで腫瘍摘出腔に留置しております。

ギリアデル留置したグリオーマ手術症例


手術後にどのような補助療法を行なうかは施設により意見が分かれるところです。しかし最近では欧米を中心に、複数の施設による大規模で多数の患者に対して信頼性の高い試験が行われております。我々はそれらの最新結果を基にして十分な説明を行い、同意を得た上で補助療法を決定しております。特に化学療法剤であるテモゾロマイドは経口投与の可能な薬剤であり、副作用が少なく簡便に治療ができます。当科でも従来の化学療法を凌駕する治療成績の向上がみられています。 現在の補助療法を下記に挙げますが、これらは一般治療方針であり、患者さん毎に異なる場合や新たな試験結果で変更する場合があることをご了解ください。また医学の発展のために、充分な説明の上に患者さんにご同意・ご協力をお願いする場合があります。


初期治療

Grade 2:手術±放射線治療±化学療法(TMZ;テモゾロミドまたはPMJ)

MRIでT2 強調画像で 異常領域の全摘出+増殖能力5%以下 → 経過観察
上記条件にはずれる→±放射線治療(患者さんと話し合いの結果)
上記条件はずれる+1p19q loss(腫瘍の遺伝子異常)あり → ±化学療法 プロカルバジン+MCNU(サイメリン)+VCR(ビンクリスチン)略してPMV あるいはTMZ;テモゾロミド


Grade 3 :手術+放射線治療+化学療法(TMZまたはPMJ)

化学療法の薬剤は組織診断で選択だが基本的にはTMZ が第1選択。
退形成性星細胞腫→TMZまたはMCNU(サイメリン)+VCR(ビンクリスチン)
退形成性乏突起膠腫→TMZまたはPMV


Grade 4 :手術+放射線治療+化学療法(TMZ)+アバスチン(Bev)またはPMV(TMZまたはPMJ、状況に応じてBev(アバスチン))


※1 尚、Grade 3およびGrade 4に対しては、2013年7月からBev (アバスチン)を併用しています。原則2週間毎の点滴加療となります。当院には外来化学療法室が整備され、専属の看護師が常駐しており、通院治療が可能となりました。Bevの使用法については、学会でも議論のあるところですが、当科では可能な限り初発例から積極的に使用しています。また高齢者、再発症例、QOL(生活の質)不良症例などにも全身状態を考慮しつつ使用し、臨床上効果を認めています。とくに術前のアバスチン投与の有用性についても現在慶應義塾大学、香川大学と共同で臨床試験を行っています。
(2016年10月 第75回日本脳神経外科学会総会、2016年12月 第34日本脳腫瘍学会で発表)
※2 当科では本院との共同研究により2004年から樹状細胞・腫瘍細胞融合ワクチンの臨床治験を施行しています。

悪性神経膠腫に対する最新の免疫療法
悪性腫瘍治療研究部

※3 Grade 2からGrade 4までで、自立した生活が可能な患者さんが対象となります。但し樹状細胞・腫瘍細胞融合ワクチン・化学療法とも治療の対象となる条件(年齢や腫瘍の型や状態)があり、治療のご希望に添えないことがあります。
まだ治験中の段階ですが、樹状細胞・腫瘍細胞融合ワクチンとTMZ・Bev治療の併用療法は世界中で当科でのみ行われている治療です。Bevを追加治療することにより、腫瘍による免疫監査機構抑制効果を拮抗することが可能であり、従来の免疫治療の効果をより高めると期待されています。


転移性脳腫瘍

他臓器の癌が頭蓋内に転移することはしばしば経験することです。特に肺癌、乳癌、大腸癌、腎癌は脳転移を起こしやすいことが知られています。近年、分子標的治療薬の進歩により癌の治療成績が飛躍的に向上しました。それに伴い転移性脳腫瘍を患った患者さんが斬増しています。こうした患者さんは頭蓋内病変のみならず他臓器にも転移している場合があり、頭蓋内腫瘍があるために積極的な治療が断念される場合が多いです。当科ではそうした患者さんにも治療の光明をもたらす意味で可能な限り積極的な治療を行っています。治療には、手術、放射線治療(全脳照射、定位放射線治療(ガンマナイフ))があります。化学療法については脳血液関門と呼ばれるバリアがあるため薬物の効果が頭蓋内病変にはいきわたりにくくあまり有効ではない場合があります。従って当科では可能な限り摘出手術を行っています。特に頭蓋内を占拠するような病変については患者さんのQOL(生活の質)に留意した手術を行い、たとえ末期癌であっても在宅療養への後押しとなるような治療の提供を考慮しています。開頭手術した患者さんについては短期入院を原則としており、病変・病態に応じて放射線治療、ガンマナイフを行います。ガンマナイフについては他施設(水戸ガンマハウス・築地神経クリニック・セコメディック病院など)へ御紹介いたします。


下垂体部腫瘍

下垂体とは脳の底の部分に細い茎でぶらさがっている1cmくらいの小さな器官で、鼻の付け根の奥のトルコ鞍という頭蓋骨のポケットのようなところに納まっています。全身のホルモンのコントロールセンターの役割を果たし、様々なホルモンを分泌しています。 下垂体部腫瘍の中で最も多いのはここから発生する下垂体腺腫とよばれる良性の腫瘍で、脳腫瘍全体の約15%がこの腫瘍です。脳下垂体の近傍には、下垂体腺腫以外にも頭蓋咽頭腫、ラトケ嚢胞、胚細胞腫、髄膜腫、脊索腫といった様々な腫瘍が発生します。 その中で頻度の高い下垂体腺腫について紹介します。


下垂体自体に発生した腫瘍で大多数が良性です。この脳腫瘍では以下のような症状が特徴的です。

視力・視野障害

腫瘍が大きくなったことにより周辺の組織が圧迫されることによって起きる症状で、最も多い症状です。これは腫瘍が上に大きくなって、視神経や視交叉を圧迫するためになります。さらにひどくなると視床下部を圧迫して精神障害や意識障害などがみられます。


下垂体ホルモン欠乏

腫瘍により下垂体の機能が障害されることによって起きる症状です。当院では内分泌内科と協力して、術前術後にホルモン分泌の状態を正確に評価し、必要に応じてホルモン補充療法を行っています。


下垂体ホルモン分泌過剰(機能性下垂体腺腫)

腫瘍が下垂体特有のホルモンを分泌することで起きる症状です。ホルモンを分泌している細胞そのものから腫瘍ができると、血液中のホルモン値が高くなり過ぎ、体中に様々な症状を引き起こします。成長ホルモンの過剰は手足顔など身体の末端の肥大をきたす末端肥大症が特徴的です。その他に糖尿病、高血圧、高脂血症、悪性腫瘍、睡眠時無呼吸症候群などの合併が多く見られます。乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)の過剰は生理不順・無月経や乳汁分泌、不妊、骨粗鬆症の原因となります。副腎皮質刺激ホルモンの過剰は高血圧、糖尿病、肥満、心臓病、脳卒中といった重篤な合併症を引き起こします(クッシング病)。これらの場合、腫瘍が小さくても身体に様々な症状をきたすため、完全に摘出することが重要です。当科では腫瘍摘出の際に、腫瘍と正常組織の境界部位からいくつもの組織を採取して迅速病理診断を行っています。これにより、腫瘍の取り残しを防ぎ、治療成績の向上に努めています。

ホルモン産生腫瘍の場合、内服治療でとても効果がある場合もあります。したがって、薬物治療を第一選択にする場合や残存腫瘍に対して薬物治療を行う場合にも内分泌内科医と協力しながら治療を進めます。さらに、残存腫瘍に対してはガンマナイフ(放射線治療)も効果的な治療です。

経鼻的腫瘍摘出術の場合、上記のような術後合併症の可能性が低く順調に経過すれば、術後1週間から10日くらいで退院が可能です。


経鼻的経蝶形骨洞的腫瘍摘出術

当院では耳鼻科と協力して片方の鼻孔から腫瘍の摘出を行う「経鼻的経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術」で手術を行っております。この摘出法は従来の上口唇の裏側の歯肉部を切開する方法に比べ、術後に口腔・鼻腔内の違和感が少ないという利点があります。

この手術は、鼻腔という極めて限られた空間の中で脳深部の操作を行うために、脳神経外科の手術の中でも極めて特殊な方法です。この手術では従来手術用顕微鏡を使用していましたが、2013年からは当院耳鼻科医と協同で硬性内視鏡単独手術により下垂体腫瘍摘出術を行っています。これは内視鏡を使用することにより手術顕微鏡では死角となる部位の腫瘍摘出率を向上することができます。

下垂体腺腫内視鏡単独経鼻的アプローチ

また内視鏡単独手術に切り替えた事により、手術室のレイアウトが簡略化されたため術中 MRIを併用した下垂体腫瘍摘出手術が可能となりました。残存腫瘍や術後出血の有無を術中に検査により確認することができ、時折術中見落としやすい残存腫瘍を術中に確認しやすくなりました。また術後髄液漏(頭蓋底、下垂体底部の修復が不十分なために頭蓋内の髄液が鼻腔に漏出すること)や尿崩症(下垂体機能不全による多尿)などの合併症も極めて少なく、安全で確実な手術を遂行することが可能になりました。現在治療件数を重ねております。
(2014年7月 第14回日本術中画像情報学会および2014年10月 第73回に本脳神経外科学会総会で発表。)


顔面けいれん・三叉神経痛

顔面けいれんは、片側の下部眼輪筋のけいれん、いわゆる目がピクピクする症状から始まり、徐々に、眼の周りから口元にまで広がります。さらに進行すると、首筋や耳、額にまで広がることがあります。逆に、10%以下ですが、口元から始まり、顔全体に広がることもあります。通常片側で、両側性は極めてまれです。また、長期間、けいれんが続いていると、けいれんのないときには顔面麻痺がみられることもあります。 原因としては、脳の血管(主に動脈)が顔面神経を圧迫することにより起こます。MRI・MRA検査による診断が有用です。神経と血管の関係を確認し、顔面神経のそばに血管をみつけることができれば、ほとんどの場合、この血管が神経を圧迫していると考えられます。


薬物治療

内服薬としては、抗けいれん薬の一つであるクロナゼパムがあります。


注射薬

ボツリヌス毒素(ボトックス)の局所注射で治療します。ただし、ボトックスの効果は数ヶ月程度でなくなるので、けいれんが再び起こりはじめると新たにボトックスを注射しなくてはなりません。


手術治療

神経血管減圧術という開頭手術を行います。この手術により根治的治療が可能です。顔面けいれんの病態は、血管(主に動脈、後下小脳動脈、前下小脳動脈)による顔面神経の圧迫なので、この圧迫を手術で取ると治まります。手術用顕微鏡下に圧迫している血管を神経から離して、再び血管が神経を圧迫しないように固定します。


(特発性)三叉神経痛

顔面の感覚神経である三叉神経の領域に、通常片側(左右どちらか)に発作性の数秒から数分続く激痛が繰り返して起こるものです。数週から数ヶ月にかけて断続的に続くこともあります。ある特定の部位を刺激すると痛みを誘発する誘発帯(Target point)という部分があります。ここを軽く刺激するだけで痛みが誘発されるところです。洗顔、髭剃り、歯磨き、咀嚼(そしゃく)などで誘発され、時には冷たい風にあたるだけで痛くなることもあります。また、齲歯(虫歯)の為の痛みと思い、歯科を受診し歯の治療をうけられる方もいます。


治療

治療としては、薬物治療、神経ブロック、ガンマナイフ、手術があります。薬物療法としては、カルバマゼピンが有用です。
手術は顔面けいれんの治療と同様にして行います。三叉神経を圧迫している血管(主に上小脳動脈)を神経から離して、再び神経を圧迫しない場所に固定します。顔面けいれん、三叉神経痛による悩み、不安を感じている場合、外来に来て頂き、お話を十分に伺いますので、その上で方向性を決めることをお勧めします。


脊椎・脊髄疾患

変性疾患

変形性頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎後縦靭帯骨化症
胸髄黄色靭帯石灰化症、胸椎椎間板ヘルニア
腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎変性すべり症、腰椎
分離症など


脊椎脊髄損傷

頚椎損傷、胸腰椎損傷、椎体骨折、外傷性脊髄空洞症など


腫瘍

脊髄髄膜腫、脊髄神経鞘腫、脊髄上衣腫、転移性脊髄腫瘍など


その他

脊髄空洞症、脊髄ヘルニアなど


脊椎脊髄の疾患による症状は多岐にわたり、頚椎病変では頚部痛や手の痺れ、お箸が使いにくい、ボタンが掛けにくいなどの細かい作業の障害(巧緻運動障害)さらに、歩行時のバランスが悪くなるなどの症状が出現します。腰椎病変では腰痛、お尻から足にかけての痺れや痛み、筋力の低下、排尿排便の障害を来す場合もあります。


それぞれの疾患について、患者さんのQOL(生活の質)を改善することができるように、また、症状の悪化を食い止めることができるように手術治療を検討しております。症状、神経所見、MRIやCTなどの画像所見から総合的に判断する必要があり、経験豊富な医師が診断、手術治療についてご相談いたします。

近年、低侵襲手術が普及してきており、当院でも負担の少ない手術方法を行っております。手術の際に筋肉や靭帯などの軟部組織をなるべく損傷することなく行うことで、術後の負担を軽減し早期離床ができるように心がけております。特に、腰椎分離症や変性すべり症などに対して経椎間孔腰椎椎体間固定術(TLIF)を行う際、経皮的椎弓根スクリューを使用することで侵襲を最小限に抑えることができる方法(minimally invasive TLIF)を行っております。

また、頭蓋頚椎移行部(頭と首の連結部)の解剖学的に複雑な部位に関しても、脳神経外科、脊椎脊髄外科として豊富な経験があり、外傷による変形や先天奇形に伴うものなど、頭蓋骨から上位頚椎にかけての疾患の手術治療も積極的に行っております。

さらに近年癌治療の進歩により、原発病変の制御が良好となり、頭蓋内のみならず脊椎への転移性腫瘍症例が斬増しています。当科では、脊椎転移性病変に対して、癌病変による疼痛のコントロール、腫瘍の圧迫による下肢麻痺などの神経症状の改善を期待して積極的に腫瘍摘出術および後方徐圧・固定術を行っています。症状が急速に進行することと症状の改善を期待するためには麻痺が出現した際に可能な限り早期に徐圧術を行う必要があることから緊急手術になるケースが多いのが特徴です。担癌患者さんが急速な上・下肢の疼痛麻痺を自覚した際にはこうした病態も考えられますので、御相談ください。

転移性脊髄腫瘍手術

手術がすすめられる場合

  • ※ 各種の保存的治療を3ヶ月以上行っても軽快しないケース。
  • ※ 上肢および下肢痛が繰り返すケース。
  • ※ 上肢および下肢の筋肉の麻痺が出現してきたケース。
  • ※ 上肢および下肢の麻痺が急速に進行してきたケースは緊急手術の適応になる場合があります。(脊髄硬膜外血腫・膿瘍、転移性脊椎脊髄腫瘍など)

上記のいずれかに相当する場合には手術がすすめられます。もちろん年齢、全身状態等を考慮して安全に手術できるかどうかも検討します。

脳血管障害における脳血管内手術

2012年より最新鋭の血管撮影装置を導入し、特に脳血管内手術を積極的に実施して います。
脳動脈瘤、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻、頸動脈狭窄症、急性期脳塞栓症のほかに脳腫瘍術前塞栓術 や鼻腔内腫瘍、頭頸部外傷に対する止血術など幅広く対応しております。


photo

photo

脳神経外科学講座
脳血管内治療センター

診療スタッフ

職名 医師名 卒業年度 職位 専門領域 資格 出身大学
診療部長 長谷川 譲 昭和61年 准教授 機能的脳神経外科手術(末梢神経、顔面けいれん) 日本脳神経外科学会脳神経外科専門医 東京慈恵会医科大学
診療医長 田中 俊英 平成3年 講師 脳腫瘍 日本脳神経外科学会脳神経外科専門医
日本がん治療機構認定医
東京慈恵会医科大学
診療医員 栃木 悟 平成13年 助教 脊髄、脊椎 日本脳神経外科学会脳神経外科専門医
日本脊髄外科学会認定医
東京慈恵会医科大学
診療医員 梶原 一輝 平成14年 助教 脳血管障害 日本脳神経外科学会脳神経外科専門医
日本脳卒中学会専門医
東京慈恵会医科大学
診療医員 大橋 聡 平成21年 助教 脊髄、脊椎 日本脳神経外科学会脳神経外科専門医 昭和大学
准診療医員 勅使川原 明彦 平成24年 助教 脳神経外科全般 東京慈恵会医科大学
その他:レジデント2名

外来担当医一覧表


脳神経外科 外来担当医一覧表はこちら
※月曜日と水曜日は手術日となっております。来院されましても長時間お待たせしたり、外来診察ができない場合がございます。緊急性がある場合を除き他日に受診されることをお勧めいたします。

その他



▲このページのTOPへ