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慈恵大学病院だより すこやかインフォメーション 〜大切なご家族のために〜

掲載記事 : No.6 Winter 2006

特集
 肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓の病気と治療
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 ウォーキングとジョギング 有酸素運動のすすめ

肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓の病気と治療
腹腔鏡下胆嚢摘出
肝胆膵外科 診療部長 矢永勝彦 胆石は痛みの発作、胆嚢炎、胆嚢がんなどを合併することがあり、また石が総胆管に落ちると黄疸、膵炎、胆管炎、肝膿瘍などが発生します。このため胆石の症状が出た方には胆嚢摘出術が必要です。また胆嚢ポリープは10mm以上の場合、がんの恐れがありますので胆嚢摘出をお勧めします。

  胆嚢摘出術は最近、腹腔鏡下に行うことが標準的な治療に変わりました。二酸化炭素で膨らませたおなかに腹腔鏡と3本の鉗子を刺し入れ、テレビ画面を見ながら胆嚢を切除します。以前行われていた開腹手術に比べて痛みが少なく、社会復帰が早いのが特徴です。当施設でも1990年から開始し、毎年150例ほど行っており、幸い全国的に良好な結果を得ています。
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突発性血小板減少性紫斑病(ITP)
小児科 診療副部長 藤沢 康司 擦り傷などの出血がすぐ止まるのは、血小板という小さな細胞が破れた血管を塞ぐからです。血小板は血液1滴あたり25万個ほどありますが、これが2万個以下に減ると大変血が止まりにくくなります。血小板が減る病気はいくつもありますが、自分の血小板を攻撃する抗体ができ、せっかく作られた血小板が壊されてしまうのがITPです。こどものITPの多くは自然に治るのに対して大人では何年も病気が続きます。患者さんがみな大出血を起こす訳ではありませんが、予測はできないため大人でもこどもでも血小板が極端に減ったときには血小板を増やす治療が行われます。また、血小板は主に脾臓で壊されるため、治療効果が思わしくないときには脾臓を摘出する手術が行われることもあります。また最近、胃潰瘍の原因として有名なピロリ菌を除菌するとITPが治る人がいることもわかってきました。
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C型肝炎治療の現状
消化器・肝臓内科 診療部長 銭谷幹男  C型肝炎ウイルスの感染は約8割が慢性化し、約30年の経過で肝硬変に至り、さらには肝細胞がんを高率に合併します。インターフェロン(IFN)はその抗ウイルス作用により、C型肝炎ウイルスを駆逐し、その後の肝病態の改善が得られ、発がん率も減少します。治療法の進歩により、最新のリバビリン(Riba)という経口抗ウイルス薬と、効果持続が1週間に及ぶペグインターフェロン(Peg−IFN)の併用1年間の治療では約60%以上の患者さんでウイルスが消失することが確認されています。合併症などで併用療法が困難な場合は、ペグインターフェロン単独や、既存のインターフェロンの週3回自己注射による病態の進展阻止、発がん予防をめざした治療も行われています。
治療進歩によるC型肝炎ウィルス消失率の改善
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膵臓の病気
消化器・肝臓内科 診療部長 西野博一  膵臓は食物の消化に重要な働きをしている臓器です。「膵臓の病気」には、膵臓炎(急性、慢性)と膵臓腫瘍(良性、悪性)があります。最近、膵臓の病気が、非常に増加しています。急性膵炎の原因は、アルコールの飲み過ぎ、高脂肪食、胆石などです。急性膵炎は重症になると死に至ります。できるだけ早期に診断し、適切な治療をする必要があります。慢性膵炎が進行すると、下痢や糖尿病が出現します。治療のポイントは食事療法(脂肪制限)や禁酒です。膵臓の悪性腫瘍では、膵臓がんが主で予後不良です。「上腹部痛、左側背部痛、食欲不振、下痢、体重減少はありませんか?」こんな時は、膵臓に異常がないか1度診察を受けてみましょう。