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慈恵大学病院だより すこやかインフォメーション 〜大切なご家族のために〜

掲載記事 : No.7 Spring 2006

特集
 体のホルモンと病気の対策
食後の高血糖は糖尿病の危険信号
  女性ホルモン
  糖尿病食は健康食
  乳癌とセンチネルリンパ節
  シリーズ企画 社会事業家としての高木兼寛〜
  新任診療部長紹介
  健康コラム
 正しい心臓マッサージ;救急のABC
  院内サイン改修のお知らせ

体のホルモンと病気の対策

食後の高血糖は糖尿病の危険信号
糖尿病・代謝・内分泌内科 診療部長 田嶼尚子
 糖尿病は早期発見が大事ですが、そのために欠かせないのが、食後の高血糖のチェックです。
  健診で早朝空腹時の血糖値が正常だった人の中にも、食事開始1〜2時間後の血糖値が高い糖尿病予備軍が大勢います。なぜなら、食後血糖値に続いて空腹時血糖値が上昇してくるからです。
  特に、食後の高血糖だけでなく、ウエストが太い、血圧が高め、血液脂質異常などがある場合には、精密検査を受け、糖尿病かどうかを確かめましょう。というのも、自覚症状がないこの時期から、狭心症、心筋梗塞,脳卒中などを起こす確率が高いのです。
  糖尿病予備軍や早期の糖尿病の患者さんに、最も大切なのは、食事と運動です。栄養士さんから食事指導をうけ、1日30分歩行する、これを続けて体重を5%減少できれば、健康で長生きする体に戻ることができます。
糖尿病の合併症
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女性ホルモン

 女性ホルモンとは卵巣から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンであり、女性の健康に大きく影響しています。これらのホルモンと脳からの刺激ホルモンが月経周期をつかさどり、思春期・成熟期・更年期・老年期といった女性のライフサイクルを変化させているのです。
  女性ホルモンの分泌不全は月経不順をもたらし、そのホルモンの効用を消失させます。また、更年期以降に見られる刺激ホルモンの過剰分泌は自律神経系の異常を誘発し、めまい・ほてりといった様々な不定愁訴をもたらせます。
  これらへの対処方法のひとつにホルモン補充療法がありますが、乳がんの発生率を高めるなど副作用に注意を要する療法なので医師と相談することが勧められます。
産婦人科 診療医長 齋藤隆和
ホルモンの効用
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糖尿病食は健康食
栄養部 管理栄養士 松井貞子
 糖尿病治療の基本は食事療法と運動療法です。「食事療法」というと、大変そうに聞こえますが、食べてはいけないものはなく、健康食なのです。ポイントは適正な体重を保つのに必要な量の食事をして余分に食べないことと、規則正しくバランスのよい食事をすることです。具体的には腹八分目を意識し、毎食に「主食+主菜+野菜」をそろえましょう。主食はご飯であれば茶碗1杯程度、主菜は肉や魚であれば手のひらくらいの大きさのものを1品、野菜は生野菜なら両手1杯、茹でた野菜なら片手1杯を目安にし、油は1日に主菜や野菜料理1〜2品に使います。その他に果物や乳製品を1日にそれぞれ1品食べると完成です。糖尿病の食事療法は長く続けれられることが大切で、管理栄養士は患者さんのより良い食生活に向けたサポートを行っています。
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乳癌とセンチネルリンパ節

 乳がん手術では病巣と一緒にがんが転移を起こす腋窩(脇の下)のリンパ節を切除するのが標準的な手術療法でした。しかし、早期乳がんが増えたため、乳がんの7割は実際に手術してリンパ節を調べても転移が見られません。そこで余分にリンパ節を取らずにすます方法として登場してきたのがセンチネルリンパ節生検です。センチネルリンパ節は見張りリンパ節と訳され、がん細胞が一番先に転移を起こす可能性があるリンパ節のことを言います。センチネルリンパ節を見つける方法は、手術中に腋窩部を切開して2〜3個のセンチネルリンパ節を取り出し、がんの転移が見られない場合はリンパ節切除を省略します。この方法により、手術が軽くなった分、早期の退院が可能になり乳がん患者さんのQOLの向上に貢献しています。
乳腺・内分泌外科 診療部長 内田 賢
センチネルリンパ節