■ 附属病院TOPページ

慈恵大学病院だより すこやかインフォメーション 〜大切なご家族のために〜

掲載記事 : No.8 Summer 2006

特集
 大人と子供の心臓の病気
心拍動下冠動脈バイパス手術
  子供の心臓手術
  子供の心臓病
  狭心症の治療 〜冠動脈インターベンション治療(PCI)について〜
  歴史シリーズ 訪問看護のルーツ(大隈重信の看病)
  新任診療部長紹介
  健康コラム
 夏バテにはクエン酸とビタミンB1
  夏バテ防止おすすめレシピ

特集 大人と子供の心臓の病気

心拍動下冠動脈バイパス手術
橋本和弘 狭心症、心筋梗塞の治療法として、薬物療法、経皮的冠動脈形成術(インターベンション)、冠動脈バイパス手術があげられますが、我々が担当する外科手術の動向を説明します。 従来、冠動脈バイパス術は人工心肺を利用して心停止下に行っておりましたが、技術の進歩に伴い、人工心肺を用いずに心拍動下で行えるようになりました。図のごとく、吸引カップにて心臓を持ち上げ、スタビライザーにて目的とする冠動脈部分のみを固定して血管を吻合します。人工心肺を用ないことで患者さんへの手術侵襲を軽減し、早期回復を図ることを目的としています。当施設では全ての患者さんを対象とはしておりませんが、標準術式として80%の患者さんに行っております。
心拍動下冠動脈バイパス手術
top

子供の心臓病
藤原 優子  子供の心臓病は生まれつきの心臓病(先天性心疾患)がほとんどです。約1%に先天性心疾患が発症すると報告されています。先天性心疾患は胎生期から形成されるので、 重症の心疾患は胎児心エコー検査で診断できるようになって来ました、このため、胎児診断により生まれてすぐに赤ちゃんの治療をすることも可能になりました。また、カテーテルによる治療で開胸しなくても治すことも一部の心疾患では可能です(図は肺動脈弁狭窄の治療)。
  先天性心疾患は生後心雑音やチアノーゼという顔色の悪さで診断のつく場合が多いです。しかし、乳児検診などで診断される場合も少なくありません。手術成績は向上し、運動制限が必要な場合は少なくなっています。
top

子供の心臓手術
森田 紀代造 『先天性疾病患』(生まれつきの心臓の病気)には、手術が必要な病気も少なくありません。心臓の真ん中(心臓中隔)に穴が開いていたり、血管や弁膜に狭いところがあったり、あるいは正常では4つの部屋と2つの大血管からなる心臓の基本構造がまったく異なっている(例えば完全大血管転位症)などの種類、組み合わせも多く、その手術法は一様ではありません。心臓手術というと、とても悲観的になってしまわれる方も多いと思いますが、最近では手術方法と補助装置の進歩により、ほとんどの重症心臓病のお子さんの手術が安全に行われるようになり、その成績も向上しています、現在、たとえ先天性心疾患があっても、早期の治療で制限の無いすこやかな生活が十分期待されます。
 
top

狭心症の治療 〜冠動脈インターベンション治療(PCI)について〜
小川崇行 心臓に酵素や栄養を運ぶ冠状動脈という血管が動脈硬化のためにせまくなり、運動時に心筋が酸素不足となり、胸痛などの症状が出る病気を「狭心症」といいます。
  治療には、カテーテルを使用した冠動脈インターベンション治療(PCI)が一般的で、風船を拡張する治療、ステントと呼ばれる金属チューブを挿入して拡張する治療などがあります。最近では、血管の内膜細胞の増殖を抑制する薬剤をステントに塗布した薬剤溶出性ステントを使用することで、PCIのアキレス腱である再狭窄を低減することが可能となりました。当院でもすでに200例以上に使用し、良好な成績を得ています。カテーテルによる治療は一般的に1〜2時間程度で、患者さんの負担が少ないのが特徴です。