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慈恵大学病院だより すこやかインフォメーション 〜大切なご家族のために〜

掲載記事 : No.9 Autumn 2006

特集
 目・耳・鼻・口の病気と治療
形成再建治療
  人工内耳
  近視のレーザー手術
  顎関節症
  歴史シリーズ 救護活動の始まり
  新任診療部長紹介
  健康コラム
 加齢(エージング)と神経内科
  医療安全推進週間の実施について

特集 目・耳・鼻・口の病気と治療

形成再建治療
栗原邦弘 顔面、手、足の先天異常はお母さんのお腹の中でそれぞれの器官が形成される途中で停止した結果に起こることがほとんどです。これらの治療は持って生まれた機能を最大限に引き出し良好な形態に再建することを目的に行っています。身体の発育とともに変化して生ずる障害も予測されますので、16〜17歳を超えるまで長い年月に渡って見守り、加療を継続することが大切です。また、外傷や腫瘍によって失った組織と機能をもとのように再建し、独立して日常生活が可能な状態に戻す目的に組織移植、微小血管吻合、人工材料を用いる形成外科的攻略治療が行われます。
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人口内耳
小島博己  人工内耳とは高度の難聴で、補聴器を使用しても聞こえない内耳性難聴の方にとって有効な医療機器です。インプラントと呼ばれる体内機器を耳の後ろの皮下に埋め込み、電極を内耳に挿入することにより、電気信号が聴神経を直接刺激して音を脳に伝えます。手術が必要ですが、その適応は両耳の高度難聴で補聴器の効果がない患者さんです。片耳だけの難聴の場合は適応になりませんが、先天的あるいは後天的な疾患両方に適応があります。最初は機械的な不自然な音として聞こえますが、リハビリを行うことにより次第に自然な音に近づいていきます。もちろんすべての難聴の方に手術が可能なわけではありませんが、あきらめていた方は一度受診されることをおすすめいたします。

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近視のレーザー手術
柴 琢也  物が見えるしくみはカメラのしくみによく例えられます。景色などの映像は、眼の1枚目のレンズ(角膜)と2枚目のレンズ(水晶体)を通り、フィルム(網膜)に映し出されます。この映像が神経を通じて脳に送られて見えたという行為になります。このとき、近視の方は網膜よりも手前にピントが合ってしまうため、網膜上にはぼやけた映像が映し出されます。そこで特殊なレーザーを用いて角膜の形状を変えて、ピントが網膜上に合うように近視や乱視を治す手術をLASIK(レーシック)といいます。手術は、目薬の麻酔のみで片眼10分ほどで終了します。入院の必要もなく手術終了後に帰宅できます。当院の成績では約97%の人が裸眼視力1.0以上の視力を得ています。

 
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顎関節症
吉田菜穂子 ・口をあけようとするとあごが痛い
・硬いものを食べるとあごが痛い
・顎を動かすとあごで音がする
・あまり大きく口が開かない
・急にかみあわせが変化した


 このような経験はありませんか? 顎関節症は日常生活のちょっとしたタイミングで起きてしまうことがある病気です。顎関節症の多くは、そのまま悪化して顎の機能が完全に破壊されてしまうといった怖い病気ではありません。症状の改善には歯科で行う治療(薬物療法、スプリント療法など)もありますが、それ以上に重要なのは、患者さん自らが固いものを食べない、大きな口をあけないなどの日常での注意です。これらの注意を守ることで、日常生活に支障をきたす事がない状態に持っていけます。