手を振る動き(シェイク運動)が機能回復に及ぼす影響について共同研究を実施~脳卒中後の慢性上肢障害患者へのリハビリテーション治療に新たな選択肢を~
東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座の安保雅博講座担当教授らは、全国5つのリハビリテーション施設とシェイク運動の機能回復に関する共同研究を行いました。ボツリヌス療法を施行しながら各施設に通院している脳卒中後遺症である上肢麻痺で悩まれている各施設から患者93名の外来患者が登録され、シェイク運動装置、「健康ゆすり」(JMH100、株式会社トップラン、東京、日本)の改良装置を使用する介入群と従来のリハビリテーションを受ける対照群との比較検討がされました。本研究は12週間にわたって行われました。
介入群は対照群に比べ、上肢運動機能の指標であるFugl-Meyer評価(FMA)総得点において有意に大きな改善を示しました。脳卒中後遺症の上肢麻痺において中等度の障害を有する患者が介入からもっとも利益を得ました。また、疼痛と手関節関節可動域に改善がみられました。
脳卒中後遺症の中等度慢性麻痺患者において、シェイク運動装置を用いた在宅トレーニング機器が上肢機能を有意に改善したことになります。このアプローチは、訓練の基本である使用依存性可塑性の原則に合致しており、従来のリハビリテーション方法に代わる、実行可能で費用対効果の高い選択肢を提供するものであると認識されました。