診療科・部門

小児脳神経外科:診療内容・診療実績

多くの患児が当院を訪れ、セカンドオピニオン的な意見を求められることが多くなっています。当科では疾患が経過観察可能かどうかを見極め、外科治療が必要性のある疾患に対してはご家族に十分ご理解頂いた上で行うよう心掛けています。

外科的治療は、頭蓋内疾患に対してはその病態を把握した上で可能な限り低侵襲治療で、将来を見据えて合併症が起こらない治療を心がけており、神経内視鏡を用いた水頭症に対する第3脳室底開窓術、嚢胞に対する嚢胞開窓術、腫瘍生検術などを行っています。

また脳腫瘍や血管奇形など開頭術による治療が必要であっても、良好なQOLが望めるように安全かつ確実な手術を心掛けています。

二分脊椎症や脊髄空洞症などの脊髄疾患に対しては神経モニターを用いて愛護的に手術を行い、クラリーノ症候群など非常に稀少な疾患も治療しております。

脳・脊髄腫瘍に関しては小児脳脊髄腫瘍治療の世界において第一線で活躍されている柳澤隆昭教授を中心に外来を展開し、他院で治療されても難渋している症例を中心に、小児科血液腫瘍班と協力して診断・外科的治療・化学療法などの後療法、その後の経過観察を行っています。

頭蓋顔面骨早期癒合症に対しては、形成外科と協力し頭蓋形成術や骨延長法を用いた頭蓋拡大などの外科的治療のみならず、外科的治療の必要がないものはヘルメット治療を推奨しています。

その他頭部外傷や血管障害など緊急性が高い疾患も随時救急外来などで診療し、緊急手術などに対応しています。

小児脳神経外科部門における新規外来患者数と手術件数の推移



教育・研究・学会活動

学会活動・臨床研究に関しては、日本脳神経外科学会総会、日本小児神経外科学会、日本神経内視鏡学会、国際小児神経外科学会を中心に毎年演題を発表し、座長としても参加しています。また当部門から多くの神経内視鏡認定医を輩出し、指導医としても学会などでの講習会で講師を担当しています。

厚生労働省精神・神経疾患研究委託の班研究を主催し、そして多くの症例の中から原著論文として「頭蓋骨縫合早期癒合症における骨延長法の利点・欠点と年齢別治療戦略」や「脊髄脂肪腫の自然歴と手術適応に関する前方視的多施設共同調査」など多数の報告を行ってきました。また小児医学川野賞、日本小児神経外科学会川渕賞、国際小児神経外科学会Raimondi賞を受賞するに至っております。