■血管撮影 IVR
血管撮影とは、鼠径部(足の付け根)または肘などから、主に動脈の中にカテーテル(細い管)を通して、目的の部位(臓器・血管・腫瘍)まで挿入し、造影剤を注入することにより、血管の走行や血行動態等を見る検査です。近年では診断のみならず、血管撮影手技を利用して治療を行う、IVR(Interventional Radiology)が盛んに行われています。
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■当院で行われる主なIVR(放射線装置を用いた血管内治療)
血管内治療
通常は数時間に及ぶ開胸開腹手術を行うような胸部・腹部など大血管の動脈瘤に対し、脚の付け根からカテーテル(細い管)を挿入しステントグラフトと呼ばれる人工血管を留置することにより大動脈瘤を治療する方法です。また、頚動脈や腎動脈、大腿・下肢の動脈などが狭窄や閉塞した場合には、バルーン (風船)やステントを用いて血管を広げる治療を行います。開胸開腹手術に比べ手術時間は2〜3時間と短く、入院日数も短期間で済むという患者さんへの負担が少ない治療方法です。主に血管外科で行っています。
脳血管内治療
脳血管内治療とは血管撮影による画像を見ながら、マイクロカテーテルと呼ばれる極細い管を脳内の血管まで挿入し、動脈瘤や脳血管障害などを治療する方法です。
脳動脈瘤の場合は、プラチナ製のコイルを動脈瘤内に留置し、動脈瘤の破裂(くも膜下出血等)を防ぎます。また、脳塞栓症(脳梗塞)の場合には、挿入したカテーテルから血栓を溶かす薬剤を投与する治療を行います。主に脳血管内治療部(脳神経外科)で行っています。 |
心臓血管内治療
正式には経皮的冠動脈形成術と言います。狭くなった心臓を栄養する血管(冠動脈)を、バルーン(風船)を使って中から押し広げて血液を流れやすくする方法です。足の付け根や腕の血管から、先端にバルーンがついたカテーテル(細い管)を通し、詰まりかけた部分まで持っていった後、膨らませます。胸を開かなければならないバイパス手術に比べると、局部麻酔で済み身体に対する負担が非常に少ないため、この数年で急速に普及しました。しかし、再び血管が詰まってしまう場合もありますので、これを防止するためにステントと呼ばれる特殊な金属の筒で、広げた血管を内側から固定させる方法も行われています。主に循環器内科で行っています。 |
腫瘍塞栓術
肝動脈塞栓術(TAE)とは、肝臓腫瘍に対し肝臓の動脈まで進めたカテーテルから、塞栓物質や薬剤を肝動脈内に注入することにより、肝臓の腫瘍や出血を治療する方法です。
大腿部の付け根(鼠径部)を局所麻酔後に穿刺して、カテーテルを血管内に挿入し、目的の血管まで進めます。当院では専門医の資格を持つ経験豊富な放射線科医が施行しています。
検査時には、カテーテルを経皮的に血管内に挿入するため、カテーテル挿入部分に局所麻酔を使用します。検査時の痛みはこの麻酔の注射の痛みだけで、他に苦痛はほとんどありません。造影剤注入時に熱感はありますが、一時的なもので次第に治まっていきます。検査終了後カテーテルを血管より抜去し、カテーテルの挿入部をしばらく押さえ止血します。特に鼠径部よりカテーテルを挿入した場合には、挿入部からの出血を防ぐために、検査後5、6時間から翌朝まで安静が必要です。そのため、血管造影検査は多くの場合入院して行われます。 |
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■当院での血管撮影装置
血管撮影室1室 |
Artis Zee BA (SIEMENS) |
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血管撮影室2室 |
Artis Zee ceiling ICT (SIEMENS) |
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手術室1室 (Hybrid OR) |
Innova 3100 (GE) |
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手術室4室 (Hybrid OR) |
Artis Q BA (SIEMENS) |
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手術室5室 (Hybrid OR) |
ARTIS pheno (SIEMENS) |
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心臓カテーテル室1室 |
Allura Xper FD10/10 (PHILIPS) |
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心臓カテーテル室2室 |
Allura Xper FD10/10 (PHILIPS) |
ARTIS pheno (Hybrid OR) |