診療科・部門

小児心臓外科:診療実績

2017年度診療実績

2008年から2017年の年次手術症例数(年齢、術式別)の内訳は下のグラフのとおりです。

当センター開設以来2017年までの年次手術症例数の内訳は図の通りで、おおむね60-80例/年で推移しています。

小児周産期医療を担う医科大学病院附属の母子センターの特性として、年齢別では1歳未満の新生児―乳児期手術が60-70%で概ね一定しています。最近の動向として術式別では一時期より単心室型修復減少傾向がみられます。 大学病院附属の母子センターとして近隣・関連の産科新生児科との連携により胎児診断例にも出生前より積極的に対応しております。手術方針として両側肺動脈絞扼術の活用による確実な段階的治療戦略、未熟児動脈管開存症に対する血管クリップを用いた閉鎖術による時間短縮・安全性向上などがあげられます。 日本で最も歴史のある大学心臓外科学講座として術後遠隔期の経過・手術経験を踏まえ、ファロー四徴症における自己肺動脈弁機能を最大限温存する最新の術式を含めた術式改良、・ラステリー型手術における遠隔期再手術回避を念頭においた最適な治療方針の提案など長期にわたる最善な結果を追求しております。 また、成人循環器内科との連携でフォンタン・複雑先天性心疾患術後の不整脈治療にも力を入れております。

関東圏をはじめとする自治体小児専門病院からのキャリーオーバー患者様についても積極的に受入れ、妊娠・出産をふくむ問題についても周産期医療との連携により健全なライフサイクルの支援に努めております。

心筋保護法は当初より開発研究に携わったBlood cardioplegiaを小児にいち早く標準とすることで手術成績の安定に寄与し、学会医療安全管理委員会推奨方法として広く国内への普及にも貢献しております。

研究活動としては I 実験・基礎研究:  (1)大型放射光施設Spring-8(兵庫県播磨科学公園都市)に設置した位相差CTによる心大血管構造解析研究-特に刺激伝導系の非破壊的3次元構築の可視化-を国内多施設と連携のもと主導しています。 (2)本学動物実験施設を活用し世界的にも実験機会の限られた前臨床レベルの動物実験による臨床応用可能な次世代心筋保護法の開発(ischemic perconditioning / postconditioning / Del Nido solutionの解析など)II小児心臓外科に関する臨床研究: (1) Glenn循環におけるPulmonary Flow Reserve Capacity血流量依存性肺血管拡張能の術中評価とFontan術後急性期循環動態推定からみたfenestrationの適応の最適化 (2)Del Nido solusionの安全性、効果に関する臨床試験に向けた体制整備 (3) 単心室循環における肝線維化マーカーへの影響などに取り組んでおり、その成果は国内外に学会、論文発表を通じ発信、さらに随時患者様の診療に還元しております。

手術症例数と内訳:

手術件数(年齢別)

手術件数(術式別)