研究倫理センターは、「研究インテグリティ」の研究者教育という側面から、研究倫理の実践を行う組織です。わざわざ「インテグリティ」という、英単語の和訳カタカナを使っている理由があります。インテグリティ(Integrity)の和訳は、公正・誠実ですが、現代科学・医学において、研究活動が正しく行われるためには、正直な研究作業のための規則を定めて・守るという単純な事柄のみでは済まず、様々な要素・様式の事柄の実践が必要となります。例えば、研究成果によって研究者自身にもたらされる経済的利益を申告する必要、研究対象が安全保障貿易管理に抵触しないかといった、以前は問題にされなかった事柄を、現代ではチェックして正しく対処しなければなりません。このように、多様で複雑な要素を含む事柄を「研究公正」という用語では、その意味を狭い範囲で限定しすぎてしまいます。そこで、「研究インテグリティ」という二言語合成語句を使って、短い語句ながら多くの要素を含むことが多くの人に容易に理解できるようにしています。
このように「研究インテグリティ」に関して学んでいただくことは多く、複雑な事柄もありますが、ここで是非知っていただきたい点が二つあります。その第一は、あなたが研究者として正しい研究活動を実践していても、科学不正に巻き込まれる可能性があることです。共同研究をしているときに、その共同研究者が科学不正をなしたときに、あなたは潔白でいられるでしょうか?研究グループは完全に分離されていても、同じ研究室・講座で科学不正が発生したとき、あなたの科学経歴に傷はつかないのでしょうか?
第二点は、研究インテグリティを実践する倫理は、道徳だけではないということです。もちろん研究者としての正しい道徳は、研究倫理の礎です。研究倫理には研究活動が正しく実践されるためには、どのように行動し、どのように道徳的な問題点(不正に巻き込まれる事態など)を解決してゆくかの方法論をも含みます。
本学のすべての研究者は、研究倫理をよく知り、理解し、実践することが求められます。

横山 昌幸
研究費に関する運営・管理体制

