下部消化管外科

ご挨拶

東京慈恵会医科大学附属柏病院下部消化管外科は、地域の皆さまが安心して受診できる診療体制を大切にしながら、大学病院として専門性の高い医療を提供しています。大腸癌をはじめとする下部消化管疾患に対して、患者さん一人ひとりの状態や生活背景を踏まえた、丁寧で質の高い診療を心がけています。
なかでも大腸癌、特に直腸癌の治療を得意分野としており、より低侵襲で精緻な手術が可能なロボット支援下手術を中心に行っています。ロボット手術は狭い骨盤内でも安定した操作が可能で、肛門を温存できる可能性を高め、合併症を抑え、腹腔鏡下手術と比較して、より排便や排尿などの機能を良好に保つことが期待できる手術療法です。
近年改訂された最新の大腸癌治療ガイドライン(2024年度版)においても、直腸癌手術に対するロボット支援手術は強く推奨されており、結腸癌に対しても治療選択肢の一つとして推奨されています。当科ではこうしたエビデンスに基づき、患者さんにとって根治度の高い最適な低侵襲治療を提供することを重視しています。
当科には2台の手術支援ロボット(da Vinci XiおよびSaroa)を備えており、ロボット手術を治療の中心に据えた診療を行っています。ロボット支援手術は、2名のロボット手術指導医(プロクター)および日本内視鏡外科学会技術認定医の指導のもと、チーム体制で安全管理を徹底しながら実施しています。
また地域の医療機関との連携を大切にし、検査や治療が必要な患者さんを速やかに適切な医療へつなぐ体制を構築しています。これからも、分かりやすい説明と寄り添う診療を通じて、地域に根ざした大学病院として信頼される医療を提供してまいります。

医局長 北川 和男

医局長 北川 和男

診療内容・専門分野

  • 大腸癌(結腸癌・直腸癌)を中心とした下部消化管悪性疾患に対し、根治性と安全性を重視した外科治療を行っています。
    治療方針は、患者さん一人ひとりの病状・年齢・生活背景を考慮し、十分な説明と合意のもとで決定しています。
  • 下部消化管悪性疾患に加え、良性疾患に対しても腹腔鏡下手術を積極的に行っています。
    疼痛の軽減や早期回復を重視し、患者さんの負担を最小限に抑える治療を心がけています。
  • 進行大腸癌(StageⅣ)で手術が困難な患者さんに対しても、患者さんの全身状態や病状に応じた化学療法を行っています。
  • 遺伝子検査などの結果を踏まえた薬物療法を行い、治療効果と副作用のバランスを考慮しながら、生活の質(QOL)を大切にした治療を提供しています。
  • 痔核、痔瘻、裂肛、直腸脱などの肛門疾患に対しても、病態に応じて硬化療法などの低侵襲治療や、腹腔鏡下直腸脱修復術を行っています。

特色

  • 開腹手術から腹腔鏡下手術、さらにロボット支援下手術まで、患者さんの負担軽減と安全性向上を重視した低侵襲手術を積極的に導入しています。
  • 大腸癌(結腸癌・直腸癌)全体を得意分野としており、多くの症例でロボット支援下手術を中心に治療を行っています。
    ロボット手術は、精緻な操作が可能で、根治性と低侵襲性、機能温存の両立が期待できる治療法です。
  • 特に直腸癌においては、骨盤内の狭い術野でも安定した操作が可能で、肛門温存率の向上、合併症の低減、排便・排尿機能の温存が期待できます。
  • 腹腔鏡下手術およびロボット支援下手術は、日本内視鏡外科学会技術認定医の指導のもと、2名のロボット手術指導医(プロクター)を含む体制で安全管理を徹底しています。
    高度な専門性とチーム医療により、安定した手術成績を出しています。
  • 他科と連携した合同手術にも積極的に取り組み、進行癌や局所進展例に対する拡大手術にも対応しています。
    各専門科と協力しながら、根治性を最大限に追求した治療を行っています。

 

ロボット支援手術

ロボット支援手術 ロボット支援手術

 

腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術

 

安全面への取り組み

ロボット支援下手術および腹腔鏡下手術は、開腹手術と同様に高度な技術と十分な知識が求められる治療法です。当科は日本内視鏡外科学会が定める技術認定制度に基づき、腹腔鏡手術・ロボット支援下手術に関する技術を認定された医師の指導のもと、すべての手術を行っています。
さらに東京慈恵会医科大学ではより安全な手術を実施するため、ロボット支援下手術および腹腔鏡下手術に関わる医師に対して、鏡視下手術トレーニングコースの受講および試験合格を義務化しています。これらの基準を満たした医師のみが実際の手術に参加することが認められています。
当科では2名のロボット手術指導医(プロクター)および日本内視鏡外科学会技術認定医を中心としたチーム体制のもと、手術適応の判断から術中管理、術後フォローアップに至るまで、安全性を最優先にした診療を行っています。
また、当科では手術時の吻合部血流評価に、ICG(インドシアニングリーン)蛍光法に対応した赤外線システム「SPY-PHI」を使用しています。
ICG蛍光法は多くの医療機関で導入されていますが、その多くは血流を視覚的に確認する定性的評価にとどまっています。
一方、SPY-PHIはICG蛍光の強度や時間変化を解析することで、血流状態をより客観的に評価できる可能性があるシステムであり、定性評価に加えて定量的な指標を参考にできる点が特長です。当科では、この特長を活かし吻合部の血流状態をより慎重に確認したうえで手術を行っています。
縫合不全は大腸手術における重要な合併症の一つであり、その予防には多角的な安全対策が不可欠です。ICG血流評価を含む先進的な手術支援機器を積極的に導入し、一人ひとりの手術の安全性を高めるための環境整備に取り組んでいます。

SPY-PHI SPY-PHI

SPY-PHI

 

手術支援ロボットについて

da Vinci Xi®(ダヴィンチ Xi)

米国 Intuitive Surgical 社が開発した手術支援ロボットである da Vinci® サージカルシステムを導入しています。当院では da Vinci Xiシステムを使用し、大腸癌(結腸癌・直腸癌)を中心とした下部消化管手術を行っています。
da Vinci Xiは、高精細な3D視野と多関節鉗子による精緻な操作が可能で、特に骨盤内の狭い術野で行う直腸癌手術において、その特長を発揮します。当科では、根治性と低侵襲性、機能温存の両立を目指し、ロボット支援下手術を治療の中心に据えています。

da Vinci Xi®(ダヴィンチ Xi)

Saroa®(サロア)

Saroa®は、日本の リバーフィールド 社が開発した、世界で初めて力覚(触覚)フィードバックを有する国産手術支援ロボットです。術者が組織の硬さや張力を感じながら操作できる点が大きな特長で、より安全で確実な手術操作が可能となります。
当科は、Saroa®を用いた下部消化管手術にも積極的に取り組んでおり、その臨床経験について学会で報告しています。新しい手術支援ロボットの臨床応用に関する知見を共有することで、先進医療の発展にも貢献しています。

Saroa®(サロア)

診療スタッフ

外科医員 医局長

北川 和男

外科医員

隈本 智卓、下山 雄也、栗田 紗裕美、般若 祥人

実績

手術実績(2025年)

下部消化管外科 手術実績(2025年)

メディア・学会展示実績(下部消化管外科)

2023年4月

第123回 日本外科学会学術集会において、当科のロボット支援下大腸癌手術の動画が、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の展示ブースで上映されました。
この展示は、学術集会参加者に対して当科の新しい手技と安全管理体制を紹介する機会となりました。

第123回 日本外科学会学術集会

更新日:2026年4月1日現在

午前

北川 和男

下山 雄也

渡辺 一裕
(▲第2・4週)

隈本 智卓

般若 祥人

午後

北川 和男

栗田 紗裕美

下山 雄也

渡辺 一裕
(▲第2・4週)

隈本 智卓

般若 祥人