■ 柏病院TOPページ

胸腔鏡下手術


胸腔鏡下(きょうくうきょうか)手術とは、胸に小さな傷をつけて行う手術方法であり、2cm程の切開を複数作成し、そこから胸腔鏡と手術道具を挿入して行う手術です。胸腔鏡手術、鏡視下手術ともいいます。「バッツ」とも言います。バッツとはVATSと書きますが、これはvideo-assisted thoracic surgery(ビデオ補助胸腔鏡手術)の頭文字を取った略語です。
胸腔鏡は先端に小型のカメラを装着した棒状の機械です。鏡視下手術では皮ふを小切開して、肋骨と肋骨の間から胸腔鏡を挿入して、肺や縦隔の手術を行います。


photo

胸腔鏡下手術の利点は手術の傷が従来の方法と較べると小さく、手術の後の痛みが少なく、早期に退院が可能であることです。
胸腔鏡下手術の欠点は外科医に新たな技術が必要で負担になり、できる手術が限られていること、とっさの対応が遅れることです。胸腔鏡手術を行っていて、従来の開胸に途中で変更しなくてはならないこともあります。

完全胸腔鏡下手術とは、2cm程の複数の皮ふ切開から肺がんの手術を行うことです。完全胸腔鏡下手術では胸の中をカメラを通してビデオモニターに拡大して映しだし、医師はこれを見ながら手術を行います。患者さんにとって、完全胸腔鏡下手術は、傷が小さく、手術後の痛みが少なく、早期退院が可能で、社会復帰が早い利点があります。欠点としては、出血が起きたときに対処が遅れる可能性があるので、常に集中して手術を行う必要があります。



完全胸腔鏡下手術と胸腔鏡下手術の違い


自然気胸の手術のときは手技が比較的単純で簡単なので、どの施設でも完全に胸腔鏡下手術で行っており、完全とついていなくても完全胸腔鏡下手術で行っています。一方、肺がんの手術では、手技が複雑なので、開胸を併用して行う施設が多く、これを胸腔鏡下手術と呼んでいます。つまり、胸腔鏡下手術といっていても、開胸を併用した手術と、開胸を併用しない手術があるのです。
胸腔鏡を使用して手術を行うことを胸腔鏡下手術と呼びます。つまり①完全胸腔鏡下手術と②小開胸に胸腔鏡を併用した手術を胸腔鏡手術と呼びます。①はビデオモニターを見ながら行う手術です。一方、②は主に小開胸の傷から直接胸の中を見て行う手術であり、胸腔鏡補助下手術とも呼びます。 胸腔鏡補助下手術は傷が小さくなればなるほど、医師は片目で胸の中を覗き込みながら手術を行いますから、きゅうくつな視野で手術を行う必要があります。一方、完全胸腔鏡下手術ではカメラで拡大した画像を見ながら手術を行なうことができるのです。
胸腔鏡補助下手術は旧来の通常の手術手技で手術を行うことができますが、完全胸腔鏡下手術ではテレビモニターを見ながら、別のところで手は別を動かして手術を行いますから、新しい手技の習熟と胸腔鏡用の様々な新しい器具が必要になります。

胸腔鏡下手術の別名は、胸腔鏡手術、胸腔鏡補助下手術、胸腔鏡補助手術、内視鏡下手術、内視鏡手術、鏡視下手術、ビデオ補助下手術、ビデオ補助手術、ビデオ補助下胸部手術、ビデオ補助下胸腔鏡手術、ビデオ補助下胸腔鏡下手術、バッツ、VATS、video-assisted thoracic surgery、video-assisted thoracoscopic surgeryなどと呼ばれています。


▲このページのTOPへ