医学部医学科 卒業生のメッセージ

医学科卒業生(平成28年卒)

妊婦さんの血液という“魔法の血清”の研究を通して多くの患者さんを救いたい

4年生では学生会長を、6年生では国家試験対策委員の委員長を務め、この年の現役の国家試験合格率は100%を達成した。大学入学時より基礎研究に興味があり、3年生から解剖学講座に出入りし、学会発表を経験。他に、分子疫学研究部で統計学を学び海外留学を経験。病理学や生理学講座にも出入りし、在学中の研究成果が認められ、2015年に出来たMD-PhDコース単位取得者の第1号の一人となる。卒後は初期研修を経て慈恵医大産婦人科学講座に入局し、2021年にMD-PhDコースを使用した大学院入学の第1号となった。現在、分子疫学研究部で研究に没頭する毎日を過ごしている。

動機

研究している父の姿はとても楽しそうで、仕事と趣味が一緒という感じがしていました

学者だった父の影響もあって、もともと生物、特にヒトの研究がしたいと思っていました。研究している父の姿はとても楽しそうで、仕事と趣味が一緒という感じがしていました。 ただ、現役の時に受験したのは理学部と薬学部だけで、医学部は受けませんでした。でも1年浪人して予備校で医学部を目指す人たちと話す中で、ヒトの研究をするなら医学部が最適だと気がついたのです。

学生時代

学生時代は部活と研究に。 国家試験の直前の6年生の秋までバレーボールを続けました

学生時代は部活と研究に打ち込みました。部活では国家試験の直前の6年生の秋までバレーボールを続けました。私が入学するまで東医体では10年近く決勝トーナメントに進めたことがなかったのですが、同期には経験者が多く6年生では表彰台に上がることができました。練習はハードでしたが、体力づくりにはなったと思います。 研究で打ち込んだのは解剖学です。2年で解剖学の授業を受けて夢中になり、一人で黙々と人体解剖に取り組んでいました。それを見ていた解剖学の教授から課題をいただいて、その研究が実を結んで卒業後に論文を発表いたしました。 やりたいことができるのが慈恵の良さですが、それを支えてくれるのが「ファミリー感」です。学生会長をしていたので卒業の時の謝恩会でそういうスピーチをした時に、先生方がみんな頷いていたのが印象に残っています。

進路

今集めている血液は“魔法の血清”、研究者としての私の貴重な財産になるはずです

研修医時代は産婦人科で臨床医として仕事をしましたが、「研究者として多くの患者さんを救いたい」という思いは変わりませんでした。 研究の醍醐味は、誰も知らない何かを世界で一番先に知ることです。私は古代魚の肺の発生の仕組みを解明してダーウィンの進化論に一石を投じ、その論文は新聞にも取り上げられるほど話題になりました。それが評価されて大学院を3年に短縮して、しかも授業科が免除されるMD-PhDコースの選択第一号になることができました。 医師として5年働いて6年目に大学院に進学して、現在大学院の2年生です。臨床医と違って時間が持てるので、今しかできないことをしようと、産婦人科医という立場を活かして妊婦さんの血液を集めています。 解明したいのは妊婦さんが他のDNAを拒絶することなく、10ヶ月も胎児を体内に保持できる仕組みです。それが解明できれば合併症などを減らすため の予防につながると考えています。今集めている血液は免疫寛容に優れた“魔法の血清”であり、研究者としての私の貴重な財産になるはずです。 私の根底には「病気を診ずして病人を診よ」という建学の精神があります。これからも患者さんを忘れない研究者として、ヒトの研究に取り組んでいきます。

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